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アスリートの体内酸塩基バランス

Writer

廣松千愛:Chiyori Hiromatsu

廣松さんプロフィール

管理栄養士/健康運動指導士

【サポート実績】
2017年~2019年 Bリーグチーム食堂 管理栄養士 献立作成・調理
2017年~2019年 プロ野球選手寮 献立作成・調理 
2019年~ Jリーグユースチーム 管理栄養士
     トライアスロンナショナルチーム合宿帯同
2020年〜 日本オリンピック委員会 強化スタッフ

SNS
Twitter: https://twitter.com/chiyori_h
Instagran: https://www.instagram.com/chiyori.nutrition


ヒトは酸素や栄養素を利用してエネルギーをつくりだしています。エネルギーをつくるときには、酸性物質である水素イオン(H⁺)も同時に発生し、身体は常に酸性に傾くようになります。しかし、酸性に傾いてしまうことで細胞の機能が低下し、臓器や神経が正常にはたらかなくなり、生命の維持ができなくなってしまします。そこで、ヒトの体内ではH⁺を二酸化炭素(CO)₂に換えて呼吸によって排出したり、H⁺を尿と一緒に排泄したり、酸を中和するはたらきのある重炭酸イオン(HCO³⁻)をつくったりして、体内のpHを7.35〜7.45程度の狭い範囲で弱アルカリ性に維持しています。H⁺とHCO³⁻のバランスが大切であるということです。

廣松さん2-2


しかし、激しい運動を行った後は体内で酸(H⁺)が多く発生し、㏗が低下し、酸性に傾きやすくなります。ミトコンドリアの機能や酵素のはたらきが低下することによるもので、これにより、筋肉や他の組織での酸塩基のバランスが崩れ、筋機能の低下、筋肉をつくるはたらきの抑制、疲労の原因になることが考えられます(※1※2)。また、酸性の食品に偏った食事をすることで骨をつくる働きが抑制され、尿中へのカルシウムの排出が増加し、骨密低下、疲労骨折に繋がることも懸念されているようです。実際にアスリートの対象にした研究でも、400mのレース後に血液の㏗が6.80〜6.90に低下したという報告があり(※3※4)、特にハードな練習をするアスリートは注意をしておくべきことだということが分かります。


では、酸性に傾いた身体を正常に戻すために食事面からはどのようなことができるのでしょうか?

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