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アスリートの睡眠と栄養

Writer

廣松千愛:Chiyori Hiromatsu

廣松さんプロフィール

管理栄養士/健康運動指導士

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運動後のリカバリーはどの年代のアスリートにとっても重要で高い関心のあるテーマです。トレーニングによる身体へのストレスとリカバリーとのバランスが崩れると、その後のトレーニングや試合にネガティブな影響を及ぼします。リカバリーにも様々な要素が含まれますが、今回は基本となるアスリートの睡眠について栄養と関連づけた文献(※1)をもとにお伝えしていきます。


運動による筋肉の疲れや筋肉の消耗は炎症を引き起こし、正常な睡眠を妨げる可能性があるほか、身体の回復が追い付いていない状態が続くと自律神経機能に支障をきたし、心機能はたらきを弱め、安静時心拍数の増加につながります。また、最大のリカバリーとなる睡眠が不足すると、筋肉の分解にさらに拍車をかけ、筋肉を合成するためにはたらくホルモンを減少させてしまいます。これにより、筋肉のタンパク質が合成されにくくなったり、トレーニングの効果が出にくかったりと負の連鎖が起こります。

スイスの340名の青年期エリートアスリートを対象にした研究では、8時間以上寝ている者は怪我で苦しむことが少なくなる傾向がみられたとの報告もあり(※2)、育成年代の選手の睡眠と怪我の発生には関連があることが示唆されています。睡眠は怪我なく、パフォーマンスを十分に発揮することやトレーニングの効果を出すために極めて重要な役割を担っています。睡眠を改善するための栄養面からの研究はまだまだ未解明なことが多いですが、重要なことには間違いありません。

食事と睡眠の関連を考えると、栄養素だけでなく、食事の量やタイミングも睡眠の質や睡眠時間に関係します。食事量が多かったり、食事時間が遅かったりすると消化吸収による熱産生の影響で睡眠に悪影響をもたらし、サーカディアンリズムを乱してしまいます。また、カフェインには覚醒作用があり、入眠しにくくなること、成人の場合、アルコールは深い睡眠である「レム睡眠」の時間を減らすといわれており、睡眠の質を下げてしまいます。
適切な睡眠時間は年齢によっても異なり、青年期は8〜10時間、成人は7〜9時間、高齢者は7〜8時間が推奨されていますが、個人によっても違いが生じます。


ここからは睡眠に栄養を与えるのではないかと考えられている栄養素や食品についてピックアップしています。睡眠の質や十分な睡眠の長さをとるには様々な要素が関連しており、食事や栄養面だけ見直せば改善するということではありませんが、解決策のひとつとして参考にしてください。

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