自分は傷ついてたんだって気づいてしまったらそのあとしばらくずっと苦しいって話 母はよくキツめの冗談を言う人で、でもまあそれなりに妥当な評価としての悪口とか、実際にある程度納得のいくラインのブラックジョークを言う。 その中で、私に対して「禁治産者」とよく冗談で呼称する。以下のような例で使う。 「いくらちょっと振り込んできてもらうだけとはいえ、あんたに大きなお金持たせるの不安だねぇ、あんたなんて禁治産者みたいなもんなんだから」「世が世ながらあんた禁治産者として座敷牢だよ、今の時
「あれが最後の会話でした。もっと話しておけば……!」 ありがちなセリフだ。故人と最後に交わした会話を悔やむ、悲劇のセリフ。ドラマでも小説でも、うんざりするほど出てくる。 だが、あなたは今朝家族と交わした会話を覚えているだろうか。唯一無二の友人と最後に会ったとき、どんなことを話したか覚えている? わたしは覚えていない。それは日常に埋没していて意識しない会話だからだ。そんなものがいちいち記憶に残っていたりはしない。 死はドライブレコーダー式なのだろうか。常に録画するのではなく、事
料理が苦手だ。 ADHDは家事が苦手だと言われている。私も御多分に漏れずそうだが、特に料理が苦手だ。 うちは母子家庭で、母は働いている。母が帰ってくるのは夕飯時に少し遅いくらいで、そこから母が夕飯を作る。 ときどき、母が帰ってくるのが遅い時がある。そういう時は、私は自分で何か作って食べなくてはならない。それがどうしても嫌だった。だから、作りも食べもせずにじっと待っている。そうすると、母からぶたれて、そして、母が文句を言いながら料理をして、夕飯になるのだ。 母と共に料理をす
もういない”彼”の話。 (わたしが推している彼女やその周りに関する話ではありません) わたしがVtuberというものに足を踏み入れたのは、Showroomからだった。だから、YouTubeでリアルタイム配信を見るという文化に馴染めず、だから、わたしが彼のことを見ていたのは、主にTwitterにおいてだ。 彼はTwitterでの振る舞いがとても上手かった。人より格上の種族というキャラクターを演じきり、哀れな人間のお悩み相談マシュマロなんぞにとても上手に返信していた。彼はロ
何が起こったのかを記録しておきたいとおもう。わたしの観測範囲での記録になるので、不正確な部分は多々あるが、許していただきたい。 いきさつ バーチャルタレント九条林檎様がShowroomイベントに参加した。これは配信者が獲得ポイント数を競い、上位のものに報酬が与えられるイベントである。リスナーは無課金ポイントと課金ポイントを投げ、配信者を上位に押し上げるのである。 特に争いの激しくなると予想されるものがガチイベと呼ばれる。今回はガチガチのガチイベであった。 参加を表明し
主が欲しいと思ったことはないだろうか。 恋人でもなく、神でもなく。友人ほど気安くなく、芸能人ほど住む世界が違うわけでもない。主従という、この現代では難しい絆のかたち。 わたしには、あるじと呼べる存在ができた。 『吸血鬼と人間のハイブリッドティーンエイジャー』を名乗るその彼女は、口上の通り人間ではない。 九条林檎。 吸血鬼の名門貴族の娘であり、もちろん人間なんかより上位の存在である。父が吸血鬼で母が人間。人間の血を飲み、すべての人間は食糧であると認識している。 魔界より人間