私の読書事情 2

本屋がない。
近所にない。
暇つぶし、憩い、発見、ストレス解消ができる場所なのに。
子供が小さかった頃、抱っこして散歩がてら本屋に行った。
幼年誌を買ったり、雑誌を買ったり。
発売日は本屋までがお決まりの散歩コースだった。
本棚を縫うように眺め、題名に、作者に惹かれて本を手に取る。
ページを繰って「これは買わないと」とぴんと来るあの感じ。
本屋は私にとって「思いがけない出会いの場所」なのだ。

興味のある本を見つけて買う、これは自分の時間の充実が約束される。
こんな満足感は数十年前までは近所で得られた。
でも今は電車や車に乗ってわざわざ行かなくてはならなくなった。
「ちょっと、そこまで」の気分転換ができなくなった。
街中で空き店舗を見ると「ここが本屋だったら」と思うのだ。

本屋は町の知的財産であると思う。
本棚を眺めることは時代を眺めること。
「ふと」「何気なく」それができないのは人として何かが欠けてしまうのではないかと心配だ。
自分にも、世の中的にも。