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健康診断の読み方(肝機能)

こんにちは!保健師のナビです♪

今日は肝機能について、まとめてみました!

🌸健康診断について


受けてホッとしたりドキッとしたり、健康診断は体の通信簿のようなもの。でも、数字が並んでいるだけだとわかりづらいこともありますよね。

数値の見方がわかれば、もっと自分の体のことを理解できると思います!

このシリーズでは、数回に分けて、生活習慣病にフォーカスした健康診断の説明を行っていこうと思います!
第5回は、肝機能!((*'▽')

この記事ではこちらの基準値を参考にしています。

http://www.kenkou-club.or.jp/check_mikata.jsp

各医療機関によって採用している基準値が異なるため、お手元の健診結果と基準値が違う可能性がありますが、大きな差はないので問題ありません。

🌸肝機能検査

健康診断で行われる肝機能検査とは、血液検査で肝臓の状態を調べる検査になります。

🌸AST(GOT)とALT(GPT)

AST(GOT)は心臓・筋肉・肝臓に多く存在し、ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。肝臓で、アミノ酸の代謝にかかわる働きをしています。肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べることができます。

基準範囲 30以下…特に問題ありません

要注意 31~49…受診の必要はありませんが、やや高い値です。腹囲が基準値を超えているかたは、脂肪肝がある可能性が高いです。そのほか、お酒の飲みすぎや、サプリメント・プロテインを飲んでいると上がる可能性があります(余った分は肝臓が分解しているため)。

要注意 50以上…数値が高い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝臓がんなどが疑われますので、一度消化器内科を受診しましょう。エコー検査やCT検査で肝臓を見ることで、血液検査より詳しく肝臓の状態を知ることができます。

🌸γ -GTP(ガンマGTP)

主に胆管で作られている、たんぱく質を分解する酵素です。肝臓・腎臓・膵臓・胆道系に障害があると血液中に出てきます。γ-GTPはアルコールによく反応するので、肝障害を起こしていなくても、普段からお酒をよく飲む人は数値が上昇します。ただ、健康な人なら一時的に数値が上昇してもすぐに元に戻るので、2週間~1か月禁酒した後に再度γ-GTPの検査をすれば、アルコールによる上昇なのか、肝臓や膵臓に障害があるのか簡単に区別できます。

なぜ2週間~1か月かというと、血液中のγ-GTPが半分以下まで減るのに2~3週間ほどかかるからです。

基準範囲 50以下…特に問題ありません

要注意 51~100普段からお酒を飲む習慣がある人は、肝臓に負担がかかっている状態です。1回の量を減らしたり、休肝日を作るなど、肝臓をいたわる習慣をつけましょう。お酒を飲まない人の場合は、肝臓の障害、胆石、原発性胆汁性肝硬変(胆道系の病気)、抗てんかん薬、抗けいれん薬、向精神薬、ステロイド系の薬を服用中の方はγ-GTPが高くなる場合がありますので、一度主治医に相談してみてもよいと思います。

異常値 101以上…100~200だと、脂肪肝が進行している可能性があります。脂肪肝はお酒の飲みすぎで肝臓に障害が起きている状態です。200を超える場合にはアルコールだけでなく、胆石や胆道がんで胆管が詰まっている可能性がありますので、早めに消化器内科を受診してください。γ-GTPが100を超えると厳格な節酒か禁酒が必要です。また、一度消化器内科か肝臓の専門医を受診した方がよいでしょう。

🌸肝臓について

肝臓は代謝(酸素や栄養を体にとりこみ、消化・吸収して生きるために必要な物質やエネルギーを作ること、また、使い終わってできた老廃物を身体の外に出すこと)を担っているとても重要な器官です。

お酒を分解する以外にも、

血糖値を調節する

糖を脂肪に変えて身体に蓄える

たんぱく質を作る(血液内に水をとどめておくためのアルブミン、止血に使う凝固因子を作っているのは肝臓)

いらなくなったたんぱく質を無害な尿素に変えて尿中に排泄する

コレステロールの合成(ホルモン・細胞膜の材料になる)

胆汁を作る(脂肪を小腸から吸収するためには胆汁が必要)

薬の分解

など色々な働きをしております。

目はメガネ・耳は補聴器・心臓はペースメーカー・人工心肺・血液ろ過は透析というように、内臓を補助する装置はたくさんありますが肝臓は機能が多く複雑なため、いまだ人工臓器で代わりになるものはありません。

代謝・解毒は生きる上で必要不可欠な機能であり、肝臓は切除しても3~6か月で元の大きさに自己修復できる、とても強い臓器です。

現代人の肝機能障害として問題になっているのは、食べ過ぎ・飲みすぎによる脂肪肝です。特に日本人は魚介類・山菜を食べてきた民族であり、肉食文化が長い欧米人と比べて、脂肪をため込みきれません。よって皮下脂肪に蓄えきれなかった脂肪が内臓につきやすく、やせているのに内臓脂肪があるという状態が起きやすい民族です。特に肝臓は脂肪の合成や分解も行っているため、余った脂肪がつきやすい臓器でもあります。脂肪細胞は肥大化すると炎症物質を出すため、内臓脂肪がついた臓器は、炎症物質の影響をもろにくらってしまうのも問題。よって脂肪肝は肝臓に慢性的な炎症を起こしている状態といえます。

脂肪肝として有名なのは、お酒の飲みすぎからくるアルコール性脂肪肝、食べ過ぎ・運動不足による肥満、生活習慣病が背景にある非アルコール性脂肪肝の2種類です。

脂肪肝が数十年続くと、脂肪細胞が出す炎症物質により、やがて慢性肝炎の状態になり、人によっては肝硬変につながる場合があります。

肝硬変まで至ってしまうと、もう肝臓はもとに戻れません。肝機能検査でひかっかったことがある人は、ぜひ生活習慣の見直しをしてみましょう。先ほども述べたように、肝臓は自己修復機能を持つ強い臓器です。脂肪肝は、生活習慣の改善(節酒・減量・運動習慣を作る・食事バランスを整える)により1~3か月でほぼ確実に改善します。

すでに肝硬変を発症している方についても、同様に生活習慣を整えることが進行予防になります。肝硬変はいきなり肝臓の全ての細胞で起こるわけではなく、肝臓の一部が肝硬変を起こし、生活習慣の改善がなければ徐々に進行していくものです。アルコール性肝炎・肝硬変を指摘されたことがある方は、適量飲酒を守り、食べ過ぎ・運動不足に気を付けましょう。ストレスが多い場合は、ストレスの原因となっている生活を見直してみましょう。一人でどうしたらよいか分からない場合は、まずはかかりつけの医師に相談です。相談しづらければ、市町村の保健師、会社の保健師が相談に乗れると思いますので、誰かに話してみることをおすすめします。

🌸あとがき

今回の字数…3000文字( ゚Д゚)

沖縄はアルコール性肝炎の死亡率が全国1位でして、肝機能についてはどうしても沢山語ってしまいますね(;^ω^)。

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今回も読んでいただき、ありがとうございました!

また明日もぜひ見に来てくださいね~(^▽^)/

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