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実力がないと「遊び」はできない

2月3日(木)放送の「真夜中にハロー!」第4話。

まさかの!
BEYOOOOONDS全員登場!!

このまま全話6人くらいの選抜メンバーですっきり見せていく感じかと思っていました。
12人全員で登場、しかも平井さん小林さん里吉さんは2回目の登場です。

「寸劇」という飛び道具

研究開発部門に入ることだけを夢見て、新卒でビールメーカーに就職した乃々花。
新歓の最後まで顔色一つ変えないほど酒に強い、という理由で決まった配属先は、まさかの営業部だった。

先輩社員に連れられて来た営業先の居酒屋では突然、先輩と女将さんの「寸劇」がはじまる。
乃々花を挟んで「鼻はアンタに似てるんじゃない?」「目はオマエに似てるな」などと夫婦コントを始める二人・・・

真顔でジョークをかまし続ける高田純次ノリを、自分にも求められることがきつすぎる。
なんのために入社したんだろう。
こんなはずじゃなかった。
メンタルを病みそうになっている乃々花を励ますのが、BEYOOOOONDSです。

ここでおさらいしておくと、
ビヨーンズは従来のアイドルとしての歌・ダンスに加え、曲前や間奏で「寸劇」を披露するという、これまでにないスタイルを打ち出して令和元年にデビューしたグループです。

この曲まさかデビュー曲じゃないよね?

冒頭1分49秒までずっと「寸劇」。
誰か一言の台詞パートではなく全員の配役が決まっていて、衣装や小道具なんかもがっつり使用し、掛け合いの「物語」を演じています。

私はこの曲をひとりカラオケで歌うときは、デンモクで次の曲を探したりジュースを飲んだりして、寸劇パートを全スルーしています。

他にも、とにかくずっと「変な曲」ばかり歌わされているので、百聞は一見に如かず、ぜひビヨーンズのチャンネルをチェックしてみてください。

そんな変な曲と寸劇ばかりのビヨーンズが、自分たちのことをメタ視点で歌った曲が、今回のフィーチャー曲「こんなハズジャナカッター!」。

第3話までモーニング娘。の楽曲でしたが、ここにきて初めて後輩グループの曲が選ばれました。

「私たちも先輩方のような可愛いアイドル道を突き進むべくハロプロに入ってデビューできたけど、衣装も歌詞もなんか変だし、寸劇までさせられて、方向性どうなってるの!?こんなはずじゃなかったー!」という自虐&応援ソング。

自分たち以外のアイドルグループ名を引き合いに出す歌詞があり、そこでハロプロ以外のグループの名前も出ていることが「攻めてる」として当時ネットニュースにもなりました。

ドラマでは、曲の途中で乃々花もお客さんとの寸劇コミュニケーションに再トライするというシュールな演出を経て、乃々花が一皮むけてめでたしめでたしという結末でした。

寸劇は余裕の証

ところで、ビヨーンズはアイドルとして「イロモノ」なのでしょうか。

ハロプロは令和に入って迷走を始めたのでしょうか。

乃々花がドン引きしていたように、
私がカラオケで全スルーするように、
寸劇って「ちょっとキツいノリ」なのでしょうか。

私は、「眼鏡の男の子」のデビュー前ライブ映像を初めて見た瞬間、この子たちがアイドルの時代を変えると直感しました。

それまでの私は、結成して日が浅いグループや、加入したばかりの新メンバーが気になることはほとんどありませんでした。

新メンバーは表情の硬さがとれる頃に、
グループはメンバー間の関係性が確立されて、一枚岩としてのカラーが出てくる頃に、ようやく目を引く。

でもビヨーンズは、デビュー前からその魅力に一気に引き込まれました。
全てのパフォーマンスのレベルが高かったからです。

つばきファクトリーもメジャーデビュー時はかなり鮮烈でしたが、つばきは6人で結成してから9人でメジャーデビューするまでに約2年のインディーズ期間がありました。
なかなか突き抜けたパフォーマンスができずにレッスンの先生から厳しく指導される様子などを時々見ていたので、「ここまで伸びたのか!」というまた違った種類の衝撃・感動はありましたが、グループとして「何者!?」という驚きではありません。

ビヨーンズは、「なんか研修生に動きがあるみたいだな」程度に見ていたのが、とんとん拍子にいろいろ決まっていき、12月にオーデ組が合流し、翌春には「眼鏡の男の子」のパフォーマンスが12人体制で完成していました。

研修生ヲタ以外にも名が轟くくらいのベテラン研修生・エリート研修生がごろごろいるグループです。
歌、ダンスは、当たり前のようにサラッと上手い。

寸劇ばかりが派手で、歌とダンスがそれなりだったら、パフォーマンス全てに説得力がなくなってしまう。
アイドルとしての基本は既に高いレベルで仕上がっているからこそ、そこに新しい要素を加えることができるのです。

各自に役割があることの功

グループの雰囲気も、結成したてのぎこちなさは感じさせませんでした。

自分たちでグループカラーをゼロから探り探り作っていくのではなく、初めから全員で方向性を共有し、各自の役割が決まっているのも彼女らの強みです。

誰でも新しい環境に馴染むまでは、そこでの「役割」が与えられていると安心できます。
いきなり人間 対 人間の関係から始めるよりも、まずは役割 対 役割の関係性で接する方がスムーズなのです。

個々のスキルとグループの方向性が奏功し、ビヨーンズはあっというまに完成度の高いグループになりました。
「一岡伶奈がデビューするらしい」という最初の発表から、たったの1年で。
夏のデビューシングル発売日を迎える前に。

完成度が高いからこそ、突飛で新しいことにチャレンジしても、イロモノや迷走にならずに全てをサラッとこなすことができる。
どんな「変な曲」もホームランで打ち返し、さらにそんな自分たちをメタ視点で自虐してみせるところまで、たったの1年半で辿り着いてしまう。

本当におそろしいグループです。

「お願い!普通の曲、歌わせてください!こんなハズジャナカッター!」
めちゃくちゃ幸せそうにキラキラの笑顔で歌うもんだから、こんな変な曲なのになぜか涙が出てきます。
ビヨーンズのパフォーマンスって、なんか笑顔になりながら涙も出るんですよね。

疲れた心のビタミン補給におすすめです。
あと、曲が小さいお子さん受けもいいと聞きます。

百聞は一見に如かず。
ぜひビヨーンズの変な曲たちを、無防備に浴びてみてください。


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