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空き家いっぱい なのになぜ住めぬ

(以下2016年時の内容です)

移住するには住まいが必要。ご多聞にもれず、わたしも東京から広島へのJターン&地域おこし協力隊着任とゆう名の移住が決まってから、市役所を通じて広島県府中市上下町内で物件を見させてもらった。見たのはふたつ。それ以外の候補はなかった様子。一般賃貸の平屋一軒と、府中北市民病院の持ち物件。以前は医師専用の住宅として使われていたが今は空き家になって数年が経過。

立地と駐車場付きと家賃から、医師住宅を選んだ。田舎暮らしのイメージからは、かけ離れていて、近所の人からも都会的な建物だと言われる。建てられてから 年ちょっと。住んでみて、経年劣化を実感。トイレは度々水浸しになるので2度に渡り修理してもらった。他の箇所もいろいろあるけど、贅沢な悩みで、とても恵まれていると思う。多くの場合、空き家になると冬の間に凍結破裂というダメージを受けやすい水道管も保たれている。この物件も、お願いしたから貸してもらえている。一般には貸していない。

徐々にわかってくること。空き家は沢山あるけど、借りて住める家は非常に少ない。「賃貸」というと町営住宅、市営住宅、大東建託や地元会社の管理する集合住宅が主。「借りたい」と思っても、不動産屋さんの情報にあがっているのは「売り家」。終の棲家やセカンドハウスを探しているのではない者にとってはハードルが高すぎて、たとえ破格でも、ためらってしまうし、そもそも都会の賃貸暮らしに慣れていたら、田舎暮らしもまずは賃貸から、とゆうイメージで臨む。が、空き家は「売りたい」か、「手放したくない、もしくは触ることにエネルギーを費やせない」ことがほとんど。時が止まったように不在の家主の荷物が詰まっていたり、後継ぎとなる人が遠方に家を建てて暮らし、墓参りの時に宿泊するためにキープしていたり、仏壇があるから、ご先祖様に申し訳ないから人に貸したり売るなんてもってのほかだったり、もう持ち主がおらず、近所の人が庭やゲシ、周辺の草刈だけは頑張っていたりする。

傍からみると、ただただ「もったいない」けど、事情は意外と深刻かも知れない。だからこそ売りたい家が多く、貸すという文化が根付いていないのかも知れない。そして驚愕の事実がもうひとつ。「都会で失敗した都落ちが田舎に逃げて来る」、という田舎伝説があるのも来てみてわかった。「都落ち」の意味が解らなくて辞書で調べたのも事実。

そんな訳で、空き家はいっぱい、なのに住めるとこは少ない。移住にあたり、地域おこし協力隊という制度に乗れて、有限ではあるけどお仕事が貰え収入を得られて、割とスムーズに住まいも決まり、新たな場所にいるわたしのこれからの使命のひとつは、「田舎に住みたい!」と思った方々に、コミュニティを提供できる人になることだと思っている。そのためには、その土地に暮らす方々と沢山お話しして、わたしのことを知ってもらい、移住者という名の「よそ者」を受け入れてもらえるような環境をつくることだと思っている。おこがましくも。

(※1)Jターン…地方から大都市へ移住した者が、生まれ故郷の近くの地方大都市圏や中規模な都市に戻り定住する現象

(※2)ゲシ…家のまわりの土手


(ありみつりさ)


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