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復讐の半魚人

半魚人が復讐に来るのじゃ。なぜ?いつ?どこで?詰まらない事を聞くんじゃない。誰もが疑問を持つ事柄というものは、実は誰もが答えを知っているという事と同義なのじゃ、従ってそれはもう確定事項なのじゃよ。半魚人じゃ半魚人。半魚人が復讐に来るんじゃぞ。何しろ半分魚で半分人類なのじゃ。おぉ気持ちわるい。我々のような、半分カピバラで半分サンショウウオという尋常の形態からはかけ離れたおぞましい生物なのじゃ。大変じゃ大変じゃ。どうしたらいい?どうすればいい?あいつ等はエラ呼吸なのか肺呼吸なのか、はたまたその両方なのか、それすら分からないんじゃぞ。うおお気色わる。我々のように、尻の穴からおしとやかに呼吸を行う生物とはそこからしてかけ離れておるのだ。エラだの肺だの、ちょっと想像がつかん。しかもじゃ。あいつ等は二本の足で地面を歩き回るのじゃ。事によると走り出す場合もあるらしい。それも、ペタペタと足の裏を片方ずつ地面に押し付けながらな。…いよいよおまえ等も深刻な顔付きになってきたな、そうじゃよ、長いベロと腸管とを交互にプロペラのようにぶん回しながら地表をのたうつように動きまわる我々高等生物とは全く完全に異なる生命体なんじゃよあいつ等は。おいこらちょっとそこ!床にゲロを吐くんじゃない!まったくきたねぇなあちゃんと掃除しとけよまったく…。えーと何だ、しかも奴ら半魚人はなぁ、なんと口から音声を発して意思疎通をはかっているらしいのじゃ!これに気付いた時はさすがのワシも驚いたね。まさかとは思ったよ、口から音を出すとはねェ…ふぅむ。奴らはどこまでも汚らしく、且つ非知性的な生物なのだとつくづくと思い知らされたね。なぜ彼らは我々のように、鼻くそをメッセージの内容に合わせて様々な形状に丸め、それを尻の穴に詰めて屁の風力によって相手の口中に放り込むという鮮やかで洗練された伝達方法をとらないのじゃ?ま、そこに思い至るほどの知性が彼らには欠けているのじゃろうが。ムフフ。しかしまあここまで考えてみると、半魚人なぞ姿形がおぞましいばかりでそこまで恐れるほどのものでもないのかもしれぬ。うむ、きっとそうじゃ。何しろ二本の足でペタペタ不格好に歩き回るようなデタラメな奴らだからな。ワシとしたことが、ちっとばかり慌てすぎてしまったわい。そうじゃ、焦っていても妙案は浮かばぬ。気分転換に皆で何か雅なゲームでもしようかの。どんなゲームが良い?ふむ、お互いの目ん玉を糞に浸して放り投げた後に地べたを転げ回りミミズを咥えながら屁の回数を競い合うゲーム?おぉそりゃあいい。半魚人ふぜいには到底思いつかないような、品の良いゲームじゃ。人生は有限じゃからな。楽しまなくては損じゃ。おっ、お前早速ワシの目ん玉を取りゃあがったな。こりゃ、そう上手くはいかんぞ。今ワシの糞をお前の目ん玉になすりつけてやるからな。こりゃこりゃ、どこじゃどこじゃ。待て待て、どこじゃどこじゃ…

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