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入社2日で社長になりました。

入社式

「入社おめでとうございます!」

2012年 4月1日 に僕(野扖 洋史)は新横浜にあるSKYという会社に入社した。

第1希望の会社ではなかったけど、社員約300人の将来性があると言われてる「SKY」という自動車整備会社に入社出来て満足していた。

第1希望は航空会社のパイロットだった。3次面接であっけなくお祈りメールを受け取った。

空港でパイロットを見かけると少しなんかモヤモヤする。
高収入でカッコいい職業に自分も就きたかった妬みからだろう。

そんな事を考えながら、社長の挨拶を聞いていた。

タートルネックにジャケット、黒髪のツーブロックヘヤの元K-1チャンピオンの魔裟斗みたいにキリッとした顔のイケオジの社長。
奥さんは絶対インスタやってんだろなって感じ。

オレも社長になったらパイロットに勝てるかなぁ。

ひたすらそんな事考えてたら入社式は終わった。

部屋を移動して、今度は会社の規定や、会社の設備の説明があるらしい。

「君はこの会社でずっと働くの?」

部屋への移動中に今回僕と一緒に入社した5人のうちの1人、奥西賢治が質問してきた。

既に嫌いだ。

なんだその質問。既にこの会社を馬鹿にしてる感じが腹立つ。

「わからないけどなんで?」

「オレ起業したいんだよね。。だから、この会社でマネジメント学んだら、独立したいなぁって感じ。」

本当に起業する気のある奴は、すぐに行動してる。

「凄いね。僕にはそんな事今考える余裕ないなぁ。」

「まぁ…短い間かもだけどよろしくね!」
と言って前髪いじってる。

「よろしくね。」  

天パのくせに前髪整えても意味ないんじゃ?と思いながらとりあえず話を合わせた。

説明会のある部屋に着いた。
Googleをイメージしたかのような、カラフルな部屋。10人くらい入れる談話室みたいな部屋だ。
前にはホワイトボードが置かれていた。

横並びに並べられた椅子が5つあった。私は1番左端に座った。

奥西は1番右端。

僕の隣には、めちゃくちゃコミュ力高そうな田上翔が座ってきた。こいつはモテてきただろう。
なんでこういう奴はみんな髪の毛ツーブロックなんだろう。
顔は少し色黒でサーファーっぽい。

その隣の真ん中には唯一の女子である、谷口 ローサ。内定して名簿を見た時からずっと会ってみたかった人だった。
見た目は全然ローサではなかった。
黒髪ショートで化粧も薄い。目はぽってりした感じで、ゴリゴリの理系女。

その隣は遠藤幸太。
特徴はない。落ち着きがなく、ずっと膝をさすってる。カバンにチップとデールのキーホルダーがしてあるのが気になる。

その更に右隣の男は、小久保隼人。黒縁メガネかけてインテリ系な見た目。なんとなく好感が持てる。

みんなが着席したと同時くらいに、部屋に人事担当の江上さんが入ってきた。

「皆さん入社おめでとう御座います。今日からよろしくお願いします!」

小柄で顔は普通。目はぱっちりしてて、アヒル口。ちょっと残念な永野芽郁みたい。

但し…巨乳。

おそらく本人もわかってるんだろう。

めちゃくちゃ背中を反って歩く。巨乳ってそんな歩き方になるのかなぁ。

奥西の前髪のいじりが激しくなった。

「タバコ吸う人いますかー?ここ喫煙所ないので外になってしまいますが…」

オレはこの質問がいつも腑に落ちない。タバコは病気じゃない。そいつらのために時間作る意味がわからない。勝手に吸ってくれといつも思う。

結局誰も喫煙者は居なかった。

社内規定やら社員証の説明やら説明は2,3時間も続いた。

「質問ある人ある人いますかー?」

「一点いいですか?」ずっと落ち着きなかった遠藤が手を挙げて言った。

「遠藤さん、どうぞ!」

「あのー、有給休暇についてお聞きしたいんですが…年間最低取得数はどれくらいですか?」

入社初日にそんな質問する奴と一緒に仕事すると思うと残念というか、悲し過ぎる。

「そうですね…最低20日はみんな取得するようにしていますよ。」 若干の呆れた様子だった。

自分が遠藤と同類に思われたくないので、この質問に興味ないような雰囲気を頑張ってだした。

採用したのあんたたちだろ!と呆れ顔の江上さんにも若干怒りもあった。

「その他特に質問ありませんかー?」

「特に無ければ、今日は解散します。明日は内示があるので、9時にこの部屋に集合して下さい。

「お疲れ様でした。」

巨乳のせいで何も話は頭に入ってこないが、どうやら明日内示があるらしい…

入社前に希望聞かれて、僕は【開発部】を希望した。

大学の専攻は材料力学が主な専門だった。

大学では大して勉強してないから専門もクソもない。

どうせ希望通りはならない。

大学受験も前期は失敗して、後期で地方の国立大学に合格した。

親は喜んでいた。国立というだけで喜んでくれた。

大学受験も就職活動も常に第1希望にはならない人生。

常に第1希望にはならなかったが、与えられた場所で頑張る事は得意だった。

今回も、この会社で頑張りたいという気持ちはある。

入社初日は、社長をみてモヤモヤしたのと、奥西が嫌いになったが、巨乳が見れてラッキーな1日だったとも思った。

普通誰か飲みに誘ったりしそうだが、そんな事言う奴もおらず、そのまま解散した。

普通は社会人になるってワクワクするものだと思ってた。

とりあえず帰りの電車で、youtubeでホリエモンチャンネルでも見る事にした。なんとなくモチベーションが上がるからだ。

僕が偉そうに誰かに語るときは基本ホリエモンチャンネルでホリエモンが言ってたことのパクリ。

自分の意見なんて実際はない。

今日はゲストに眼鏡屋で成功したOWNDAYの社長の田中修治さんが出ていた。

(田中修治さん)「アイデアを持っていても、行動する人ってほとんどいないんすよ!」

カッコいいなぁ。オレもホリエモンにゲストで呼ばれるようなビジネスマンになりたい。

ビジネスで成功するアホみたいな妄想ばかりしながら、家に帰宅した。

内示

(江上)「おはようございます!

今日は内示が最初にあります。

早速ですが、人事部長の小川部長から発表してもらいます。」

(小川人事部長)「おはよう!希望通りかは分かりませんが、配属された部署で頑張って下さい。

それでは、発表します。」

昨日とは違い、みんな少し緊張してる。

すぐ辞める予定の奥西が1番落ち着きがない。

iPadをスクロールしながら、小川人事部長が内示を読み始めた。

(小川人事部長)

「まずは…奥西さん、整備部第1グループ

遠藤さん、整備部設備グループ

谷口さん、経理部

田上さん、営業部国内戦略チーム

小久保さん、開発部海外戦略チーム

野扖さん、社長

以上です。

皆様にはとても期待してます!

頑張って下さい。

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