Pirolone

今日も崖っぷち。 音楽と本と映画を与えておけば大人しいです。

Pirolone

今日も崖っぷち。 音楽と本と映画を与えておけば大人しいです。

マガジン

  • 小説(受信箱)

    単発・未シリーズ化の小説。

  • 写真

    彷徨った先で良いなと思った風景を集めています。

最近の記事

  • 固定された記事

去りゆく冬の日々

――10月8日(木) 煙草の煙を通して、凪いだ海が見える。気持ちのいい晴れだ。遠くにはぽつりぽつりと雲が見える。空気は少し冷たい気もするが、陽射しは温かい。朽ちつつあるコンクリートの桟橋にいるのは俺と、釣り糸を垂らす爺さんだけだ。 「釣れますか?」 「釣れないね」 「そうですか」 そして、また煙草を一口。 「あのバイク、あんたのかい?」 「そうですよ」 「ツーリングか何かの途中?」 「いや、特に行くアテもないのでフラフラとしています」 「仕事は?」 「会社の偉い人に手

    • +21

      北野天満宮 もみじ苑 ぶらり散歩

      • 不公平な誘拐

        呻きとともに目が醒めた時、遠くでくぐもった罵り合う男女の声が聴こえた。目と口をテープか何かで塞がれているようだ。何も見えない。頬に当たる冷たさを感じるところをみると、床に転がされているようだ。腕と脚に食い込むロープで身動きもろくに取れない。後頭部が熱く、痛い。一体、何がどうなっているのだ?金曜日、なんとか仕事を終えて家に帰ろうとしていたところまでは覚えているのだが。 男女はどうやら二人組のようだ。だが、どうにも音がハッキリしない。耳栓でもされているのだろうか。その罵り合いも

      • 固定された記事

      去りゆく冬の日々

      マガジン

      • 小説(受信箱)
        2本
      • 写真
        1本