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充実感と危機感 〜2021シーズン総括〜

はじめに

横浜F・マリノスの2021シーズンが無事終了した。今年もコロナ禍での闘いとなったがクラスター等による活動休止もなくシーズンを走り抜けたことに感謝したい。また、最終節後のセレモニーでも喜田さんが触れていたが、チームスタッフの貢献度は言葉では表せられないほどのモノだったと思う。改めてこの場で感謝申し上げたいと思います。

さて、今シーズンの成績について簡単に記したい。

《リーグ戦》
2位 勝ち点79 (24勝7分7敗 82得点35失点)
《ルヴァン杯》
GL1位 勝ち点14 (4勝2分 17得点4失点)
PO敗退 (vs札幌)
《天皇杯》
2回戦敗退 (vsHonda FC)

結果として2年連続の無冠に終わったわけで、満足の出来るシーズンではなかった。今年はACLもなかったし昨年ほどの過密日程ではなかった。だからこそ無冠という結果に対する悔しさはかなり大きい。

と同時に『はい、2021シーズンはダメな年でした』で終わらせようとも思わない。良かった部分も当然あったしそれは来年以降に引き継いでいかないとね。

ということで個人的に今シーズン思ったことを書いていきます。(※カップ戦は運要素強めのコンペティションだと思っているので今回は省略)

充実感に満ちた“強者の闘い”

シーズンを通して良かった点は沢山あったが、ここでは2つのポイントに触れたい。

①先制した後のゲームコントロール

昨年のシーズン終了後、全チームのデータを色々と眺めていたが、そのなかでマリノスがワースト1位だったのが“逆転負けの数”だった。2020年の先制時の戦績は11勝1分7敗という散々なモノで、先制後のゲームコントロールの面で大きな課題を残していた。

一方、今シーズンの先制時の戦績は21勝1分1敗。最後に逆転負けを喫した5月のアウェー鹿島戦以降、先制時の戦績は14連勝。昨年頻繁に見られた前線の選手が追加点を狙い、後ろの選手の押し上げが間に合わずに間延びするようなケースはほぼ無くなった。闇雲に点を奪いにいくわけではなく、かといってベタ引きするわけでもなく、全体を押し上げてチームとして追加点を狙うやり方が浸透している印象を受けた。だからこそ1vs0で逃げ切れたり、終盤に追加点を奪って2vs0で勝ったり、大量得点で勝ったり、と1つのパターンにならずさまざまな“先行逃げ切り型”を手にしたと思う。

サッカーにおける先制点の重要性は説明するまでもなく、これはJリーグに限らず海外リーグも含め、強豪クラブは『先制点を奪い、自分達のペースに持ち込み、しっかり勝ち切る』という型を持っている。そういった意味で今年のマリノスはいわゆる“強者の闘い方”は出来ていたと思う。(※ちなみに川崎は先制時の戦績が73勝13分で86試合負けなし記録を継続中。上には上がいるのでマリノスもそこを目指してほしい。)

②2桁ゴールのストライカー&得点王

まぁここはやはり触れておきたい。2年ぶりのリーグ最多得点(82得点)を記録した今シーズン。そして“3年連続3選手が2桁ゴール”という偉業を達成。これはJリーグ史上初の快挙だ。

振り返ればシーズン開幕前の下馬評は低かった。エリキとサントスの2桁得点コンビはなかなか埋まらない、と。この低評価に真正面から立ち向かい反骨心を見せてチームを引っ張ってくれたのが前田大然&オナイウ阿道の日本人ストライカーだった。前者は得点王、後者は海外移籍とマリノスサポーターでもなかなか予想出来なかったであろう大活躍だった。

さらにシーズン途中加入のレオセアラも素晴らしかった。コロナ禍による合流の遅れ、コンディション調整の難しさ、家族と離れた生活の苦しさ、、いろんな困難を乗り越えて見事に2桁得点を達成。いやぁ、文字にすると簡単なことだけど本当に凄いなぁと改めて強く感じる。。

勿論、チーム戦術や周囲のサポートがあって初めて得点が奪えるわけだが、やはり来年以降も毎年のようにゴールゲッターが生まれてくればチームの士気も上がってくるに違いない!

追いかける立場の優位性を活かせなかった“メンタル面の脆さ”

ここまでは『強者』というキーワードから良かった面を振り返ったが、無冠という結果である以上、チームとしての課題も突きつけられた。ざっくり言ってしまえば、、、

・畠中離脱後のビルドアップの不安定さ
・先制点を与えてしまった後の闘い方
・割り切った相手(主にブロックを敷く)の攻略法

このあたりが挙げられると思う。とは言っても私は戦術ボードを用いて語れるほどの戦術家ではないので他の優秀なマリサポの方に任せたい。

私が言及するのは“メンタル面”について。と言ってもああだこうだ批判するというわけではない。結論から言ってしまえば『マリノスの選手やサポーターはもっとマリノスのサッカーに自信を持って良い』ということだ。

今年の優勝争いにおいて“追う立場”というのは2019年と同じだった。あのときは毎試合のように先制点を奪い、イケイケの状況で闘い、そして勝ち続けた。一方、今シーズンは先制点を与え、焦りも見られた。これに関してはクラブとしての経験値がまだ足りていないし場数を踏むしかないと思っている。

優勝した川崎も3試合連続で先制点を与えていた時期があったが、結果は3試合連続で逆転勝利。そんな川崎との決定的な違いが“0vs1になって慌てたか否か”だと思っている。

もちろん追われる立場の川崎は“引き分けOK”という心のゆとりもあっただろう。だとしても失点後の選手個々の振る舞いやチームが醸し出す雰囲気の差は感じざるを得なかった。

この点に関しては来年以降もマリノスの大きな課題となって立ちはだかると思う。近年のマリノスの選手編成は20代の選手が多くを占めており、30代の選手は数えるほど。チームが苦しいときに耐える、踏ん張れる、そんな精神的支柱となれる選手がどれだけ出てくるか、楽しみである。

先日配信されたDAZNのドキュメンタリーで何人かの選手が触れていたが、アタッキングフットボールを遂行する為には“信じる気持ち”がとても大事な要素である。これは我々サポーターにも問われていることだと思う。改めて私自身も応援する上で大事にしていきたい。

“危機感”を持ち、来季こそはタイトルを

最後に軽くまとめを。マリノスはリーグのなかでも上位クラブだ。これに関しては他サポからも異論はないと思う。

だからこそ今のマリノスの立ち位置はかなり難しい。監督や選手を入れ替え、リーグでも結果を出してきてる神戸・浦和・名古屋。大変革に舵を切った鹿島・FC東京。変化を起こしたクラブの最初の2,3年は怖いものなしだ。そのことは2018年に攻撃的サッカーに舵を切り、翌年にリーグ優勝したマリノスが1番理解している。

我々マリノスはそういったクラブをなぎ倒しながら、王者・川崎を追い越さなければならない。非常にタフなミッションだ。でも常勝軍団を目指す上ではこれは避けて通れない。必ず出来る、トリコロールなら!来年も期待するのみ!