「ブクロ」 クロネコと電脳の城13
2階の部屋に入ったブクロは部屋の奥にあるカプセル状の機械の前に立った。
機械の前にあるタッチパネルで何やら操作を始める。
するとカプセルの蓋が開き、中から炭酸ガスの煙が溢れ出た。
ガスが消えたところでブクロは口の中からレンを吐き出しカプセルの中に入れた。
そしてまたタッチパネルを操作して機械を動かし始めた。
機械に直結する透明なパイプに数字が流れ込み始める。
数字はレンの体に吸い込まれるように消えていく。
「ん?」
ブクロは驚いた様子でタッチパネルを操作して機械を止めた。
機械を止めたにも関わらず数字はレンの中に流れ込んで止まらない。
「おやおや、これはいったい」
ブクロはカプセルを開けてマジマジとレンを見た。
レンの体に次々と数字が染み込んで消えていく。
数字が入る度にレンの体は淡い緑色に光って消えてを繰り返す。
まるで蛍のようだ。
「まさか・・・この子本当にそうなのか・・・」
ブクロは驚きを隠せない様子でレンの姿を見ていたが、おもむろに舌を出すとレンを絡め取り、再び口の中に入れた。
そして部屋を出ると、廊下を進んで別の部屋に入っていった。
部屋のベッドにレンを寝かせると、緑の点滅を繰り返すレンをぼーっと見ていた。
「ピンク様も人が悪い・・・」
そう言ってブクロはレンを残して部屋を出た。
部屋を出たところで建物内のスピーカーからレディピンクの声が響いた。
「ブクロ、追手が来たみたいだからよろしくね」
「ええ!?私がですか?」
「お前以外に誰がいるんだい。私はシャワー中だからよろしくね」
「・・・・。」
ブクロはうんざりした表情でエントランスに向かった。
さっきまで静かにゆっくりのんびりと昼寝?夜寝?ができていたのに、あの人が帰ってからなんだってこんなに忙しいのかと閉口した。
エントランスのドアを開けて外に出る。
ドアを閉めて庭先を少し進むと、上空に魚に乗った電脳猫が2匹いるのが見えた。
電脳猫は空中を回遊し、仲間を呼ぼうとしているのかもしれない。
ブクロは大きく息を吸い、吐き出しながら雄叫びを上げた。
ブウオオオオーーーーウウ
ブクロの上げた雄叫びに電脳猫たちは気づいたが、次の瞬間電脳猫の体が歪み、空中で勢いよく回転し始めた。
ブクロは大きな口を開け一気に空気を吸い込み始めた。
電脳猫たちはグルグル回転しながらブクロの口の中に勢いよく吸い込まれた。
電脳猫が入り込んだところでブクロは口を閉じ、ゴクリと飲み込んだ。
すると今まで普通だったブクロのお腹が風船のように一気に大きく膨らんだ。
5メートルくらいは膨らんだであろうブクロのお腹は今にもはち切れそうだったが、息を吐き出すとゆっくり少しずつ萎んでいき、しばらくすると元のお腹に戻っていた。
電脳猫たちはブクロのお腹の中に消えてしまった。
「ああ、グッフェ、グフ、グアーあ」
「もう、眠いわ・・・」
そう言ってブクロはゆっくり建物の中に戻っていった。
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