第18話  【メタルハート 18話 世界へ】

 メタルハート 18


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第18話
 【メタルハート 18話 世界へ】

 気づくと俺はダードゥと戦っていた。突然戦闘に放り込まれたことで動揺したが、どうにか立て直す。

 ロウはダードゥの攻撃を避けると、距離を取った。

「ん、どうした。突然人が変わったように」

 ダードゥは何か変化を感じ取ったようだ。しかし、その真相には辿り着いてはいない。

 ロウはダードゥを無視して、アイサの方を向く。

「アイサ! 無事か?」

 アイサはそう聞かれて、ロウが戻ってきたことに安堵した。

「えぇ、一応……ね。でも、加勢はできそうにない」

 アイサはダードゥの攻撃を喰らったことで身体が動かない。

 アイサの傷はかなり深い。一回の攻撃だったとはいえ、その一撃で身体がいうことを聞かなくなってしまった。

 しかし、アイサはダードゥの攻撃を喰らうほんの一瞬前に、その攻撃を見切り、少しだけ身を躱した。そのため、意識は保っている。
 だが、油断をしてしまえば、すぐにでも気を失ってしまう。

 ロウが頑張っている中、ここで気を失うわけにはいかない。

 アイサは目の前が少しずつ暗くなる視界の中、それでもロウの戦いを見守っていた。


 ロウは短剣を握った状態で警戒するように、ダードゥと距離をとりながら、その周りを右回転で回る。

 それはダードゥの力がまだ理解できていないからだ。

 最初の一撃は気づいた時には斬られていた。

 どんな攻撃なのか。

 騎士に入隊仕立ての時、同じような技を使う生徒と戦ったことがある。

 その彼もロウと同じく騎士見習いであったが、ロウは当時は彼になかなか勝つことができなかった。

 その時に聞いた技。それが居合い。

 剣を鞘にしまい構える。そして攻撃と同時に抜き、一撃で攻撃を終わらせる。

 武器をしまっていることから、不利に見えてしまうこの技。しかし、その構えこそが速さを生む秘策であった。

 ダードゥはそれと同じ技を使った。

 杖の仕込み刀を一瞬のうちに抜き、それで二人を斬りつけた。

 ダードゥの技は一流だ。それをロウに理解させる。それがあの技だった。

 だが、ロウにはうっすらと覚えているが、別の戦闘も覚えている。

 それは無意識のうちにダードゥと戦っている光景。

 自分の身体が自分の身体でないかのように。夢の世界の動きのように。制御のできない身体が、勝手に戦っていた光景。

 その光景を覚えていた。

 そしてその時の戦闘はダードゥと互角。ロウはダードゥと互角に戦っていたのだ。


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