第2話  【雪山の温泉 其の2】

 せかへい 外伝21


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第2話
 【雪山の温泉 其の2】

 温泉旅行の応募で当たったパト達は、その旅行に行くことになった。メンバーはパト、エス、ルンバ、カナー、エリス、ヤマブキの六人。

 六人はしばらく馬車に揺られて、ほぼ一日経った頃にやっと目的地に到着した。

 そこはあたり一面が白銀に覆われた雪の積もる山。見渡す限り白い空間が広がっており、馬車を降りてからは歩くのにかなり力を使った。

 着いた旅館は二階建ての木造の建物。大きくてかなり立派な建物であるが、古いものであるらしく所々痛んでいる場所もある。
 だが、それもそれで味があるいい旅館だ。

 早速旅館に入ると、そこには長髪で無気力な目をした若い女将さんが出迎えてくれた。年齢はパト達と大差ないくらいだろう。

「……いらっしゃい」

 元気のない声で出迎えてくれる。そんな様子を見たエスが心配する。

「大丈夫ですか? 元気がないようですけど」

「元からです」

 女将さんはそう答えると、そのままパト達を中へと案内する。
 中にはあまり人がいないのか、静かな様子だ。

「他にも泊まっている人はいるんですか?」

 ルンバが聞くと女将さんはこちらを向くことなく。

「……4名ほど」

 そう答えた。

 そのあと、案内された六人は2階に行き、

「……こちらの三部屋となっております」

 三つの部屋を紹介された。

「それじゃあ、誰がどの部屋だ?」

 エスがそう言った時、問題に気づく。

 案内された部屋は二人部屋が三つだ。

 今いるのは男三人。女三人だ。そして男女で別れようとしても、一部屋だけ男女が一緒になってしまう。

 そんな中、エスが手を上げた。そして真顔で、

「俺をカナーと一緒にしてくれ」

 エスは殴られた。

 エリスは腕を組む。

「これは困ったね」

 どういう部屋の構造なのか。そこまでは調べていなかった。当たってすぐだったため、準備が忙しくなんやかんやで見逃していた。

 そんな中、エスが手を上げた。

「俺は縛って目隠しして、俺をどうしてくれたって構わない!! さぁ!! 俺を縛ってくれ!! それなら同じ部屋で……ぐば」

 エスは再び殴られた。

「この変態は放っておこう」

 カナーはエスをボコボコにした。エスはその辺で横たわる。

「私ハパトノ護衛ナノデ、同ジ部屋ノ方ガ助カリマス」

 ヤマブキがそんなことを言う。しかし、

「いや、ヤマブキさんが俺の護衛というのは分かるが流石にな……」

 それにヤマブキがそんなことを言ってからの、エリスの目が怖い。

 そうやって困っていると、

「ぱっぱらっぱー!!」

 突然女将さんが変なことを言い出した。まぁ、棒読み感がすごいが……、

 その突然のテンションにみんなは唖然とする。

「そんなお困りの皆さんに今回は特別大サービス。……もう一部屋おまけしましょう」

 女将さんのテンションのキャラクター性にみんなは驚く。固まっているみんなを見て女将さんは、

「どうかしましたか?」

「いや、突然喋り方するから」

「私はこんな人間ですよ」

 女将さんはそう言うと、もう一部屋サービスしてくれた。というかもう少し早めに言ってほしい。


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