第1話  【平和な日常 其の1】

 せかへい 外伝16


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第1話
 【平和な日常 其の1】


 ある日本にある高校。その高校に通う少女がいた。

「おーい、日菜!!」

 黒髪長髪の少女の後ろに黄色いリボンにポニーテールの少女が抱きつく。

 ポニーテールの少女は抱きついた勢いのまま、長髪の少女を軸に2回ほど回転して止まった。

 回転を止めた後、ポニーテールの少女は長髪の少女の正面に立つ。ポニーテールの少女が長髪の少女の顔を見ると、ほっぺたを膨らまして怒っていた。

「加奈〜…………食えない」

 少女の手には食パンが握られており、それを食べていたようだ。
 加奈は呆れた様子で日菜に言う。

「まぁ〜た、食べてるの〜」

 日菜は無視して食パンを齧る。

「太るよ……」

 加奈が続けていった言葉に日菜は一瞬動きを止める。まるで石になったかのように……。

 太ると言われたことがショックだったのだろう。日菜は食パンを齧ったまま固まっている。

「おーい、日菜、大丈夫か〜?」

 加奈は日菜の顔のすぐ近くで手を左右に振って、日菜の意識を確かめる。

「あー、ダメだこりゃ」

 加奈は日菜の状態を見て諦める。この状態に入ってしまったらなかなか戻らない。
 どうしようか加奈が迷っていると、二人の前にある男子生徒が現れた。

「ん、お前ら何してるんだ」

 二人の友人である神宮寺 優斗だ。優斗は学校のバックをリュックのように背負って登校していた。

「いや、日菜のやつが固まっちゃって……」

 加奈は頭を掻きながら説明する。

 そんな様子の加奈を見て、

「またお前なんか言ったんだな」

 優斗はため息を吐きながらも事情を理解した。

 優斗は日菜の後ろに回り込むと、日菜の頭にチョップを食らわせる。

 すると、優斗のチョップで日菜の周りを囲っていた岩が砕ける。まぁ、実際に囲っていたわけではなく加奈のイメージでの話だ。
 日菜は意識を取り戻した。

「あれ、私……今まで何を……。ん、優斗……いたんだ」

 そう言いながら日菜は食パンを齧る。

「まだ食うのかよ!」

 加奈が日菜の自由さに呆れていると、優斗が腕時計を見て焦り出す。

「あ!! やば、もうこんな時間だ!!」

 時刻は8時40分。残り5分でホームルームが始まってしまう。

「おいお前らも急げ、遅刻するぞ!!」

 優斗はそう言いながら急いで学校へと走っていく。

 加奈も優斗を追うように、

「日菜、私たちも急ぐよ」

「うん」

 走り出した。日菜は食パンを食べながら走っている。

「お前はいつまで食べてるんだよ!!」


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