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イベントメモ :「プロダクトマネージャー組織」どうつくる?ここでしか聞けないPdM採用・育成・評価の話

本記事は 2023/9/7 に開催された表題のイベントでのトーク内容をメモ的にまとめた記事です。現地開催にもかかわらず 187 名申し込みという盛況なイベントで、行きたかったのにいけない、しかも全編トークセッションなので内容わからないじゃねーか!という方もいるかと思い、少し粗いですが個人的に取ったメモを共有します。イベント URL は下記です。

https://midastech.connpass.com/event/289887/

目次は以下の通りです。登壇者の方の発言をメモする形でまとめています。登壇者の豪華面々は次の通りです。

  • 山崎 聡 | エムスリー株式会社 取締役CTO兼VPoP

  • 宮田 善孝 | CPO協会理事 兼 ALL STAR SAAS FUND PM Advisor

  • 重村 裕紀 | 株式会社GENDA CPO


※サムネイルは hedera.baltica さんのすずめの写真を使わせて頂きました。

プロダクトマネージャーの「育成」について

  • プロダクトマネージャーは本当に重要な役割なので育成が難しい。PdMの意思決定次第でエンジニア数名のキャリアが影響を受ける(山崎)。

  • PdMはなろうとしてなった人がいないので難しいのかも(宮田)。

  • 自分はPdMをずっとやりたいと言い続けていた結果なった(重村)。

  • 今までは自然に生まれた人が多かったが、GoogleなどがAPNなどアソシエイト職を用意して順序だてて育成していくようにした(山崎)。

  • プロダクトマネージャー同士が学び合える環境を作るのを重視している。書籍を読むだけでなく実践をする必要があるが、1人の実践の時間は限られている(山崎)。

  • 英語の文献を読んでいる人が圧倒的に少ないと思う。海外だとPdMって普通にいるので、そこにアクセスしていないとかなり機会損失している(宮田)。

  • SmartNewsのPMに戻ったときは、PdMの海外のカンファレンスに行くと今日ここの議論が5年前に終わっていたりする。海外の先進事例はどん欲に取っていっていいと思う(宮田)。

  • エムスリーはレベルを 3 つ定義している。レベル 1 はアジャイルをうまく回せる ( プロダクトオーナー + α ) 。レベル 2 は 1+ プロダクトマネジメントの技法を身に着けている。レベル 3 は年間利益 50~100 億を作れるレベル。(山崎)。

  • プロダクト開発チームの力はプロダクトマネージャーの力でキャップされるのでレベルを上げるのはとても重要(山崎)。

  • アドバイスを与える時はレベルを意識することが重要。レベル 1 の人に 3 のアドバイスをしても混乱する(山崎)。

プロダクトマネージャーの「評価」について

  • 営業利益、顧客価値 ( アンケートなどの評価 ) 、組織開発などが評価軸でスキルはみてない(重村)。

  • レベル定義 ( ラダー ) が育成、評価の根幹だと思っている(宮田)。

  • エムスリーはキャリアラダーを使っていない。意図的に使ってなくて、一度決めてしまうと変更しにくい ( 運用が重い ) 。技術進歩も早いので大きなイメージを持ってもらうのにとどめている(山崎)。

  • 評価は生み出した価値を評価している。利益換算が多いが、長期的な価値を評価するため LTV 的な考えで評価している(山崎)。

  • グロースハックしている人はわかりやすいが、新規プロダクトの場合いい線行っているかどうかなどで評価する(山崎)。

  • 収益が上がっているところに配属されると評価めっちゃ上がるといったことが起こらないようバランスを取っている(重村・山崎)。

  • プロダクトビジョンがかけているかは評価が難しくないですか? (山崎) => 人に伝わっているかどうか ( ステークホルダーや顧客 ) で判断している(宮田)。

  • グレードがあると中途採用が難しいと感じている。前職とスキルセットがマッチするわけではないので、実質グレード 2 だけど給料的に 4 を上げないといけないシーンがある(山崎)。

  • 同世代のグレードが見えるとモチベーションが下がるので見えないようにしている(重村)。

プロダクトマネージャーの「採用」について

  • シリーズ A~B ぐらいのスタートアップだと、 1 人目 PM の採用か、拡大のためのリードの人の採用が主。 PM は経験者を採用しないようアドバイスしている(宮田)。

  • プロダクトのビジョンはドメインを知っていないと書けないので、ドメイン知識がある人を最優先にして PdM のやりかたは教える(宮田)。

  • IT コンサル的な方はドメイン知識とコンサルティングスキルがあるので素養としてあると思う(宮田)。

  • エムスリーでは良いプロダクトを作ったことがある人を重視している。この経験は何にも代えがたい。が、少ない(山崎)。

  • 医療のドメイン知識を持っている人は極少数なので、逆にプロダクト開発経験がある人を狙っている(山崎)。

  • BtoC のプロダクトだとドメインのキャッチアップがすごい速いのでプロダクト開発のスキルを重視することはある(宮田)。

  • 採用ツールに張り付いてアプローチをし続けていた(重村)。

Q&A

  • レベル 3 育成の時間軸 : 普通は 5~10 年かかる。 ※エムスリーはすべて利益で評価して売上は何の意味も持っていない (山崎)。

  • プロダクトビジョンの良し悪しはヒアリングや分析など背景にある活動から分析している(宮田) => ホームラン級のプロダクトだと明らかに手ごたえある (山崎)。

  • 成功体験の共有についてはエムスリーのブログで書いている。最終的には PdM を集めてローテーションでファシリテーターをして学びを共有している (山崎)。

  • 失敗の分析は成功の分析より総体に得られるものが少ないと思う。どうしてダメだったのかは結構あいまいだが、成功は結構シャープ (山崎)。

  • レベル 3 はいきなりやるのは難しい。一旦一緒にやってお手本を見せるようにしている ( プロドライバーの隣で見るなど )(山崎)。

  • 学びの共有では、聞いてほしいポイントをほめて盛り上げたりしている(山崎)。

  • L1=>L2 は接続しているが、 L2=>L3 は一生かけて学ぶことなのでそこまで行くという気概が重要(山崎)。

  • プロダクトマネージャーとして求められること以外のことも結構学ばないといけない気もしている(重村)。

  • PMM の人材もいるので、他の人とどうやってコラボレーションするか学んでくれるだけで OK ということもある (山崎)。

イベントの感想

山崎さんも宮田さんも記事を事前に読ませて頂いていたので、個人的にですが新しい話はあまりなかったです ( もちろんいい内容であることに疑いの余地はない! ) 。最近海外のプロダクトマネージャーの動画 Product School を見て内容をまとめており、 宮田さんの言われる「PdMの海外のカンファレンスに行くと今日ここの議論が5年前に終わっていたりする」はとても感じるところがあります。

個人的にプロダクトマネージャーの能力は「やれてる」プロダクトマネージャーの姿を見て引っ張られるところが大きいと感じているので、自分の会社にモデル ( いわゆるレベル 3 ) の人がいなくても海外のプロダクトマネージャーが結構ノウハウを話してくれているので考え方や戦略をインプットするのはかなり有効な気がしました。

私は AWS の機械学習領域の Developer Relations として AWS のプロダクトマネージャーに改善提案をしたりプロダクトマネージャー向けに機械学習の活用を推進するワークショップを提供してます。自分自身が将来 (また) プロダクトマネージャーになりたいか? については未定ですが日本で Uber や Airbnb のようなデータ / 機械学習ドリブンで大きくスケールするプロダクトが生まれてほしいと願っているので、今後も本業のプロダクトマネージャーの方に負けないレベルで知見を身に着けていく所存です。プロダクト筋トレのコミュニティで筋トレに励んでいるので見かけたら声をかけてください!


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