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生成AI時代のプロダクト開発プロセス改善 - Working Backwards と Value Discovery で実践

2024/7/16 に、 AWS Startup CommunityPM DAO が共同開催した「生成AIと進める:プロダクト開発伴走プログラム」が7月16日に開催され、大変好評のうちに終了しました。 イベントには9社30名ほどが参加し、満足度は5段階評価で4.4と非常に高い評価を得ました。本イベントでは、Amazon の Working Backwards を使った ML Enablement Workshop のプログラムと PM DAO の Value Discovery を活用し、生成AIをプロダクト開発プロセスの改善に役立てる方法を学びました。

イベント開催の様子

本イベントについて

生成AIを製品や機能に実装することが注目されていますが、それを価値のあるビジネスやプロダクトに変換するには高いハードルがあります。過去のイベントでは生成 AI をプロダクトで活用する方法をテーマにワークショップを行ってきましたが、「顧客起点で考えるプロセスがまだチームとして不十分」「一人で参加してもチームで共有することにハードルがある」というフィードバックをいただいていました。

そこで、今回のプログラムでは、生成AIを組み込む「前段階」として生成AIをアドバイザーとして使いこなし、プロダクト機能の価値を高める方法を学ぶワークショップとしました。 Amazon のプロダクト開発プロセスである Working Backwards を用いて現状の開発プロセスを整理し、プロダクトコミュニティ PM DAO が提供する生成AIサービス Value Discovery からアドバイスを得るというプロセスです。 Value Discovery にはジョブ理論やプロダクトディスカバリーのノウハウが組み込まれており、ユーザー目線での体験構築に効果的なバリューキャンバスが得られます。

Working Backwards

Working Bakcwards のプロセス

Value Discovery

Value Discovery で作成した Value Canvas

生成 AI の助けを借りることで、プロダクト開発プロセスの課題と解決策を短時間で発見することができます。

このプログラムの特徴は、チームで参加いただくことです。

これはフィードバックから生まれた改善点で、メンバーに伝える難しさをクリアするためにこの形式をとりました。さらに、ワークショップ終了後にいざ進めてみて直面した悩みや詰まりどころを解決するためのフォローアップを提供しています。

当日はまず Working Backwards の解説を行いました。

Working Backwards の 5 つのプロセス

"プレスリリースを書くところから始める"というのは聞いたことがある方もいるかもしれません。プレスリリースの構成についても解説をしました。

PR/FAQ の構成

その後、 Working Backwards の各プロセスで用意されている問いかけについて、過去/現在進めている開発はどう答えられるか ? を考えていき、現状のプロダクト開発の進め方を顧客起点の Working Backwards のプロセスに沿って整理していきました。

Working Backwards に沿ったプロダクト開発プロセスの整理

整理した結果は、参加いただいた皆様の間で共有しました。

Working Backwards に沿った整理の共有

後半は Value Discovery の登場です!ユーザーの行動から課題を定義する Listen/Define までの情報を使用して、ジョブ理論等を参照した "AIならどう進めるか" を出力してもらいます。

Value Discovery への入力

自分たちが注目していた顧客や定義していた課題、あるいは解決策として考えていたことを AI 側の提案と見比べることで知見を得ていただきました。

Value Canvas から知見を得る

最後に、得られた知見から Next Action を検討し終了です。使用した資料はこちらで公開しているので、興味がある方はご参照ください

参加者の反応と満足度

イベントには9社30名ほどが参加し、満足度は5段階評価で4.4と非常に高い評価を得ました。特筆すべきは、初の試みである「開発チーム単位での参加」について、回答者全員 (100%!) が「チームで参加してよかった」と回答していたことです。これは、チームで課題を共有し、多角的な視点で意見交換できたことが大きな価値につながったと考えられます。

さらに、本イベントのプログラムを通じてプロダクト開発のプロセスの課題がわかった割合は100% (!?)、具体的なアクションをとる確率が96%と驚異的な数値となりました。参加者からは、「普段業務で向き合うプロダクトをチームでともに考えることで、明日からの業務に活かす視点でワークショップに取り組むことが出来た」といった前向きなフィードバックが寄せられています。アンケートから、非常にインパクトがあったイベントになったと考えています。

今後の展開

自らアクションが取れるチームはそのまま進めていただき、フォローアップを希望するチームにフォローアップを提供していく予定です。本イベントをきっかけとした改善が参加企業から生まれることを楽しみにしています。

今回は、Working Backwards と Value Discovery を組み合わせたプログラムをチームで実践することが、課題の共有と多角的な議論を促進し、プロダクト開発プロセスの改善に大きく寄与することが実証できたと思います。生成AIを活用しながら顧客視点でのプロダクト開発を進めるための実践的な知見を得られる本プログラムは、多くの企業にとって大変価値のある機会になると考えています。今後、フォローアップの状況をみつつ「顧客起点での生成 AI 活用」がコミュニティから生まれる未来に向けてまた企画をしていきたいと思います!

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