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髪、意外と自分で切れた件
コロナのせいにしてきた。
たいして興味のない、有耶無耶の知人との付き合いなんかに、ていのいい言い訳として使ってきた。
コロナなるものを擁護するなんて、そんなバカげたこと、あたしは断じていたしませんが、きゃつの有無を言わせぬ絶対的な権力は、優柔不断を絵に描いて、それから、もうちっとぼやかしてたようなあたしの日々を、片手間に片付けていってしまったのです。
あたしの生活のほとんどをかっぱらっていっちまったわけだから、"髪を切る"なんていう、あたし自身にしか関わらんような些事、残っているはずもないわけで。
一年も前は、一丁前にめかし込んで、下北沢なんて行っていた。体裁だなんて言い訳して、7000円も払っていた。
海藻の如きパーマなんぞかけて、モダンボーイを気取っていた。
一年の後、あたしは7000円も、保つ体裁さえ持っていない。
いかん、遺憾、つい悲観。
別にあたしは悲しんでなんかいないよ。
ただ、知ってしまったわけであります。そんな体裁も、7000円も要らぬってことを。
「self cut」
ユーチューブなるものは、賢者のようであります。知らんことなんて何にもないんです。特に、人間の、愚かな欲望、嫉妬、中傷、なんてものは、コメント欄なる、日本語の墓場に、踏み場もないくらい転がっているわけなんですから。
いかん、遺憾、また悲観。
ユーチューブで、「self cut」。
これでもかと言うばかりに、出てきます。
lets、髪切り。
しかしまあ、美容師さんてもんは、やっぱりプロだねぇ。あんな使い辛い、ハサミ、あるなんてねぇ。
試行錯誤、小一時間やったって、真っ直ぐに切れたりなんか、とてもできやしない。
左右、長さも確実に違う。もともと非対称な顔だとは知っていたのだが、際立ってそう思われた…。
あたしは、簡単に、自暴自棄になってしまう人間で、この時もそうであった。
無作為に束を作り、無造作に切った。そして、また切って、また切る。
いや、これは楽しい。新しい楽しみ。
……。
まあ、いいんじゃね?
(なんだこの記事)
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