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わたしが障がい児看護、精神科看護を経て訪問看護師を目指したわけ—そしてこれから③完結

①②と、わたしが看護師を目指した理由から放課後等デイサービスでの看護で感じたことをお話してきました。
今回はやっと完結編、訪問看護を始めてみての学び、これからのわたしについて、です。
何度も言いますが、自己満足的、初心を忘れないための忘備録でもあります(笑)
そこだけはあしからず。

②の最後に、わたしが放課後等デイサービスでの看護に限界を感じていた時に出会った訪問看護ステーションのことに触れました。
今回はそのステーションでの看護についてからお話していきます。

1.いつかまた子どもたちの在宅支援に関わるために


放課後等デイサービスでの看護に限界を感じて
②で詳しくお話しましたが
代表や管理者の子どもたちもご家族もみんなの助けになりたい思いはわたしも一緒でしたが、
・利用人数が多すぎて時間が足りない
・ひとりにかけられる時間が少なすぎる
事業所全体の、そしてそもそも看護スタッフの人数がまず足りていない。
それなのに、「助けたい」気持ちだけでは、質は保たれず、スタッフが潰れてしまう。
その中で、最低限必要な看護は確実に行い、安全に事故の内容に細心の注意を払って勤務する。
お受けする子どもたちはもちろんですが、一緒に働くスタッフも大切にしなければ、まず事業所は成り立たない。
スタッフのチームワークも必要ですが、同じ方向性を向いて一緒に解決していくだけの意識の統一がとても必要なのだと痛感しました。

子どもたちと関わる中で学び、地域に足りないものは何かと考える機会をいただき、自分が成長したい気持ちを受け入れてくださった代表や管理者には本当に感謝しています。
子どもたちと関わる時間は本当に大事でみんなかわいくて大好きだったのですが、まずはわたしが外に出て勉強をするという道を選びました。

訪問看護での可能性
小児在宅支援、障がい児在宅支援をもっとわたしの住む地域で当たり前に受けられるサービスとして確立したい。
わたしが在籍していたような通所施設や、療育センター、基幹病院、支援学校。それだけでなく、地域の保育園、幼稚園、そして市町村とも。
子どもたちを取り巻く環境の中で、連携を図り必要な支援を確実に提供できるために、もっと勉強して自分の力をつけたいと思いました。
いち看護師でもできることはあるはず。
そのためには訪問看護を通して、地域で在宅医療を受ける人々の様子を学ぶことだと思いました。
限られた時間ではあるけれど、その方に集中して関わることができ、主治医やケアマネ、相談員さんたちと協力して、その方の暮らしを守ることができる。
そのことが訪問看護の一番の魅力だと、今も感じています。

2.訪問看護師として一歩踏み出す

決して甘い世界ではない
主人を置いて、単身生活の中挑んだ訪問看護師の世界。
その世界は魅力いっぱいだけれど、決して甘い世界ではなくて。
わたしは本当に無知だったし、自分の「子どもたちのために在宅支援を学びたい」という想いすら軽薄であったと反省していました。
それはなぜかというと、そういう想いを抱いていざ行動に移した行動力はわたしの長所ではありますが、その想いだけにひっぱられて、訪問看護師として生きていくことへの決心が出来ていなかったんですよね。
というよりも、もっと心の奥深いところまで自分の志を落とし込んでから挑む必要があったのだ、ということを突き付けられました。
人間としても成長をしていかないと、看護師として成長できない。
それは当たり前のことですが、わたしはまだまだ子どもで本当の「強さ」を持っていなかったんですね。

24時間看護に没頭できる場所
いろんなステーションがあると思いますが、わたしが飛び込んだところはみんなが自分の生きる使命として看護に打ち込んでいる場所でした。
24時間看護に没頭できる場所。
同行させていただいた利用者さんの情報から、疾患、内服薬、連携先、いろんなことを頭に入れていく。
出来なかった技術を必死で勉強して、決められた時間で先輩がとてもスマートな身のこなしで、スマートな判断で、看護を展開していく様子についていくのに必死でした。
今までしてきた自分が思っていた「看護」は「看護」ではなかったし、なんという思い上がりだったか、と毎日自分が情けないのと悔しいので泣きました(笑)
なんとなくで経験を積んできたしまったことがいっぱいあったんだ、と反省ばかりでした。
でも、これだけ「看護」に没頭できる環境で、体当たりで学ばせていただけるということ。
こんな未熟なわたしを受け入れて必死に育ててくださる所長さんや管理者さん、サポートしてくださる先輩方。
事務スタッフも本当に心温かい方ばかりで、叱咤激励してくださる方たちだったんですよね。
初めての訪問看護を経験した場所がここで良かったな、恵まれていたなと穏当に思います。
わたしは妊活中の身ですが、「仕事も必死に打ち込んで、家族を守れる強さを持ちなさい、子どもを産むことも全部手に入れなさい」と強く励ましてくださったことは一生忘れません。

賛否両論あると思うけれど
入ってすぐは、みんな仕事に打ち込みすぎて家族をおざなりにしすぎてるのでは?とさえ思っていました。
そんな思いさえ浅はかだったと、すぐに気づくのですが。
常勤で朝早くから夜中まで。緊急電話で時間関係なく飛び出していく。
まだ小学生の子どもがいるのに・・・。
でも、先輩たちは違うんです。「家族を守るため」に看護に一生懸命なんです。「看護」で「家族を守る」。
大事だから二回言いました。(笑)
単純に稼ぐだけなら、看護でもどんな仕事でもあると思います。
でも、訪問看護師として、洗練された看護の実践が、自分の稼ぎとして還ってくる。そのことに誇りを持っている。
子どもたちもさみしい思いを最初はするんだけど、一生懸命打ち込む母親の姿を見て、子どもたちが成長する。
「仕事とは」「看護師とは」「家族とは」を母親の背中を見て学んでいく。
そんな家族教育こそが訪問看護師の成せる業のひとつであるのだ、という究極の形がそこにありました。
そんなひとりの人間としての「強さ」の大切さを学ばせていただきました。

看取りに学ぶ
その時はすぐに来ました。
入って2か月目。
死戦期呼吸をして、もう息を引き取ろうかとしているその時に立ち会わせていただくことがありました。男性の息子さん、娘さんも集まって、その時を見守っていました。
先輩はというと、エンゼルセットをそっと見えない部屋の隅にスタンバイし、呼吸の間隔を遠くから測りながらご家族を見守っていました。
そして最後の呼吸——。
わたし、初めてだったんです。
息を引き取る瞬間に立ち会ったこと。
その方の住み慣れた部屋で、慣れたベッドで。
愛する家族に囲まれて、亡くなっていく。
うまく言葉に出来ませんが、なんかおうちで亡くなるってとてもごく自然なことなのだ、と心にぐっとくるものがあって、涙をこらえるのに必死でした。これが、在宅支援の真髄か、と。
それまでターミナルケアとして、ご本人のケアもご家族へのケアも丁寧に行っていくのはもちろんですが、亡くなる前はどんな身体の変化があるのか、亡くなってからどんな変化があるのかもしっかり時期を見極めてお話しておく。
そして、安心して看取りができる環境を整える。
それまでの看護のパーツがつながって、積み重なって、その大切な瞬間を迎えられるということが本当に素敵なことだなと、温かい、看護の心だなと感じたんですよね。
ご本人とご家族の気持ちの移ろいを敏感に感じ、最期を見極める技術というのは、単なる看護技術というよりかは、人間力が試されると感じます。
生半可な技術では、生半可な想いでは到底できない看護だと思います。

3.訪問看護を目指すということ

何故わたしは頑張れるのか
わたしはこれまで①②でお話してきたように、技術も経験も少なく、自信をもって実践できることはとても少なかったんです。
点滴や採血も本当に苦手でしたし、摘便するのも怖かった。
腸が閉まる感じ?え?どの感覚?みたいな(笑)
それでも、看護に没頭し、毎日看護にワクワクして取り組める環境があったからこそ、一生懸命勉強してなんとか食らいついていく!ということができたと思います。
まだなんだかんだ偉そうに話しても、訪問看護の経験は4か月弱です。
(みじかっw)
でもですね。
新卒さんも、社会経験がない中で訪問看護始めて、アセスメント力とか連携力とかいろんなことを必死に習得しながら、さまになっていました。
訪問看護をすることで自分がどんな看護師になりたいのかというビジョンや、目標にしたい先輩が目の前にいて追いかけることができる環境があったからだと思うんです。
わたしも、新卒と同じようなものでしたから、全くの新人の想いで食らいついていました。
短い期間に何度も泣いて挫折を味わい、苦しいこともたくさんありました。
始めに話したように、甘い世界ではありません。
でも、それでも、訪問看護の魅力がキラキラしていて。
だからこそ頑張れたんですよね。

自分に合う事業所の選びかた
今わたしはそのお世話になった事業所を離れ、主人の元へ帰り、同じ地域のステーションでパート勤務しています。
3か月弱看護に没頭した日々から離れるのは苦しい選択だったのですが、短い3か月の間に凝縮された学びは何にも代えがたいことで、そしてこれからの看護人生になくてはならない心の芯となりました。
今、わたしがパートとなっているのは、妊活を最優先するという選択をしたから。
心の芯を育ててくださったから、離れても、今常勤でなくて働き方が変わっても、自分を支えてもらっています。
まずは子どもを産んで母親となり、子育てを経験してまたひととして強くなる。その間に出来る学びは逃さず、来たるべきときにまた看護に没頭するつもりです。
訪問看護をしたいとおっしゃる方はtwitterにたくさんいますが、やはり自分がこれからどんな人生計画をしていくのか、看護師としてどんなキャリア構築を考えているのかを明確にして、それに合った事業所をしっかり選ぶべきだと思います。
看護に没頭できる、そして対象を絞らず看護展開している事業所もあれば、精神科や小児特化のところもありますし、重症な方はとらず土日祝は基本お休みで平日営業のみのところもあります。
今のわたしのパート勤務している事業所を選んだのは、妊活を理解してくださり勤務時間に融通利かせてくださったというのが一番の理由です。
そして、対象者を絞らず全年齢受けているし、母体も大きい。
もし子育てが落ち着いてからでもキャリア構築も考えられるし、障がい児さんも受けているので子どもたちにも関われる。
そして、精神科経験を買ってくださっているので、精神疾患の方をさっそく受け持たせていただいていたり、自分の経験が活かされるという点ですね。
事業所を選ぶのには本当は時間をかけて見学や同行させていただいたり、管理者とゆっくり話をさせてもらって、看護観が自分と合うかも見極める大事なポイントだと思います。

働き出してからのギャップを減らすために
看護学校の時はそこまで自分のキャリアや、したい看護について考える機会って少ないと思います。
だから、自分の描いていた理想と離れてしまって辛い思いをすることが多い。人間関係は入ってみないとわからないので難しいところもありますが。
自分のビジョンができるだけ明確であればあるほどそのギャップは埋められるし、もし行きたい場所が採用とってなくても違うチャレンジの仕方も考えられる。
いろんな場所で働く看護師の方とコミュニケーションをとって情報を仕入れて、自分のビジョンを描きやすい工夫をするのも大切だと思います。
(今twitterでもたくさんの看護師の集まりがあってますね!)
そして、先ほども話しましたが自分のこうなりたい尊敬できる先輩を見つける!というのも大事だなと思います。同じ勤務先にそういう人がいるのは理想ですが、現実は難しいこともあると思うので、ネット上でも雑誌で知った人でも誰でもいいので、そういう人がいると自分がくじけそうになっても助けてくれるものになるのではないかと思います。

そして、わたしの場合は今妊活最優先で選んでいるので、看護の方向性から言えばステーションの管理者さんや先輩とズレを感じることももちろんあります。
(最初のステーションではズレはなかった)
ですが、それも自分のビジョンがあれば妥協できる・・・というか精神的に柔軟に捉えられるというか。
今自分がいる過程が描くビジョンのどのあたりにあるのかということを把握していれば、そういう少しのモヤモヤに左右されることが少なくなるということですね。

4.わたしのこれから

いろいろと偉そうに語りましたが、今自分の学びたかった訪問看護に携わりながら先ほど話したビジョンについて、日々の看護から修正を加えたり追加したりしています。
でも、大枠は変わりません。
わたしの住む地域で、障がい児在宅支援が安心して受けられる環境づくり。
そして今精神科の方と多く関わっていて実感してるのは、精神科看護はやっぱり好きだな~ということ。
せっかく自分が必要とされている分野なので、もっと勉強したいなと思っています。
精神科看護の基本は、ひととひととの関わり方を学ぶことにあると思いますので、すべての分野に通ずることですよね。

それから趣味で学んできたアロマテラピーをもっと掘り下げたいし、実践につなげたいと思っています。
今年はアロマテラピーインストラクターの資格を取得予定なので、個人的にその資格を生かした仕事もしていきたいと考えています。

とはいえ、ただの何でも屋になってしまうのは違うと思っていて。
フリーランスに憧れた時期もありますが、最初にフリーランスを目指すというのではなく、結果的に自分の能力を必要とされてフリーランスになった、というのが理想だな、と今は思っています。
なので、訪問看護をもっと学んで自信を持って実践できるような看護師になりたいですし、アロマテラピーも生半可ではなくもっと知識を深めて、実践に役立てられるようにスキルアップをしていきたいと考えています。


今コロナで外出自粛もあり、ほかの看護師の方(ほかの医療従事者含め)と関われる機会が少なくてさみしいなぁと思っています。
予定していた集まりもなくなってしまい・・・。
落ち着いたらまた、いろんな年代のいろんな分野の看護師さんとコミュニケーションをとって、知識を分かち合いたいなと思っています。

長くなりましたが、訪問看護を目指して、そして今に至るまでをお話してきました。
読んでいただいてありがとうございます。
これから訪問看護を目指す人、新しい道を目指す人に少しでも、素敵な一歩が踏み出せるきっかけとなれば幸いです。
想いがあれば、なんとかなります!(笑)
自分を支えてくれる強い想いを見つけられたことにわたしも感謝しています。それを支えてくれる周りの方にももちろん感謝しています。


それでは、また。


スキやサポートをくださった方ありがとうございます。 いただいたサポートは、看護をもっと学び、よりよい地域支援を目指す資金とさせていただきます。