🎸 ピンクのギター

　映画『 ぼつち・ざ・ろっく！ 』を観たら、ライブに行った頃の
自分を思い出した。懐かしい。
そして、友だちＡちゃんの話を思い出した。

　私たちがまだ、20代の頃。1980年代後半の話。
Ａちゃんは職場で、Ｋちゃんと出会った。そして、仲良くなった。
Ｋちゃんは、背が高くて美人で、オシャレだった。
小柄のＡちゃんとＫちゃんは、一緒にいるとデコボココンビだった。
　Ｋちゃんは、今で言う『推し』のバンドがあって、
そのバンドのライブに行くため、活動を応援するため、
就職をしたと、Ａちゃんに話していた。

　ある日、Ａちゃんは誰かに誘われて、あるバンドのライブと
打ち上げに行った。その話を、Ｋちゃんにしたらしい。
知らないバンドだったけど、舞台のセットがカッコよくて、
ギタリストもカッコよかった事。
その人のギターが、ピンクのギターで、印象的だった事。
その事を、ただただ、Ｋちゃんに聞いて欲しかった。
そう言っていた。
　なのに、Kちゃんの顔色は変わって、怒り出したという。
Ａちゃんの肩を、ドンと押して。
何度も、ドン、ドン、ドンと、Ｋちゃんが肩を押してきた。
Ａちゃんは、そう言っていた。
Ａちゃんは、驚くしかなかった。どうして？
そして、やっと気がついたそうだ。
そのバンドが、Kちゃんの推しだった、という事に。
しかも、そのギタリストが好きだったと。

　もう、Ａちゃんったら、鈍感。
Ａちゃんは、ちゃんとバンド名を聞いてなかった事を、後悔していた。
私は、「 早く仲直りが出来るといいね。」と言うことしか
出来なかった。