"JTC"で働くということ

わたしはいわゆるJTCで働く20代後半のアラサー女です。
先日夫が日経新聞にこんな記事が出てたとURLを送ってきました。

JTC

ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー(伝統的な日本企業)の頭文字で、上意下達の企業文化や硬直的な組織運営を皮肉る際に使われます。

上記の日経新聞の記事より

わたしの会社は東証プライム上場、地元(田舎)では「就職できてよかったね!」と言われるまあまあお堅い企業である。だが、飛び抜けて高級取りでもなく、普通に定年まで勤め上げれば企業年金などもあり、田舎ではまあ裕福な方。(Uターン就職なので、大学時代の友達は「あなたは東京でキラキラした生活をしたいとてっきり思ってた。」と口を揃えて言ってた。)
いわゆる年功序列、精神を病んだり、体を壊しさえしなければ、だいたい一定の役職はもらえる。

残業は月10時間ちょっと。社会人5年目で残業代含む給与手取りが22〜23万円程度、賞与手取りが55万円程度。田舎だから物価や家賃も安い。届け出た拠点から通える距離でしか配属されない職種のため、実家に住むのを前提とすれば東京で激務企業に就職して1人暮らしするよりもお金的にも時間的にも豊かと言えるではないだろうか?

わたしの仕事は外回り営業職。ノルマがあり、それを達成するのが仕事だ。しかし、ノルマはあるがパワハラできない今の風潮では、ノルマを達成しなくても何も言われない。そして、ノルマを達成したところで、給与のインセンティブは全くなし、賞与で微々たるインセンティブが加算される程度。なので、知らぬ存ぜぬで会議を乗り切り、日々"やってる感"を醸し出しながら過ごすのが一番の勝ち組なのは明白である。
ああ、いかにも"JTC"だ。

この仕事が給与と見合っているのか?

わたしはこの仕事は大嫌いだが、意外にもこの仕事は得意なのだと思う。社内で成績優秀者がもらえる賞を受賞した。それなのに、一般的な賞与査定がついたのは驚いた。その後、人事部が直々に査定を上げてくれたことがこれまで2回あった。今思えば、上司に嫌われていたのだろうな。
そこからわたしは仕事をしなくなった。だって、(頑張ったか頑張ってないかは別として)実績を上げて、賞をとっても評価されないんだもの。
そして査定が上がったからといって、数万円しかインセンティブがないことに気づいた。
それに、「インセンティブはないが賞をあげておけばいい」という会社の考えが嫌いだ。だってそれ、「やりがい搾取」でしょ?
実際、賞を取りたい!という人が一定数いるので正解なのかもしれないが。わたしはそっち側の人間にはどうしてもなれない。

その後転勤になった。配属されたのは家から1時間弱も通勤時間がかかる超弱小支店。「賞まで取っていたのに配属もゴミ。やっぱり嫌われている」と不貞腐れていた。
この新たな配属先の超弱小支店、今の支店長に変わってから3年ほどで支店の人数の2割程度が辞めているらしい、しかもみんな1〜10年目くらいまでの若手から中堅。そこからもわかる超弱小感。
もともと離職率が高い職場ではあるが、この離職者数は異常、悪い意味で。

何がやばいかって、管理者の質があまりにも悪い。

  • 元パワハラ所属長。今もパワハラの片鱗あり。人がどんどん辞めている今、保身に走りまくっているのが見え見え。

  • 自分のやったことのない業務は覚える気なし。GOサイン出しておいて全て担当者に責任をなすりつけるNo.2。

  • まじで仕事のできない直属上司。実績ゼロの項目がチラホラあり、誰もついていかない。お客さんにまで「あの歳であの役職、仕事できないって看板下げてるみたいなもんだよね!」と言われる始末。窓際族オヂサン。

などなど。

わたしは今、「こんな楽な仕事で給与もらえるなら、上司には目を瞑ろう」のマインドでうまく休憩しながら仕事しているので、文句言いつつもなんとなく続けている。
が、人が辞めるのもわかる。実際この間まで辞めようとしていた。「こんなところでは働けない」という気持ちと行ったり来たりしている。

仕事ができない、責任感のない人たちが上に上がれる仕組みなのは、JTCのメリットであり、一番のデメリットである。
能ある若手は頑張っても意味ないから仕事しないし、転職していくのは人生の中でかなりの時間を占める仕事をやりがいのあるものに変えていくのは正解なのかもしれない。
なにより、自分より仕事ができないorしない上司が自分よりお金をもらっていると思うとかなりイライラする。

これだけわたしがやる気を失っていても、わたしが月々獲得する手数料は給与の倍以上だから、仕事に見合った給与なのかと言われると微妙。実際仕事は真剣こいてしてないから、「こんなに楽でいいのかな?!」という感覚はある。

最近

最近また1人辞めたがっている後輩がいる。「辞める」と伝えると、所属長は「やりたいと言っていた係に係替えはどうだ?」と提案。「それ、わたしの係なのですが…」となっているところ。わたしが希望を出した時には一個も叶えてもらったことはないのに何故?
もうどうなったとしても嫌になったら辞める。人生でもっと大切なことを見つけたので。
そして幸いにも、わたしの夫はわたしより4倍以上稼いでる。その時が来たら、「辞めてもいいんじゃない?」と言ってくれる優しい夫に甘えようと思う。

この古い企業体質を変えないことには、行先は真っ暗闇なんだろう。
最近給与体系を変えようとしているらしいが、保守的な会社なので劇的な変革は難しいよう。

Uターン就職して地元で過ごしていた中で、夫と出会えたことだけがよかったことだ。それに尽きる。
親族などには間違っても就職先として当社は勧めない。とはいえ、新進気鋭イケイケの会社に勤められただろうか?わたしの性格上、それもどうかなと感じるところはあるが…

この会社は二世くん(親子で同じ会社)がとても多い。明らかなコネ採用というのは聞かないが、親族は入りやすそう。今の所属長の娘も今年入社した。この間、所属長が言った。「俺の娘が、『わたしは10年くらい勤めたら、この会社辞めるんだ』と言ってきたんだ。あなたはどう思う?辞めたいと思う?」と。所属長はバブル崩壊後の就活生、30年前の当社は今と違い、夜中まで残業、パワハラのオンパレード。それを耐え抜いてきての今だから、とてもいい会社だと思い込んでいる。だから、わたしにも「辞めるなんてもったいないですよ!」と言って欲しかったんだろう。だが、わたしの答えは違う。
「もうすでに5年間で同期が4割程度辞めている中、自分もここに留まっていいものかと考えることはあるし、いつでもいい求人があれば転職しようと思う。娘さんの世代ももう辞める人がいると思う。もう終身雇用の時代ではないし、今の若者は会社への忠誠心は薄く、労働市場の流動性が高い。娘さんも周りがどんどん辞めていくと、自分の今後も考えることもあるのでしょう。」と言った。
核心はつかなかった。ここに留まりたいと思う理由を作れない、会社や上司が悪いとは思えないらしい。特に酷い、この支店。わからないんだから救いようがない。
もう無理だと思えば、見切ることも必要だ。

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