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ぴぴぷる
2020年6月28日 00:50
紫陽花が濡れている。蒸した森やコンクリ、それらが溶けた空気が佇んでいて、たまにふく風がそれを遠くへ広げていく。・・・梅雨の声が聞こえる。傘にあたる雨音に混じって、離れたり近づいたりしている。けれど、追いかけはしない。熟してきた夜。冷えた湿気が肌に触れ、体温をすこしさらっていく。そしてゆっくりと染み込んでくる、思い出。いま、心は何色だろう。この花は鮮やかに滴って、どこか泣いているようだけ