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久しぶりに聞いたピアノ生演奏と好きな音楽の話と、最後は結局いつもの好きなものの話

昨年の9月頃。ちょうど引越しの作業に追われ、追い詰められていた頃。
漫才コンビ三拍子の高倉さんことRYO TAKAKURAさんが出演した音楽のライブを配信で見ていた。

そこで聞いたウォリさんと言う方のピアノ弾き語りに一目惚れならぬ一耳惚れ。声も曲調も歌詞も好みど真ん中で、しばらくオリジナル曲の「巡る唄」を毎日通勤中に繰り返し聞くほど。

そんなウォリさんが銀座で弾き語りのライブを行うというのでフラッと聴きに行ってみた。

新宿や下北沢でお笑いやペンライトを振る系の音楽のライブを観に行くことには慣れたが、
銀座で
ピアノの
ライブを見に行くとなると若干の緊張感が伴う。

雑居ビルではあったが会場は小綺麗で明るくてYouTubeの盾や大きい弦楽器とグランドピアノが置いてあって、受付を済ませたらスタッフの方がコートをハンガーにかけてくれた。

いざ演奏が始まると、当たり前だが笑い声も歓声も演奏中の手拍子も無い。静かに座って静かに聞いて、演奏の合間のトークでちょっと笑う。

昨日のトークライブでは酒を飲んで手を叩いて笑いながら見ていたのにこのギャップ。

一曲目は大好きな「巡る唄」で、やっと生で聞くことが出来て感動。
他のオリジナル曲やカバー曲も全部良かった。

音楽の教養がないのでどこがどう良かったのか文章に出来ないのが歯がゆいが、螺旋階段のような、風で枯葉が舞うような、なんかそういう感じの少し寂しそうな雰囲気が好き。
ピアノと歌声の振動が波紋のように空気を伝わって体の奥に響く感じも心地良い。

慣れない場所で緊張はしたが行って良かった。

でも思い返せば3年前、ちょっとクラシックコンサートにハマりかけて「これからは定期的に行こう」なんて思っていた。
三拍子という漫才コンビが好きなのにどれが三拍子でどれが四拍子の曲なのか分からないくらい音楽の知識は無いが、オーケストラやオペラ(椿姫を見に行った)の生の演奏や歌声の迫力は生きている感じがする。

箏曲も好きで、特に三味線は弦が弾かれた瞬間の空間を斬るような乾いた音、弦の上を爪が走る摩擦音、弦の響きの余韻が空気中に残る感じが好き。
数回しか観に行ったことは無いが、狂言や歌舞伎も好きだった。

好きなことは好きなのだが、知識も教養も無いしこれから学ぶ気も覚える気も全く無い。

考えてみるとお笑いもそう。
自分が好きな漫才コンビの話を聞いているうちに業界用語的なのはちょっと覚えたし、自分が好きな漫才コンビの周辺の芸人さん達は自然に名前や顔を覚えたけど、私は「お笑いファン」が知っていることを多分知らない。

放送を見ていなかったからどれだけ話を聞いてもオンバトの凄さは未だにピンと来ないし、お笑い番組の知識は笑う犬の情熱やめちゃイケあたりで止まってる。
ライブやテレビで見る芸人さんの名前やコンビ名をなかなか覚えることが出来ない。

毎週のようにお笑いライブを見に行っているのに「間(ま)」とか「テンポ」の良し悪しが分からなくて、会場でのアンケートは大体「〜がおもしろかった」で終わる。
(お笑いライブのアンケート、座りながらだと書きにくいし、ネタ中には絶対に書きたくないし暗転中は暗くて書けないからなんかもう帰りの電車で書いてメールで送れるようにしてほしい。)

あとここだけの話だが(全世界に公開していてここだけもクソもないが、ここまで読んでる人はほとんどいないと思うという意味でここだけの話)、
あれだけ三拍子が好きだと言っているのに私は三拍子のネタをなかなか覚えない。というか忘れる。

例えば去年の話だと、ドリフの歌が出て来るネタをずっと『ど忘れ漫才』の一部だと思い込んでいた。

でも年末に久しぶりにYouTubeでネタ動画を見返していたら『童謡短縮漫才』の一部だということを思い出した。

多分こういう勘違いが他にもある。

ただ、ネタの内容に関しては覚えてない方が良いし覚えようとして見るものでもないとも思う。

昨年見た演劇「幕末サンライズ」で吉田松陰が門下生に向かって言ったセリフ、
「頭空っぽにして肩の力を抜いて何も考えずに笑う」
が笑いたいと思って見る時には1番重要。

あと最近強く思うのが初見の人羨ましい。

『徳川十五代将軍覚え漫才』の覚え方で感心したり、『アプリ漫才』の伏線回収で「あの時のアレがここで!」と驚いたり、『猫になったら漫才』や『水の上を歩く漫才』で「この人何言ってんの?」と思ったり、『不動産屋漫才』の急な下ネタで不意をつかれたり、『ファミレスアイドル漫才』や『漫才の向こう側』で「なんか急に音楽流れた!」とワクワクしたり…


この後の展開が全く分からない初めて見た時の気持ちをもう一度味わいたい。

見返すことで再発見するおもしろさ、ライブ毎の変化を楽しむおもしろさもあるけど、2度と味わえないと思うとやはり初見が1番羨ましい。

そんな私が唯一ガチの初見を味わえるのが、1年に1回は必ずやってくれる三拍子の単独ライブ。

新ネタたくさんらしいので今から楽しみである。

三拍子は特定のスタイルを持たないので、蓋を開けるまで何が来るのか全く分からない。

今回はどんな漫才達が出迎えてくれるのか。

ワクワクが止まりません。

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