アセルヒトリノ夜
タイトルで何の曲か分かったあなた?
同世代ですね?
私は今、心のお医者さんのお世話になっている。
正直に言うと、お世話になる日が来るとは思ってもみなかった。
月に一度、はるばる1時間半かけて病院まで行く。遠いけれど職場の組合の病院なので、主治医の先生が色々と事情を理解してくれているのがありがたい。
しかもこの先生、A先生としよう。
いつも私の核心をついてくる不思議な能力をお持ちである。
アフリカに行くまでも、帰ることになった理由も、これからのことも、当時の自分の私の状況は複雑すぎて、なかなか人に理解してもらえなかった。
それまでにいくつかの病院に行ったけれど、どの先生も正しく理解してくれてないなと感じていた。説明をする時間もあまりもらえなかった。
A先生の初めての診察は90分くらいかかった。私が生まれてから今までのこと、家族構成、趣味、自分のことを隅々まで聞かれた。それはもう小っ恥ずかしくなるくらい。
大学を卒業したあたりまで来た時だったか。
A先生がパソコンに入力する手を止めて
「こうやって生きてきたのにさあ、帰国しなきゃいけなかったの嫌だったよね。」
画面を見ながら、一言そう言ってくれた。
泣いた。初めて会った人の前でこんなに号泣するのかと驚いたくらい泣いた。この人、メンタルケアのプロだ。
そしてこの瞬間、A先生に私のハートはがっちり鷲掴みされたのだ。
そんなわけで、私はA先生には絶大な信頼を寄せている。
指摘されるとチクッとするようなことも、先生の淡々としつつもフランクな話し方のせいか、スッと受け入れられる。
(ここだけの話、話し方はちょっとひろゆきっぽいなと思っている)
診察では主に世間話をする。最近は何をして過ごしてますか?と。
ところが私の話す内容は、この3ヶ月ほとんど変わっていない。
勉強して、散歩して、3食自炊して、本読んでます。友達に会うのは月に1回か2回。実家に帰るのは週に1回くらい。
これが私の日常なのだけれど、A先生から見ると社会や人と関わる時間が少なすぎて、しかもそれが3ヶ月も続いているのが心配だと言われてしまった。その病院での社会復帰プログラムを勧められたほどだ。
正直、痛いところを突かれた。
確かに一人暮らしは居心地がいい。
だけど誰とも会話をしない日は月の半分くらいある。ご飯を作ってもつまらない。
やりたいことができる時間があるのも嬉しい。
それも3ヶ月経つとだらけて来たり、日常化して高揚感が薄れている。
孤独感、焦燥感、そんなものがチラつくようになってきた。引きこもりすぎて社会復帰にも不安は増している。
そのことを話したら、A先生からはまさかのアドバイスが返ってきたのだ。
「婚活とかいいと思う。お付き合いする人がいるだけで毎日もっと充実すると思うよ。」
唐突すぎて、思いっきり笑ってしまった。
でも実は、やっぱり核心を突かれたので、先生エスパーかよ!と思って笑ってしまったのもある。
私の体には今、人にあんまり移したくないウイルスがいる。
医学的には、ウイルス自体は珍しいものでもないし、誰でも大体感染してるのだから新しいパートナーを作ることには問題はないそうなのだ。
ただ、自分の気持ちがついていかない。お得意のネガティブ。
自分が汚いものみたいに感じるし、好きになった人をこのウイルスの持ち主にはしたくない。
感染したところで、私のような状況になるとは限らないし、コロナだって感染しても無症状の人がいたのと同じ感じ。自己免疫で自然消滅する人の方が多い。
私はちょっと運が悪くて、このウイルスから癌に向かってちまちま進行している。
たからこそ診断を受けた時のショックとか、進行したときの不安感とか、他の誰かには経験してほしくない。
(ウイルスとの体内同棲生活についてはこちら↓)
そんなわけで、初めて診断が降りた日から、恋愛は諦めモードに入った。そもそもアフリカ行くようなアラフォーを選ぶ人などほぼいないだろう。
ところが私はアフリカから帰って来てしまった。
環境を理由に無理やり諦めていた感情が、ふつふつと湧いて来ているのは、見て見ぬふりをしていた。
パートナーの存在がほしい。
特別な誰かと一緒に過ごす時間がほしい。
もう過去のことだけれど、数年間、パートナーと一緒に暮らしていた。そのおかげで、誰かと一緒に暮らすことの楽しさや幸せも私は知っている。
恋愛がしたい?うん、トキメキっていいよね。
結婚がしたい?いや、それはまだ考えてない。
でも今の自分のこの欲に一番近いのは、同棲なのだと思う。
家に帰って誰かがいることの安心感。
自分が作ったご飯を美味しいと思わない私だけど、誰かと一緒だと美味しくなる。
他愛もない話をしたり、生活スタイルについて話し合ったり。
落ち込んだ時に一緒にゲームしたり、嬉しい時にお酒飲んだり。
「逃げ恥」の設定とか最高。
みくりちゃんのように可愛くないし、献身的じゃないけれど、ご飯はそこそこ作れるよ。
掃除は好きじゃないけど誰かと一緒だと結構やるよ。
私の平匡さん、どこにいらっしゃいますか???
A先生のアドバイスに話は戻る。
簡単に言うけど、そんな簡単に彼氏できませんって!!!
パートナーを探し始めたとして、自分のこの状況を出会う人一人一人に説明するのかと思うと憂鬱でしかない。
お遊び系、火遊び系に引っかかるのももうごめんだ。
他のパートナーがいる人との行為は、今の私にとって症状を悪化させるハイリスクでしかない。
それを見極めるのもまたエネルギーを使う。
だからやっぱり、目指すところは逃げ恥だ。偽装結婚も喜んで受けよう。
まず偽装結婚の相手に選んでもらえるように、自分磨きを頑張るとしようか。
もしかしたら偽装結婚じゃなくて普通に同棲してくれる人に出会えるかもしれない。
なぜならアフリカで10kg落ちた体重は、早くも7kg戻っている。なに?日本の空気にはカロリー含まれてるの???
思考は実現化すると聞いたことがある。
だから私は、今日から坂口健太郎と同棲する妄想を続けたいと思う。本当は西島秀俊がいいけれど、妄想とはいえ既婚者に手を出してはいけない。
こんなアホなことを書いている今も、横に誰かいてくれたらなあと思っている。
当時のパートナーに未練は1ミリもないけれど、一緒に暮らしていたあの時間は懐かしくて愛おしい。
どなたか私の平匡さんをご存知でしたら、即ご連絡ください。よろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?