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フランス人VS職人堅気

今「ハニーレモンソーダ」という多分胸キュンの映画が上映されているらしい。
コンビニとかでも一時ポスターやらを見た。
我が家も例に漏れず、いつの間にかSnowManというジャニーズグループのファンになっていたティーン2人が観に行きたいらしい。

「ああ、はちみつレモンソーダだろ?」
あれれ、なんかおかしい?
蔑んだり汚いものを見るようにせず、恥ずかしそうに「ハニーレモンソーダだよ」と教えてくれる娘たちは優しい。

そんなんで我が家は昼夜問わずSnowManの曲が流れている。
でもさすがに飽きた。
シングルばかりだからサイクルが早いのだ。早くアルバムを出してやってくれ、ジャニーズ。

音楽は好きだしよく聞くのだが、じっくり聴くことがなかなかできず(昔みたいに自室があるわけじゃないし)
時間があれば楽器の練習に費やしたい、となるとどうせ音楽聴くなら練習している曲に、となる。
一つの曲でも弾き手にょって違うから、それを聴き込むと結構な時間になる。

J.S バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番
その中のシャコンヌがメイン。

五嶋みどりさん


ハイフェッツ。
例えばだけど、それぞれ全然違う。

この曲をもう1年くらい弾いている。ようやくつっかえずに弾けるようになったけど難易度が高すぎる。
憧れていたころは壮大なロマンティック全開な曲だと思っていたが、楽譜の原版に近づけば近づくほどボウイング(弓のつけ)を始め指示がなくなりシンプルになる。アルペジオも。冒頭の4小節を主題に変奏を繰り返し進行していく。
シンプルだからと言ってずっと平坦に進行するのは違う。
曲について、バッハについて学んでいくと、より簡潔で神様との緊張関係や精神性を強く孕むものなのではないかと思う。

弾けました、はいゴール。としないのは、この弦楽合奏版をやるからだ。
自分がどう解釈し、弾きたいのかを細部まで噛み砕き言語化しなければならない。
一人で弾いてその日の気分で~というわけにいかないのだ。
学べば学ぶほど、弾けば弾くほど分からなくなる。
弦楽合奏だからこその演奏というのを追求してもいいのだが、やはりここはヴァイオリン1本の演奏に近づきたい。当時どのように演奏されていたのか、作曲者の意図にどれだけ気付けるか。
決まったら団員に説明する前にココに書いて纏めようっと。

そんなんで疲れていてもできるだけ毎日楽器を弾くようにしている。
梅雨の時期は特に、長い間楽器ケースを開けないでいると湿気で楽器が悲惨なことになる。
ネックが反ったりカビたりペグが硬くなってバキバキになったり。。弓も同様。
毎日弾くことでそこら辺のリスクは解消できるってのも毎日弾く理由でもある。

ただ、ウチはヴァイオリン2挺あるからちょっと厄介。
一つは1990年イタリア製。
子どものころに両親、祖父に買ってもらったもので今なおこの楽器を愛用している。

もう一つは4年くらい前に知人の友人が持ってきてくれたフランス製。
しかも1896年。なんだか知人の友人さんのお父様の遺品のようです。
来たときはまるでホラー。
楽器の形状はしているものの、埃やカビにまみれ酷いものだった。ペグもあったりなかったりケースは虫の死骸とか。。

これ直す価値があるのかと半信半疑でメンテナンスでお世話になっている職人さんのもとへ。
「直す価値あるね(キラリ)」
というワケで手元にあるのだ。

1896年製なんてなかなか手にできるものではないし、どんな音がするだろう?とワクワクしながら弾いてみたが
大きい音はするものの鳴ってはいない。何より音が硬い。あれ、ちゃんと弾かれてなかった?
なんでも前のユーザーは趣味でヴァイオリンをやっていた(道楽的要素あり、想像するにお金持ち)が、この楽器は飾ってあったようだ。なんてもったいない。
1896年からその方の元にあったってのはあり得ないが、そこそこも弾かれずにここまで来ちゃったらしい。

自分の楽器も長年掛けて音が鳴るようになった愛用品なので、敢えてフランスさんをメインにすることはないのだけど
いつか誰かの手に渡るまでは弾いて楽器の音を育てていければいいなと思い、指慣らし程度に2,3曲弾くようにしている。

しかしなかなかのフランス気質なのか100年マトモに弾かれなかったからか
毎回弾く度に
「あれ?あ、そーかオレ(私?)楽器だったんだ。ははは」
みたいに心外?意外な感じで、さも初めてみたいな音を出す。
こりゃ先は長そうだ。  

それともガチガチな侍または職人堅気な私の元に渡ってしまったこの楽器が不運なのか。
とにかく。
きみはヴァイオリンですよ。いー加減音を覚えてくだされー。

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