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世の中に無いモノを売るvs世の中に有るモノを売る

こんにちは、ピノスタジオの青梅です。
今回は特殊印刷業の会社で日々製品を作って販売をしている中で、タイトルの通り「知名度がほとんどない新しいモノ」を売る難しさと「既に認知されているモノ」を途中参入して売る難しさを比較したら面白いのではないかと思い、記事にすることとしました。

この記事はこれから何か新しい事をしたいと悩んでいる方の励みになったり、今挑戦していることを振り返りたいという方のきっかけになったり、新製品や新規サービスを考える上での参考にしていただけると嬉しいです。


【目次】
① 世の中に無いモノの定義
② 世の中に無いモノを販売するということ
③ 世の中に有るモノを販売するということ
④ 新しい価値を生み出したいと思ったときに、どちらを選ぶか
⑤ まとめ


【1 世の中に無いモノの定義】
まずは今回の記事における「世の中に無いモノ」とは何かという定義から定め、認識を共有させていただきます。あらかじめ断っておくと、厳密な定義は敢えてせず、多くの人が「世の中に無いモノ(新しいもの)だよね。」と思うものをイメージしてもらえると幸いです。それでは、私の個人的見解としては下記の3つの条件を満たしたモノと考えています。


① 認知度と浸透度が著しく低い製品またはサービスであること
② 類似ニーズを満たす製品が過去にあったとしても、従来とは全く異なる形状やシステムであるであること
③ 時代の流れにあったモノであること


これらを満たす最も良い例がiPhoneではないでしょうか。
① ガラケー全盛期の当時、タッチパネル方式を採用したiPhoneに対して「こんな指が画面の邪魔になるものが売れる訳がない」「ボタン方式が最高だ」などの意見が相当数あったことは皆さんの記憶にも残っていると思います。
② 今までにガラケーという類似の製品があったものの、スマートフォンという全く異なる形状であり、システムに進化しました。
③ 言うまでもなくiPhoneの登場により様々なアプリやサービスが生まれ、スマートフォンは現在でも時代の中心になり続けています。


また、補足として、その他の例と代表的な価値をいくつか挙げていきます。
・温水洗浄便座→一瞬で清潔にするという価値を提供し爆発的普及
・ロボット掃除機→毎日のルーティンを減らすことで、家事時間削減に貢献
・Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS→従来のブログサービスとは異なり、膨大な情報を短時間で得ることが可能になった
・Youtube→個人が動画で発信することを爆発的に推し進めたプラットフォーム


以上をまとめると、既存の枠組みの外にある、いわゆるイノベーションとも置き換えられるモノと言い換える事ができると思います。
次項以降にも関連する要点として、これらの製品やサービスには「新しいがゆえに、本当の価値を理解してもらうのに時間がかかる」という共通点があることにも注目しながら読み進めて貰えると嬉しいです。


【2 世の中に無いモノを販売するということ】
<要点>

デメリットは「存在意義を認めてもらうまでのハードルが高いこと」です。新しいイノベーションの誕生には、「本当に?」という疑いの目がかけられます。
メリットは「競合が少ないこと」です。独自の価値を提供するので価格設定やビジネスモデルの設定にしがらみがなく、自由度が高いです。

これらをまとめて、存在意義を認めてもらいながら、独自の価値を伝えていくためにモノやサービスを売るのではなく「体験を売る」ということにフォーカスする事が成功の秘訣だと考えています。

<本文>
世の中に無いモノの販売をする時には当然そのメリットとデメリットがありますが、今回は敢えてデメリットから紹介させて頂きます。
私が考える最大のデメリットはズバリ「存在意義を認めてもらうまでのハードルが高いこと」であると考えます。このデメリットを具体例で深掘っていきたいと思います。


前項ではiPhoneを例にしましたが、私が最も尊敬するイノベーションの一つ「温水洗浄便座」を例に考察を行います。温水洗浄便座に対して私は日本が生んだ大発明として、国の宝だと思っているのですが、この構造自体は「水を温める」「水を噴射する」というシンプルな世界中どの国でも持っている技術を組み合わせで成り立っています。そのシンプルな技術の掛け合わせで、全く新しい価値を生み出した所が素晴らしくロマンを感じる所だと考えます。(思えばAmazonやFacebook、Twitterなどもスーパーコンピューターを駆使した最高峰の技術を持って開発…されたものではないですよね。構造や技術自体はシンプルです。)


その素晴らしいイノベーションの一つである温水洗浄便座ですが、1980年にTOTOから「ウォシュレット」が販売されて以降日本国内では爆発的な普及をしたものの、海外ではその価値を伝える事が難しく、広報活動にかなりの力を入れているものの普及が進んでいない現状があります。飛行機で有名なボーイング787の開発時も、ボーイング社に温水洗浄便座の取り付けを打診したものの、価値を理解してもらえず、一度は却下されてしまったというエピソードもあるくらいです。


確かに実際に温水洗浄便座を使用した事がない人にとっては「どうして、そのようなものが必要なのか。」「現状でも困っていない。」「飛び散ってしまって不衛生なのではないか。(※実際には設計上そのような事はありません)」という意見があるのも事実かと思います。


本項で初めに最大のデメリットとして挙げた「存在意義を認めてもらうまでのハードルが高いこと」は言い換えれば、新しいイノベーションの誕生には疑いの目がかけられる、ということです。私がこれら3つの「本当に?」という疑問の代表例があると考えています。
・本当に必要?
・本当に安全?
・本当に機能する?


競合がいない事はライバルがいない(もしくは少ない)ため、他社との相見積もりや価格競争からは解放されますが、その分全く新しい製品やサービスは認知度がなく疑いの目があるので、その不安を払拭する広報活動が要になると考えます。そして、その広報活動は「体験を売る」ことにフォーカスする必要があります。


ここからは、私が製造、販売しているピノスタジオを例として「体験を売る」という事に具体的にどのようにフォーカスすれば良いのか考え方をお伝えします。
繰り返しになるのですが、ピノスタジオは「体験を売る」ということに徹底的にこだわりました。モノとしては「撮影用背景布」なのですが、ライバルは他社の背景布ではありません。確かにピノスタジオの背景布は、他社が当たり前のように布を使っている中、布ではない特殊素材を使うことで今までの難点であった「シワになりやすい」「布の感じが残ってしまい、リアルな質感が出ない」「取り付けが大変」という問題を全て解消しました。

ですが全て解消したものの、他社の背景布と比べて販売しているのではなく、私がライバルに設定しているのは「撮影スタジオ」です。都内の撮影スタジオをリサーチしてみると相場は1時間あたり約15000〜20000円で、最も安くても10000円はしてしまいます。それがピノスタジオであれば8360円を一回払うだけで、24時間写真撮り放題、何度でも利用可能、スタジオまで自宅から徒歩0分という体験を提供できます。それが「自宅をプロ級撮影スタジオへ」というコンセプトを立ち上げた想いです。

8360円で背景布を販売していると、たまに高いという声があるのですが、これらの体験を販売して高いと思われてしまうのであれば、その人が写真を撮ることに価値を感じていなだけなんだと割り切る事ができます。もしも価格競争の厳しい販売をしていると、値段を下げなくてはいけなくなってしまい、薄利多売で消耗してしまいます。


「体験を売る」というストーリーを作るコツは、ピノスタジオの例のように競合の比較対象を類似製品ではなく、違う製品やサービス、もしくは価値と比べるという視点を持つことです。

これらを徹底的に検討できている、正に「体験を売る」という事の代表例はロボット掃除機だと考えています。現在は掃除機も非常に安価な製品が多く出ており、安ければ数千円から手に入れることができます。そのような中、ロボット掃除機は数万円からグレードが高い型式では10万円前後で販売しています。

先程の「3つの本当に?」にロボット掃除機を照らし合わせてみます。
・本当に必要?
→掃除機がけに大した時間はかからないのに、必要なの?
・本当に安全?
→ロボット掃除機が家電を壊してしまったり、子供が怪我したりしない?
・本当に機能する?
→ロボット掃除機ってボタンを押すだけでCMのように本当に綺麗になるの?

このように、綺麗に当てはめることができます。そしてロボット掃除機が普及する前に悩んでいた大半の人は、なんだか疑わしいから今はやめておこうと思うのです。また、今は保留するという選択は総じて「今と同じく手で掃除機をかければ済む」という、現状を維持したいと思う人間の性質から来ている意思決定でもあります。

しかし、ロボット掃除機の競合比較対象を既に販売している掃除機では無く、家事時間の節約という「体験を売る」ということにフォーカスした場合、掃除機を買っているのではなく、「時間を買っている」ということになります。ボタンを押すだけで掃除機がけが完了するということはつまり、家事をする時間を別の生産的なことに使えます。これは、言い換えれば相見積もりの先を別のメーカーの掃除機ではなく、自分の時間にすることができます。

仮に時給2000円の人が5万円のロボット掃除機を買った場合を想定してみます。
毎日10分×1ヶ月30日=5時間=10,000円→5ヶ月で元が取れる。もしも1年使ったら、逆に70,000円得することになります。
この計算を基にすると、他社メーカーの掃除機が数千円で買えるという事実は、ロボット掃除機を検討する前提として関係しない事柄であることが分かります。このような考え方を伝えることができれば、ロボット掃除機はむしろ安く感じることができると思います。

このように、イノベーティブな製品の多くは相見積もり先を競合メーカーから逸して独自の価値を提示することができます。「1対多数」の選んでもらうという勝負から「1対1」の価値を納得してもらうという勝負へ持ち込めるという事です。これが最大のメリットではないかと考えています。


<メリット>
価格競争がない→独自の価値提供を打ち出せる=薄利多売で消耗しない


<デメリット>
始めは顧客の疑問が多い→信頼と存在意義を得なくてはならない=広報活動に労力が非常にかかる


【結論】
世の中に無いモノをせっかく販売しているのだったら、ただモノを既存の商品と比べて売るのではなく「体験を売る」ことによって、独自の価値観を打ち出すことと、広報活動を同時に行うことが成功への道。


【3 世の中に有るモノを販売するということ】
<要点>
デメリットは価格競争が激しく薄利多売になってしまい、消耗してしまうことです。
メリットは需要や金額の相場、競合の製品の分析ができるため、先の見立てをすることが
できるということです。また、副次的には金融機関からの借り入れを行う際にも、事業計画を説明しやすく説得力を持たせやすいこともあります。

これらを総括すると、需要があって差別化しやすい分野で戦略を持って参入するのであれば結果は出やすいですが、逆に言えば需要が限られている分野において、既存の競合と大きな差別化ができないのであれば、価格競争に陥ってしまい利益を確保することが難しい状況になってしまいます。また、一度利益を確保することが難しい状況になってしまうと脱却することが非常に困難です。

<本文>
世の中に有るモノを販売するということで、最も大きなデメリットは「価格競争」が激しいということです。

以前に投稿した記事にもありますが、私が言うまでもなく価格競争は本当に辛いです。

特に一般的に差別化や付加価値を乗せる余地が少ない製品やサービスの価格競争は、苛烈を極めます。
上記の記事では、その例として「電気、電波、ラベル」を挙げて説明していますので、よろしかったら読んでみてください。

現在はラベルの印刷製造を行っているのですが、他社との価格競争がとても激しく、1円でも高いと、過去の実績や営業活動なども虚しく、検討の余地無くシステム的に製造移管されてしまいます。製造を移管されてしまったら仕事がなくなってしまうので、泣く泣く安い価格で提示してみるものの、材料もインクも加工方法もすべてが先方に指定されているものを使用しなくてはならないため、できることと言ったら製造現場の効率化くらいです。

製造現場を効率化すると言っても当然ですが手を抜くことはできません。僅か0.2mmという1mmの5分の1しかない印刷滲みやゴミが出るだけで不良品として弾かれてしまうのですが、そのすべてを検査員の目視で一枚一枚品質確認を行なっています。これらを月に何万枚も行うため、もはや製造と同じかそれ以上に、検査に時間がかかってしまっています。値段がいくら安くても品質基準は厳しく、不良品を納めてしまった際には不具合対策書類の提出や監査が求められます。

海外であれば、「価格と品質は良くも悪くも比例する」という価値観があります。価格が安い店はサービスや味もそれなりですし、価格が高い店のクオリティは当然高いです。しかし、日本の場合安くても品質が少しでも良くないと重大なクレームに繋がってしまう土壌です。数百円でランチが食べられるお店でも、少しでも気に食わない事があったら怒鳴ったりクレームを入れる客がいる姿を見たことがある人は多いのではないでしょうか。

ラベルの例に戻って考えても、単価が下がるということは1枚のラベルにかけることができる時間を削減しなくては、会社は赤字になってしまいます。しかし、品質が少しでも良くないとクレームが入るという板挟みになってしまっています。本来品質と価格とは車輪の両輪や、天秤のように優先することが出来るのは、どちらかではないでしょうか。

海外製品に対してフェアトレード商品という、公正価格で取引を行なったという事を一つの価値として打ち出している取り組みがあります。代表例はコーヒー豆ですが、海外で起きている相場価格から著しく買い叩かれてしまっているコーヒー農園などの話は、海の向こうの話なのではなく、日本国内でも実は起こっている話なのだと思います。

現在、中小企業を守るための「下請法」という法律があるのですが、実際のところ正常に機能しているとは思えないという事が、私の見解です。中小企業には公正取引委員会から、取引先が下請法を違反していないか、匿名で通報できるシステムがあるのですが、万が一会社を特定されてしまったら取引停止になってしまう恐れから、通報することが難しい現状があります。また、通報された会社があったとしても、監査が終わってしまえば元通りになってしまい、改善はほとんどありません。

このような苦しい現状の中、デメリットしか無いと考えてしまいそうになりますが、実はメリットもあります。その最も大きなメリットとは需要や金額の相場、競合の製品の分析ができるため、先の見立てをすることができるということです。「世の中に無いモノ」を売ろうとすると、そもそも想定していたターゲットが予想と全く違う所にいたり、金額の相場がズレてしまっていたり、そもそも競合がいないため分析するためのデータが極端に少なくなってしまい、手探り状態で模索していくことが非常に沢山あります。

もしも今から既存市場に新規参入するのであれば、入念に需要や金額の相場、競合の分析をする中で、差別化や付加価値を検討することで、売上げや利益の予測を立てることができます。これは、副次的には金融機関から借り入れを行う際に、事業計画書を作成するときにも説得力を持たせやすいというメリットもあります。

これらの予測通りに順調に進んだとすれば、ビジネスが軌道に乗り始めるのは世の中に無いモノの販売を手探り状態で模索していくよりも、圧倒的に早いということも大きなメリットの一つです。

しかし、逆に言えば需要が限られている分野において、既存の競合と大きな差別化ができないのであれば、価格競争に陥ってしまい利益を確保することが難しい状況になってしまいます。また、一度利益を確保することが難しい状況になってしまうと脱却することが非常に困難です。


【4 新しい価値を生み出したいと思ったときに、どちらを選ぶか】
まずは振り返りになりますが、それぞれのメリットとデメリットはこのようになります。
<世の中に無いモノ>
メリット
価格競争がない→独自の価値提供を打ち出せる=薄利多売で消耗しない

デメリット
顧客の疑問が多くある→信頼と存在意義を得なくてはならない=広報活動に労力が非常にかかる

<世の中に有るモノ>
メリット
需要や金額の相場、競合の分析ができる=手探りで模索していく必要がない

デメリット
価格競争に陥りがち→薄利多売で消耗するケースが多い


これらを踏まえた結論としては、「自分の状況やスキル、興味に合わせて選択するべき」ということです。ただし、「あなた次第です」というだけで終わりたくはないので、それぞれどのような状況の人がどちらに向いている傾向があるのか、お伝えします。


<長期的なスパンで検討ができる人は「世の中に無いモノ」の販売に挑戦するのもアリ>
「世の中に無いモノ」を作ろうとすると、相当な開発期間が必要になります。製品やサービスによっても大きく異なってきますが、最低でも1年間はかかると考えたほうがいいと思います。
オリジナルの商品を開発するとなると、例えばこのようなステップが考えられます。
①コンセプトの確定(何を価値としている商品なのか)
②コンセプトを満たす構造の確定
③素材や加工方法の検討(現実的に難しければ②に戻る)
④試作品を製作しモニターアンケートを行う
⑤説明書作成、同封するチラシ作成、段ボールなど梱包資材デザイン、ロゴデザイン等
⑥ネットショップに登録し、出品作業を行う(商品写真の撮影や、文章の作成)


上記に挙げたもの以外にも、やらなくてはならないことは沢山あります。しかし、私のような67年間下請け業務のみで、自社製品を一度も作ったことがない田舎の零細工場でも、何とかやりきることができました。


オリジナル商品の開発で私が強く感じた、最も重要な事としては「社外のビジネスパートナーを巻き込んでプロジェクトを進行すること。」です。資金に余裕があればコンサルタントに依頼するのが良いと思いますが、そうでなければ営業力やマーケティングに強い方に声をかけて協力して貰うことが良いです。


社外のビジネスパートナーを巻き込むべき最も大きな理由は「途中で諦めてしまうことを防ぐため」です。最初に述べた通り1年以上の期間、売上が立たないため「世の中に無いモノ」を販売したいという方は必ず覚悟を持ってから始めたほうが良いと思います。最も悪いパターンは開発の途中で進捗が止まってしまい、結局販売することができないというケースです。それまでの努力が水の泡になってしまいます。


特に零細企業においては社内のみでプロジェクトを進めていると、途中で別の業務が入ってしまうなど、いつの間にか開発止まってしまう甘えが出てしまいます。そこで社外のビジネスパートナーを交えて、週に一度は進捗のミーティングを設定するなど、短いスパンで約束を取り交わし、毎週守り続けることで自然とプロジェクトは進んでいきます。正にダイエットのような話ですが、それと同じくらい継続が大切な地道な検討の連続です。


開発まで1年かかってしまいますが、開発した後もネットショップやSNS運用、ブログや動画などで広告を行なって、普及をし続けなければいけません。一般的には、「半年~1年間1つも売れなくても仕方がない」という覚悟を持つと良いと思います。


最低でも1年半、難航すればそれ以上の時間がかかることが承知できれば、モノを自分たちの手で生み出していく楽しさや、それが売れた時の達成感は忘れられない素晴らしい体験になります。


開発をなるべく自分たちの手で行なうことで、資金的な面では莫大にはかかりません。私の場合約60万円程度でした。しかし、説明書やロゴ、チラシのデザインや印刷などもほとんど自前で行なったため安くすることができた側面もあります。

ただし、クラウドソーシングサービスを利用すれば、現代は腕のいいフリーランスの方々が広告代理店に依頼するよりも安価に、説明書作成やロゴデザイン、チラシの作成や印刷も行なってくれるので、大幅に費用がかかる心配は不要だと思います。

繰り返しになりますが、最も重要な事はやりきるための「他者との約束」です。


<「世の中に有るモノ」の販売は一点の強みがあれば挑戦するのもアリ>
この辺りはマーケターのプロの意見の方が専門性の高いご意見があると思いますが、私は実体験を基にした視点で述べていきたいと思います。

私が印刷会社とは別に個人的に行なっていた事柄として、宅地建物取引士の資格を活かしながら「不動産仲介業務」と「屋根補修サービスの紹介業務」を独立して行なったことがあります。それぞれ、100万円前後の実績があります。ただし、それぞれ差別化ができていた訳ではないので、知人からの紹介という形が多く、全く知らない方の案件を受けることはほとんどありませんでした。


商品やサービスを販売するためにスキルや知識が必要ということは当然ですが、全く知らない顧客へ売り込むためには、やはり競合とは違う差別化や強みが必要不可欠となります。最も安易な差別化として値下げというものがありますが、値下げをして利益を増やすというビジネスモデルは中小企業には難しく、大量生産大量販売は大企業のお家芸であると感じています。


値下げとは別の差別化をするためには、既にある競合と比べて全てにおいて上に行こうとするのではなく「地域や分野を絞ること」「全体的に程々のクオリティを目指すのではなく、一点が秀でた製品やサービスを目指すこと」「浅く広く営業するのではなく、ターゲットを絞り込んで営業をすること」これら3つを徹底することで、既存製品やサービスが苦手としている領域で限定的に勝つ事を繰り返して行くことが重要です。これらは、ランチェスター戦略を基に、私も常に意識しています。逆に言えば、これらの全てにおいて競合に勝ち目が無いと判断した際、その事業の未来は限りなく薄い可能性が高いです。特に余白のない事業で付加価値をつけることが非常に困難なビジネスモデルに多い傾向があります。


「世の中に有るモノ」を販売する最大のメリットは需要や金額の相場、競合の分析ができる事です。せっかくなので、これらのメリットを最大限に活かせるように、徹底的な分析と戦略を基にして、参入を決めるようにしましょう。


「新しい価値を生み出したいと思ったときに、どちらを選ぶか」という事でお話をしてきましたが、どちらも非常に魅力的な反面、苦難もあるため、「自分は新しいアイディアが泉のように湧いてくる」「自分はアイディアを思いつくよりも、今あるモノをより良くしていく方が得意」「自分はビジネスが軌道に乗るまで時間をじっくりかけられる」「自分は今年中には採算が合って軌道に乗るビジネスがしたい」など、人によって持っている能力や状況は様々だと思います。今回の記事を参考にして頂いて、少しでも皆さんが自分を見つめ直すきっかけになると嬉しいです。


【まとめ】
最後にまとめとして、この文章を「これから何かを始めたいけれど、何をしたらいいのか分からない」という方が読んで、少しでも考える材料や勇気になってもらえると嬉しいです。特に零細企業の経営や個人事業主として頑張っている方で、現状を何とかしたいと思っている方、大手企業で働いているものの自分自身でビジネスをして、自分なりの価値を世の中に提供したいと思っている方の励ましになれば幸いです。

私自身、大学を卒業後すぐに実家の零細工場で働き始めました。周りは新卒で大手企業勤めばかりで、何ヶ月も丁寧な研修を受けている中、私の会社の社長は昭和の接待営業しか知らず時代についていけず、売上は毎年尻すぼみという状況で、私にはビジネスを教えてくれる人もおらず、劣等感を感じる日々を過ごしていました。

「お金もない、知識もない、技術もない、経験もない、コネもない、人員もない」ような中、私にできることは毎週末欠かさず東京に出て、新しい人と交流したり、学生時代の友人とビジネスの話をすることで、少しでも足りない知識や経験を補うことでした。

ピノスタジオという商品は、このような状況の中で、私が社会人になってから所属した団体で出会った優秀なコンサルタントの方からのお声掛けをきっかけに本格的な開発が始まりました。協力してくれる学生時代から仲が良い優秀なエンジニアと、私の家族と一丸となって日々奮闘し続けています。

「世の中に無いモノvs世の中に有るモノ」というテーマで記事を書いてきましたが、最終的には心からやりたいと思っていることを、心から信頼できる仲間と話してみることで、一歩踏み出す勇気が湧いてきたら、すぐに誰かと約束しながら行動し続ければ、どちらを選んだとしても、きっと世の中にあなたがいなかったら無かった価値が生まれることは間違いないと断言できます。

一緒に頑張りたいと思って頂けましたら、Likeボタンを押してもらったり、コメントを貰えると自分だけではなく、他の読者さんにも勇気が湧いてきますので、宜しくお願いします。


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