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仕事と不妊治療の両立について思うこと

不妊治療、特に採卵にあたって一番大変だったのが、仕事の調整だった。幸い今のところなんとか仕事と治療を両立できているが、振り返ってみるとわたしはとにかく運が良かったと思う。

幸運その1.勤め先に本格的な不妊治療センターがあった

最初に受診した産婦人科クリニックは仕事帰りに通えるところだったし、夫の男性不妊が発覚してからは当時勤めていた病院に紹介してもらったので、しばらく通院に悩むことはなかった。いつも通り出勤して仕事して、診察の順番になったら院内PHSで呼んでもらい、ちょっと受診してきまーす、と不妊治療センターに向かう。年休も早退も必要なくて、診察が終わったらそのまま自分の仕事に戻れる。なにも困らなかった。ちなみに「何科?どこか体調悪いの?」と聞かれたら「いやぁ婦人科なんですけどねー」と誤魔化していた。

幸運その2.仕事休みと診察日が合わせやすかった

夫が手術を受けた少し後くらいに、医局人事で別の病院に異動になった。通院が心配だったが、ちょうど仕事の休みに不妊治療センターの受診日を合わせられたので、ほとんど年休を使わずに通えた。たまに休みと合わない日に受診を指示されても、そんなに遠くはなかったので半休でなんとかなった。

だが、採卵となるとそうもいかない。排卵誘発療法が始まると週1-2回の受診が必要になるし、排卵当日は日帰り入院なので丸一日休みを取らないといけない。しかもおおよその時期は早い時期からわかっても、正確な日程は直前にならないと決まらないし、急に連日の受診を指示されることもある。とはいえ「明後日休みます!」みたいなことになると、職場だけでなく自分が困る。

幸運3.上司が理解あるいい人だった

ART説明の時点で、Long法のおおよそのスケジュールは聞かされていたので、不妊治療ということは伏せて早めに上司に相談した。週1-2回の通院が2週間程度続くこと、2-3日程度まとめて休みが必要になること、正確な日程は直前まで経過を見ないと分からないことを伝えた。なるべく仕事が忙しくない時期に開始しようと思っていたが、ちょうど閑散期だったこともあり、治療を優先していいと言ってもらえた。上司がいい人だった上に、上司もまた医師なので「直前まで経過を見ないと判断できないことがある」「経過の良し悪しでギリギリで方針が変わることがある」とよくわかっていたのも大きいように思う。

幸運4.主治医が早くからスケジュールを教えてくれた

採卵の1ヶ月くらい前から「採卵はおそらくこの週の水曜日くらい、月曜日は確実に診察があるから半休をとっておくように、採卵日も多少ずれることがあるからできれば水曜日から金曜日までは休みをとっておいたほうがいい」と言われていたので、上司に伝えて早くから外来や手術を調整し、月曜午後休と水曜から金曜の年休をとっていた。ちなみにこの週の火曜日は祝日だったので、なんと1週間のうち半日しか出勤しなかったことになる。結果として採卵は木曜日になったが、採卵前後もゆっくり休めて気持ちも体も楽だったので、3日まとめて休みを取っておいて正解だった。早いうちからそう勧めてくれた主治医に感謝している。

わたしは運がよかった、けど

たとえば最初の勤め先がもっと小さな病院だったら、地方在住で男性不妊を診られる施設が新幹線の距離にしかなかったら、理解のない上司だったら、主治医が行き当たりばったりさんだったら、わたしたち夫婦はこんなにスムーズに治療を進められなかっただろう。不妊治療のために仕事を辞めたり非常勤に移行する人が少なくないのも頷ける。

自分の運の強さに感謝すると共に、それだけじゃダメだよなぁとも思っている。この記事を書いている2020年12月現在、不妊治療の保険適用や助成金制度の拡充とあわせて、仕事との両立支援についても議論されている。

制度だけでは意味がないのかもしれないが、それでも、不妊治療と仕事の両立に悩んでいる人たちに目が向けられるようになったのは喜ばしいことだと思っている。どこに住んでいてもどこで働いていても、働きながら治療を受けられる世の中になって欲しいと切に願う。

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