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築60年以上の祖母の空き家 ついに売れた

築60年以上(もっと経ってるかも)、木造平屋の延べ床約70平方メートルの3DK(敷地面積約100坪)。最寄り駅から車で30分程、周囲には畑が広がり、家がポツポツと点在するかなり田舎の一軒家。そこに1人で住んでいた祖母が亡くなった後、相続した母がほったらかしていたおかげで10年近く処分できずにいる空き家。

不動産屋に売却依頼をしたのは2年以上前。この間、何回か購入希望者があらわれては消え(コミュニケーションの行き違いだったり、先方の融資が下りなかったりで)、売るまでに至らず。当初600万円ほどだった売値は、450万円近くまで下がっていた。しかも、建物と庭の納屋、木々、井戸等は売主側が全て処分して更地にして引き渡すという条件付きだ。

そこに再び、購入したいという夫婦があらわれ、具体的な手続きが進められることになった。

やっかいな隣人あらわる

そんな折、また一つ問題が持ち上がった。実際に測量をしたところ、書類(図面)上の敷地面積(約100坪)よりも現況がかなり狭いことが判明。確認したところ、庭に面する南側隣人との境界塀が、かなりこちらの敷地に侵入して建てられていた(つまり、現況の見た目には塀の向こうの隣人の敷地がかなり広くなっている)。

「あのおじいさん(隣人)とは長い付き合い(少なくとも50年以上昔からそこに住んでいる)だけど、これまでも色々とトラブルがあってね・・・どんどん、おじいさん(隣人)がウチの庭に浸食してきたから、おばあちゃん(祖母)がこれ以上侵入してきて欲しくないって何十年か前に境界塀を建てたのよ」

母の話によると、祖母は自分の敷地が狭くなっていることを自覚しながらも、その狭くなっている敷地で区切る境界塀を自ら建てていた。どうせ建てるなら、きちんと図面通りの位置で境界塀を建てれば良かったのではと思うが、母曰く「これ以上隣人と揉めたくなかったし、隣人がこちらの敷地に侵入して建物を建ててしまっていた」というので、侵入された位置で境界塀を建てたのは苦肉の策の模様。

繰り返すが、場所は最寄り駅から車で30分程、周囲には畑が広がり、家がポツポツと点在するかなり田舎。隣人の敷地も決して狭いわけではなく、ゆうに100坪以上はある。そんなに広いのに、戦国時代でもあるまいし、ガツガツと領土を広げてどうするの?という気がするが…

母は詳しくは語らなかったが、どうやら隣人のおじいさんはやっかいな人物で、何かと諍いが起こっていたようだ。どうりで以前、遺品処分をしていた時に、処分業者が家の前に軽トラックを停めていたら、すごい剣幕で怒鳴り込んできたわけだ。

しかも母はこうも言った。
「これまでに何回も不動産屋から『下見したい人がいる』という連絡があったんだけど、なぜか下見した後にみんな断ってくるの。絶対あのおじいさんが邪魔しているのよ。庭の納屋のゴミ(誰が入れたのか分からないがゴミが増えている)や、庭の梅の木の梯子(誰がかけたのか分からないが梅の実を取るための梯子がかけてあった)も絶対あのおじいさんがやってるのよ」

真偽のほどは分からないが、隣人が良い人かどうかはその土地を買う人にとってはかなり重要なポイント。やっかいなおじいさんが隣に住んでいたら(ましてや下見の際に何かいちゃもんをつけてきたとしたら)、確実にNGでしょう。

それでも購入を希望してくれる夫婦が、「図面より現況の方が面積が狭いなら、その分安くして欲しい」と要望してきたそうなのだ。それは、確かにそうだ。しかし、そもそも勝手に土地を浸食して広げている隣人が悪いのでは…。

祖母が建てた境界塀はコンクリートでかなり頑丈。何十年もの間、そこにあり、しかも境界塀ギリギリのところに隣人の建物が建っている…購入希望者の夫婦にとってみれば、境界塀を壊して隣人に建物も解体してもらって新たに境界を作るよりは、その分土地の購入費用をまけてもらったほうがお手軽だろう。

最終的には、夫婦の要望通り、土地の購入費用を減額して、売却成立。祖母が亡くなって10年、やっと空き家の一つが片付いたのだった。

そのほか、父所有の旗竿地に建つ再建築不可の築40年以上の空き家。賃借人が家賃未払いの築40年以上の最寄り駅から車で30分程の古家。父が7人位(何人で持っているのかよく分からず)の親族と共同で所有する山。母所有の田舎にあるジャングルのような荒地等、まだまだ負動産があるのだが、そこにさらにもう1軒、空き家が加わることになる(この話がかなり自分としては大きな出来事で、後ほどまとめて書きたいと思います)。



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