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恐竜キング最高!!!!!


恐竜キングは最高である。


恐竜キングは我が人生と言っても過言ではない。

恐竜キングを知らない人間に説明すると今から10年ほど前に流行ったムシキングの恐竜バージョンだ。

炎・風・草・土・雷・水・(シークレット)の属性を持つつよさ1000から2000の恐竜がジャンケンを出してワザを繰り出し戦う。

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非常にシンプルながら奥が深く、恐竜が口から炎を吐いたり地震を起こしたり分身して相手を袋叩きにしたりと実際の恐竜のスペックを大きく凌駕した荒唐無稽な荒技を見せたりと間違った恐竜像を当時の子供達に与えかねない最高のゲームだった。 

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しかしながらその復元図及び細かな設定は今振り返れば唸るようなものばかりで恐竜キングという作品がどれだけ洗練されたものだったかを痛感せざるを得ない。

今回はそんな恐竜キングへの愛情を叩きつけた記事だ。


◆伝説のプロローグ


自分はよく語彙力をどこで身につけたか?
と聞かれる。

恐竜キングである。

イヤ本当に。

恐竜達にはそれぞれショルダーネーム、リングネームの様な二つ名がついている。

例えばティラノサウルスには『恐竜帝王』、トリケラトプスには『暴君の好敵手』といった具合にだ。
ティラノサウルスは言わずもがな恐竜の王、トリケラトプスには暴君ティラノサウルスのライバル、とピッタリの二つ名がついているわけだ。

『砂漠の熱風』『氷冠の貴公子』などなどこれが中々カッコよく、今でもそのキャッチコピーを覚えている。

このイカした二つ名に触れていくうちに自分の語彙は蓄積されていった。
今こうやって文章を書いているのも驚異の猛禽や大地の咆哮のおかげだと考えると彼らには感謝してもしきれない。

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『大地の咆哮』マプサウルス。

その名は『大地のトカゲ』を意味する。



特に紹介したい二つ名を二つ紹介しよう。

まずはイリテーター。

水属性の恐竜でレアリティも低いため初期の相棒にしていた人間も多いのではないだろうか。
名前の意味は『苛立たせるもの』。
彼の二つ名は『翼の折れた海賊』だ。

一見すると翼の折れたエンジェルのオマージュの様な気もするがそうではない。

イリテーターは発見当初、空を飛ぶ爬虫類、翼竜だと勘違いされていた。
苛立たせるものという名前の所以は化石の復元が難航したことからついたのだ。

つまりは、『最初は翼竜だと勘違いされていた』『沿岸部に住んでいた恐竜』なので
『翼の折れた海賊』という二つ名がつけられたのだ。

翼竜から恐竜に認定された彼の紆余曲折をオシャレな二つ名に落とし込むという開発スタッフのセンスには失禁せずにはいられまい。

次にメガロサウルス。
つよさ2000。
憧れの激レアカード、シークレット恐竜。
二つ名は『伝説のプロローグ』
痺れた。本当にこの二つ名には痺れた。

メガロサウルスはジュラ紀に生息していた中型肉食恐竜で、恐竜キング全体のスペック的に考えれば炎属性のつよさ1400あたりに設定されていてもおかしくない。

ではなぜ彼がつよさ2000のシークレット恐竜なのか?

それはメガロサウルスが恐竜の歴史の中で最も初期に発見された恐竜だからである。

初めて人類と接触した恐竜。
総ての恐竜の研究は彼から始まった。
始まりの恐竜。

故に
『伝説のプロローグ』

カッコよすぎだ。
この二つ名以上にメガロサウルスを表す言葉など生まれまい。


◆破滅の尖塔


学名の話をしよう。
学名とは生物につけられる世界共通の名前だ。

ラテン語でつけられるため和名、英名とも異なり馴染みが薄いかもしれない。
(例えば『イヌ』『dog』の学名は『カニス・ルプス・ファミリアリス』)
ただ、恐竜は学名をカタカナ読みしたまま日本に広く普及したので恐竜の場合はそのままの名前が学名だ。

学名には先取権があり、同じ生物に誤って違う名前がついた場合、先に命名されていた方の学名が優先され、後からついた方はシノニム(無効名)となる。
また、研究が進みそれまで種として独立していると思われていた生物が実は他の生物と全く同じものだった場合も学名は無効となりシノニムとなる。

まあ要するにパンダ(『パンダ』という名前は学名ではないが)という生物がいて、私が生まれて初めてパンダを中国奥地で発見した時に『ガンギマリシャブ炊き中年』と名付けて発表したとしよう。
しかし既に『パンダ』という名がつけられているために『ガンギマリシャブ炊き中年』という名は無効になりシノニムとなる。
(ちなみにパンダの学名はアイルロポダ・メラノレウカだ。)

要するにシノニムとは無効となり消滅した名前だ。

恐竜キングに登場する敵サイドの恐竜の名前はティラノサウルスの『ギガス』、トリケラトプスの『マキシムス』、ステゴサウルスの『アルマトゥス』、全てがシノニム、或いはシノニムと考えられている種の名だ。

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(マキシムスは手に入らなかったのだ。。。)

『トリケラトプス・マキシムス』は既存の種と同一だと考えられシノニムに、『ステゴサウルス・アルマトゥス』は化石が断片的すぎて種として認めづらくシノニムになるのではないかと考えられている。

ギガスはティラノサウルス・ギガスという恐竜がいたわけではなく。
ティラノサウルスが発見される以前に命名された『マノスポンディルス・ギガス』からつけられた。

この場合、学名の先取権によって『ティラノサウルス』がシノニムとなり無効になるはずだがなんと

ティラノサウルスというメジャーすぎる名前をいきなり無効にしたら世界中が混乱する

という理由で先に名付けられたマノスポンディルスの方が無効名にされてしまったのである。

ギガス・マキシムス・アルマトゥス。
無効名となり消滅した種の名を冠する敵サイドの恐竜達。
なんとも怨みが深そうで悪役に相応しい。
これまた素晴らしいセンスが光っている。

◆不滅の雷竜

いかがだろうか?
恐竜キングに散りばめられた深い知識とセンスの数々はお分かりいただけただろうか?
恐竜キングとは単なる子供向けアーケードゲームとして片付けられるものではないのだ。

ゲーム開発だけではなく深い恐竜の知識と繊細な感性が求められる、恐竜キング開発スタッフは一体どんな人間達だったのだろうか。

10年以上経った今でも私は未だに自分が恐竜キングをプレイしている夢を見る。

それほどまでに深く引き込まれた作品なのだ。

それは田舎のホテルのゲームセンターだとか、スーパーとかでたまたま恐竜キングを見かけ、大歓喜し、かつての相棒達をスキャンし、束の間の興奮を味わい、そして目が覚め虚しさと寂しさに沈む。

そんな夢だ。
未だに彼らに恋焦がれている。

恐竜キング公式サイトは閉鎖し、新弾も新シリーズも出る様子が無い。
きっと再び彼らは滅びた存在として風化していくのだろう。


それでも私はまた恐竜達に出会える日を夢見ずにはいられない。



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私は遊園地にあるパンダの乗り物と同じなので、お金を入れると動きます。さ、お金を入れてぴんくチャンを動かしてみよう!今度はどんなえげつない動きをするかな??