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ヤギ男の伝説:ニュージャージー州を震撼させる恐怖の存在

アメリカ各地には様々な都市伝説が存在するが、その中でも特に不気味で恐ろしい存在として知られるのが「ヤギ男(Goatman)」である。この半人半獣の怪物は、ニュージャージー州をはじめ、メリーランド州やテキサス州でも目撃されており、彼の恐怖の伝説は地域を超えて広がっている。この記事では、ヤギ男の背景、起源、そして彼にまつわる数々の恐ろしいエピソードを紹介する。


ヤギ男の起源

ヤギ男の伝説は、1957年にメリーランド州のプリンスジョージ郡で初めて報告された。目撃者たちは、巨大で毛むくじゃらの怪物が森の中をさまよい、橋の下に潜んでいると語った。その後、1971年に地元紙「プリンスジョージズ・カウンティ・ニュース」に掲載された記事が、この伝説を広めるきっかけとなった。

この記事では、大学の民俗学アーカイブに記録されている「ヤギ男」や「ボアマン」といった怪物が紹介され、これがヤギ男の存在を一般に知らしめた。しかし、記事が掲載された数週間後、地元の一家の子犬が行方不明になり、その後首が切断された状態で発見された。この事件をきっかけに、「ヤギ男は実在するのではないか」という恐怖が広がったのである。

科学実験による悲劇の産物?

ヤギ男の起源には様々な説があるが、その中でも特に有名なのが「科学実験説」である。ある説によれば、アメリカ農務省の研究施設で働いていた科学者が、人間と動物のDNAを融合させる実験を行い、ヤギと人間のDNAを結びつけた結果、ヤギ男が誕生したという。この怪物は、実験に失敗した結果、怒り狂い、森の中で無差別に人間を襲い続けているとされる。

1962年には、ヤギ男が14人のハイカーを惨殺したという噂も広まった。彼らはヤギ男によって切り刻まれ、その凄まじい叫び声が周囲に響き渡ったと伝えられている。しかし、この話の真偽は定かではなく、都市伝説として語り継がれているに過ぎない。

メリーランド州のヤギ男

メリーランド州のプリンスジョージ郡には、ヤギ男にまつわる数々の目撃談が存在する。特に有名なのが、「クライベイビー橋」として知られる場所での目撃例だ。この橋の下では、夜になると赤ん坊の泣き声が聞こえるとされており、その後にヤギ男が現れると言われている。目撃者たちは、ヤギ男が車に飛びかかり、車内に侵入しようとする姿を目撃しており、その恐怖は地元住民の間で広く知られている。

ヤギ男は特にカップルを狙うことが多いと言われており、ペットを殺したり、家に侵入して犠牲者を森へ引きずり込んだりするという話も伝えられている。さらに、地元住民たちは、ヤギ男の潜む森で骨やナイフ、食べ物の残骸を発見したと報告している。

テキサス州のヤギ男

ヤギ男の伝説はメリーランド州だけでなく、テキサス州にも存在する。テキサス州アルトンには「ヤギ男橋」として知られる古い橋があり、ここでもヤギ男の伝説が語り継がれている。このヤギ男は、実験によって生まれた怪物ではなく、実在の人物だったという説が有力である。

この人物はオスカー・ワッシュバーンという黒人男性で、彼はヤギを飼育して生計を立て成功した農夫で、「ヤギ男」という愛称で地元の人々に親しまれていた。その成功を羨んだクー・クラックス・クラン(KKK)のメンバーたちは、彼を憎み、1938年に彼をヤギ男橋から首を吊るし上げて殺害した。その後、彼の家族も虐殺したと言われている。しかし、彼の死体は発見されず、その後、彼の霊が橋の上に現れるようになったという。

この橋を夜に通ると、ワッシュバーンの霊が現れ、彼を目撃した者は恐怖に襲われるとされている。また、半人半獣の姿をしたヤギ男や、橋の下から聞こえる不気味な笑い声、光る目を目撃したという報告もある。

ヤギ男は実在するのか?

ヤギ男の存在については、様々な証言があるものの、その実在性については懐疑的な意見も多い。メリーランド州の民俗学者であるマーク・オプサスニックは、ヤギ男に関する調査を行った結果、「何かを見た」と語る地元住民たちの証言を信じているが、ヤギ男が実在するかどうかについては慎重な姿勢を示している。

アメリカ農務省も、ヤギ男が同施設で生まれたという噂について否定しており、「そんな馬鹿げた話はあり得ない」と断言している。さらに、ヤギ男が年金を受け取っているのかどうかというジョークまで飛び出しているほどだ。

ヤギ男の真実

ヤギ男の存在を信じるかどうかは、個人の判断に委ねられるだろう。メリーランド州の農務省研究センターは、ヤギ男の実験に関する噂を否定しており、その存在を「愚かな話だ」と一蹴している。また、テキサス州のオスカー・ウォッシュバーンに関する記録も存在せず、彼の物語も伝説に過ぎない可能性が高い。

それでもなお、ヤギ男の伝説はアメリカの都市伝説として根強く残り続けている。特に、森や橋といった孤独な場所では、ヤギ男が突然現れるかもしれないという恐怖が、今もなお人々の心に影を落としている。

ヤギ男が本当に存在するのか、それともただの都市伝説に過ぎないのか。それは誰にも分からないが、ヤギ男の伝説は今後も語り継がれていくことだろう。もしあなたが夜の森や橋の下を歩くことがあれば、背後に気をつけて欲しい。もしかしたら、ヤギ男があなたを狙っているかもしれないのだから。



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