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小説「世界から猫が消えたなら」感想(893文字)


世界中の猫がいなくなった世界で生きる男の話かと思っていたらちょっと違っていた😅

あらすじはこんな感じ↓↓

脳腫瘍により余命僅かと宣告された主人公。
そんな主人公の前に自分とそっくりな姿をした悪魔が現れ、ある取引を提案される。
その取引とは"世界から1つ何かを消す代わりに寿命を1日延ばす"というもの。


全体の語り口とか悪魔とのやり取りがコミカルで、爆笑とまではいかないけどクスリと笑えるような面白さがあった。

その一方で、世界から1つずつ何かが消えていくのは寂しくて悲しくて、途中からはボロボロと泣きながら読んだ😭

1日目に消したのは"電話"。
携帯電話が普及し過ぎて今では無くてはならない存在になっているけど、携帯電話があるせいで時間が奪われてしまっていたり、携帯電話が無かったからこその体験も昔はあったわけで…
果たして利便性を手に入れる事が本当に正しいことなのか?を考えさせられた。

2日目に消したのは"映画"。
主人公は映画が好きで、いろんな映画の登場人物やセリフに影響を受けて人格が形成されていると言っても過言ではない。
映画は娯楽で、言ってしまえば無くなったとしても生きてはいける。
けど生きていく上で必ずしも必要ではないものでも、人生に彩りを加える為には必要なものってあるよなぁ…。
僕も映画は好きな方なので、それが消えるとなると辛かった。
元カノとのやり取りが印象的↓↓

「私、悲しい結末の映画を観ると、必ずもう一回観直すことにしているの。なぜだか分かる?」
「分かるよ」
「じゃあ教えて」
「…ひょっとしたら今度はハッピーエンドになるかもしれないと思うから」
「正解!」

「世界から猫が消えたなら」より


物語後半は主人公の家族のことを中心に語られている。
主人公は父親と仲が悪い。
しかし自分の死を直前に父親との関係と心から向き合い、思い出されていく昔の思い出。

父親は主人公の事を大切に思っていたし、主人公も父親に伝えたかった気持ちがある事に気付く。
そしてずっと会っていなかった父親の元へと向かう…。


大切なものは失ってからその大切さに気付くって言葉があるけど、確かにその通りだなと改めて思い出させてくれる一冊でした。

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