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記憶

私には今向き合いたくない人がいる
それは祖母だ
父方の祖母なのだが私が生まれた時から今まで同じ建物で過ごしてきた
つまり幼いころから頻繁に会っていた人である
元から少し忘れっぽいことはあったがそんなに気にならない程度で80歳を過ぎても元気に過ごしている
しかし最近物忘れが酷くなったように感じる
私の誕生日を全く覚えていなかったのだ
誕生日どころか月すら覚えていなかった
生まれた時から毎年家族みんなでお祝いをしてくれていたのもあってかそれがすごく悲しかった
人は老いていくものだし、こうなることは分かりきっていた
しかしこの場面に初めて直面した私にとってこの出来事はどうしようもないくらい悲しかったし辛かったし苦しかった
誰も悪くなんかないし仕方の無いことというのも分かっている
この一件で祖母の寿命はそう長くはないのだと思ってしまった
私は20年以上生きていて親族が亡くなったことが一度もないからこそ身近な人が亡くなってしまうことへの恐怖でいっぱいになった
生きている今だからこそ祖母と向き合わないといけないしたくさんお話をしたりできることをしたいと考えている
しかしいつか自分のことすらも忘れられてしまうのではないかと思うと向き合えば向き合うだけ傷が大きく深くなってしまうのではないかと思った
このことはゆっくり考えている暇はないので今できることをやって自分が傷つくとしても祖母との残りの時間を大切にしたい

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