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限界の白昼夢

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって海外渡航が制限され、早2年。

私は年末年始やゴールデンウィーク、お盆やシルバーウィークなど、まとまった休みが取れる時にはスカイスキャナーで格安航空券を買い、色んなところへ行っていた。

手取り17万円で、高校から奨学金にお世話になりカチカチ山の狸みたいに毎月返済に追われる身では海外旅行どころかUSJですら怪しい。

そこで、9時から18時までは大人しく会社員をし、終業とともにダッシュで近くの銭湯へ駆け込み身だしなみを整え、20時からはホステスとしておじさんたちと酒を飲み、深夜に帰宅して泥のように眠って翌日も同じことを繰り返す。

北新地

という狂った二重生活を送って、文字通り体を張って得たお金を握りしめて中国東方航空に乗るのが私の「海外旅行」であった。

あまりにも家に居なさすぎて、トイレットペーパーが1年たっても2ロールほど残っていたこともある。

そして休日はSkyscannerを見ては安い国を調べ、Google mapで隅々まで調べては4Travelのブログを読み、次の目的地に「思いを馳せる」というレベルではなく時刻表まで調べる意識がはっきりとした白昼夢をよく見ていたのだが、このような状況になってからというものSkyscannerでは格安航空券が出てこなくなり強制的に日常を過ごす羽目になった。

しかし最近は

・辺境作家として多数の辺境ルポを書いている高野秀行さんの著書を片っぱしから読む

・中国版超絶丁寧な暮らしみたいなYoutubeを観る

・Netflixで中国の様々な地方に伝わる癖の強すぎる伝統食を紹介するドキュメンタリーを観る

・スパイスカレーを作りまくる

と、どうにも限界がきているようで

更には過去の旅行の記憶がフラッシュバックのように思い出され、

いてもたってもいられず

Google先生に「日本 帰国措置」「海外旅行 いつから」

といった愚問を繰り返し尋ねる呪縛霊のような存在になってきつつあるのでここで成仏させようと思う。

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