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2020/01/31 伴走はむづかしい

自分のクラスの生徒でもなく、授業を担当したわけでもない。でも、しょっしゅう話をした生徒も多い。生徒との関わりは様々で、顔は知っているし挨拶もするけれど、名前も知らずそれ以上話したことがない生徒というのもいたりする。

今日職員室を訪ねてきた彼女もそういう生徒の一人だ。いつも早朝も放課後も自習をしているのを知っている。テラスで空の写真を撮るわたしを見てにこにこしていたりする。でも、今日まで名前は知らなかった。

用件は、出願書類である志望理由書の添削だ。来週5日に必着とのことなので、今日中に安心できるところまで書き上げる必要がある。担任や他の教員と話して書いたという原稿を読ませてもらうと、言葉足らずな印象を受けた。指定された400字なんて、本当に思っていることを盛り込もうとすれば導入だって書き切れない。それでも、可能な限りのことを詰め込まねばならない。だから、言葉を磨く。これだと思う簡潔な言葉を探る。

14時から17時まで3時間、6校まで重ねてなんとか仕上がった。べったりつきっきりで指導したわけではなく、書き直しては見せにくるの繰り返し。だから、最終稿は彼女の地道な書き直しの成果だ。
わたしの文章になっても仕方がないので、対話を重ねて彼女の考えと言葉を引き出す。先週ライティングセンターを訪ねて学んだことを活かそうと心掛ける。それでもやはり、目の前のものを良くしようとしてついみっちりと朱を入れてしまう。書き手を育てる伴走者たろうとしても、なかなかうまくできない。伴走はむずかしい。

最終稿を読み直して、彼女は「わたしの言いたいことが全部入ってる」と言った。指導のありかたとしてはまだまだ工夫すべきところはあるけれど、この言葉を聞けてよかった。あとは、2次試験でこれまでの成果を発揮して合格を目指すのみ。がんばれ!

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《2020/01/31 補記》
「むづかしい」といえば丸谷才一『挨拶はむづかしい』。そういえば記事を書いたぞとリンクを張るのは以下の記事。ものすごく前のことのように感じるけれど、まだふた月にも満たない。時間感覚の妙。


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