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2019/12/25 初心に返る/アップデートする

朝食の後、新幹線に乗って帰阪。
昼から幼・小・中・高の系列校に所属する教員対象の研修会が開催されるので、それに参加する。今回のテーマは「プログラミング教育」だった。前半は各校の取り組みの報告。後半は、Googleのコンピュータサイエンス教育部門のプログラムマネージャを務める鵜飼佑氏の講演だった。鵜飼氏の略歴は以下に示すが、わたしは彼がスマートフォンアプリ「Office Lens」の開発に携わった人だと知って驚いた。(だって便利に使っているもの。)

《鵜飼佑氏の紹介》
元Microsoftエンジニア - Minecraftの教育版プログラミング教育機能(Code Builder)やMinecraft Hour of Code、Office LensをはじめとしたOfficeの教育向け新製品のPMをやっていました。未踏スーパークリエータでもあります。
――youtubeチャンネル「ガッコード - プログラミング教育系YouTuber」概要より引用

Computer Science Education PgM @Google , Ex-文科省プログラミング教育オフィサー, Ex- @Microsoft PM for Office and Minecraft Education, 未踏スパクリ, @mitoujr 代表,
――twitter:うっかりぽん/Yu Ukai(@ukkaripon)プロフィールより引用

この鵜飼氏の講演がすごくおもしろかった。
自分の知らない世界で様々なことが行われているのだということを知るのは刺激的だったし、うまく言語化できないでいたプログラミング教育に対する違和感の理由が鵜飼氏の話を聞いて納得できたし、得るものが多かった。

本来は新しいことに挑戦したり創造的なことを行ったりするための「手段」としてのプログラミング教育だったのが、いつのまにかプログラミング教育をすることが「目標」になる本末転倒な状況が起きていることがまずい。

鵜飼氏は、日本のプログラミング教育の最大問題点は「夢がないこと」だと指摘した。「日本では圧倒的にロールモデルが足りない」と。

アメリカでは、IT産業が大きいし、うまくいっている。アメリカでは、コンピュータサイエンスを専攻した人が新なものを作り、起業して成功した分かりやすい例がある。中国でも、深圳では子供に英語とコンピュータの教育を受けさせる人がかなり多い。それは、そこで生まれ育った人がコンピュータサイエンスを学んだことで社会的に成功する分かりやすいロールモデルがあるからだと鵜飼氏は指摘する。「成功する」とは、単にお金が儲かるだけではなく、社会貢献をすることも含まれている。そこに憧れが生まれる。

一方、日本のIT企業はビジネス系の人が起業していることが多く(それだけが原因でないにせよ)、結果、数多くある日本のIT企業はいまだに革新的で世界を変えるような仕事ができていない。(例:スマホのトップ画面を見ても日本で作られたアプリは10%もない)

「自分が作ったもの(アプリ)が人に使われて広まるのは楽しい。これだけアイデア次第で、少ない人数と時間でいろんな人をハッピーにできる可能性があるツールは、プログラミングもしくはコンピュータを使って作るもの(音楽やアニメ)しかないと思っているので、もっとコンピュータを使って作る子を増やしていきたいと思っている」と、講演の最後に鵜飼氏は話した。

教育を学校で教員だけが担っているなんて驕りはさすがに持ってはいないけれど、それでもまだまだ自分の見ている世界は狭い。そして、人を導くのは、自分で実践している人であり、それを「楽しい」と言える人なのだとも改めて思った。本格的に教員の仕事を始めた10年前、当時の同僚に言われた「先生、楽しんで授業していますか?」という言葉を思い出す。初心に返る。そしてアップデートする。自分にできることは何かを考える。原動力は「おもしろいと思うこと」「人の幸せにつながるか」でありたい。

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写真:大阪城。快晴に映える。一昨日、同じ場所から見た夕暮れ時の眺めもきれいだったけれど。

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