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2020/06/18 リーディングシアター「緋色の研究」(有澤樟太郎×鈴木拡樹)

5組10人の俳優が日替わりで登場し、コナン・ドイル『緋色の研究』を原作とする朗読劇を劇場から生配信するイベントが昨日から始まった。この時期のことなので無観客での配信なのだが、それがもうひたすらにもったいなく思われるほど、演者もスタッフも贅沢で華やかだ。作品に関わった人たちに直接拍手を届けられないのは切ないことこの上ない。それでも、目と耳が幸せな90分だった。

第2夜の今日は、ホームズを有澤樟太郎さん、ワトソンを鈴木拡樹さんが演じる。すっかり「趣味は鈴木拡樹」となってしまったわたしには、ホームズものに拡樹さんが登場するというのは最高の組合わせだ。

ホームズものはワトソンによる語りで物語が進行するので、おのずと拡樹さんの台詞量は多くなる。しかも、有澤さんが基本的にはホームズとジェファーソン・ホープの二人を演じるのに対し、拡樹さんはその他の登場人物をすべて演じたのだ。ベイカー街遊撃隊のウィギンズ少年から老婆まで!様々な人物を演じ分ける拡樹さんの声色をここまで堪能できるとは思わなかったので、嬉しい驚きをもって観た。彼は板の上の魔法使いだ。本当に素敵!

有澤ホームズもよかった。自信たっぷりなところや、長い脚を組んでソファに深く腰掛ける様などはホームズらしいし、台本さえ手に持っていなければ、例の両の手の指を合わせるポーズをしてもらいたいところだ。その有澤さんが第二幕ではジェファーソン・ホープを演じるところに痺れた。そうすることで、第二幕でのホームズの再登場がスマートになる。かっこいい。

元々のストーリーのおもしろさと、演出や演者の魅力が絡み合い、大変素敵な作品になっていた。もちろんはじめに書いたように、好きなものと好きな人とを掛け合わせた作品なのだから欲目も多分にある。それでも久々に「いま、ここ」の舞台の楽しさと緊張感のかけらを味わった気がして、とても嬉しかった。眼福至福。

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《2020/06/23 補記》


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