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顧客体験価値ランキング

先日、Best Global Brandsという
アワードの紹介をした。

毎年恒例のこのアワードを提供している
のが、インターブランド社
そのグループ会社にあたる C Space Tokyoが、
「顧客体験価値ランキング2021」という
ランキングを最近発表した。

「顧客体験価値」とは、その言葉通り、
顧客が製品やサービスを体験することを
通じて得られる価値。
その価値が高いブランドとは、
どういうブランドを指すかといえば、

顧客が「自分の気持ちや求めることをよく理解している」と思うブランド

という基準になるようだ。

もう少し分解すると、評価要素は以下の
5つになるとのこと。

「私向けのものだと思える」
「私の立場で考えてくれる」
「私にとって意味がある」
「オープンで、正直である」
「いい気分にさせてくれる」

上記の記事は、日経XTREND(クロストレンド)
という、主にデジタル戦略を扱うメディアの
特集となっており、このランキングに関する
分析・考察を4回にわたって展開している。
そのリポート記事の中で、上に挙げた評価
基準をスコア化したランキングを作っており、
様々な視点から斬り込んだ分析も読めるので、
何がしかの発見や学びがあるものと思われる。

このランキング、早くも今年で3回目を数え、
N数(調査対象人数)も昨年の約3,000人から
約10,000人に増やしている様子。
信憑性、信頼性を増した調査結果になっている
と言えるだろう。

トップ10の顔ぶれを紹介すると、こんな
感じである。

1.星野リゾート
2.ワークマン
3.サントリー
4.帝国ホテル
5.任天堂
6.スターバックスコーヒー
7.ANA
8.ニトリ
9.味の素
10.花王

記事ではトップ50まで確認できる。
ザッとこれらの顔ぶれを眺め、
評価基準とも併せて考えると、
二つのことが思い当たった。

一つは、直近で大きな話題性を作った
ブランドがどうしても上位に来ると
いうこと。
2位のワークマンが、一気にブレイクを
果たしたのは誰もが知るところ。
4位の帝国ホテルは、サブスクサービスを
発表したところ一瞬で売り切れて、
話題をさらったのも記憶に新しい。

2021年のランキングなのだから、
タイムリーな話題を提供したブランドが
選ばれるのは当たり前。
その意味で、今年一年はどんなブランド
が躍進した年だったかを振り返るのに
都合が良いなぁ、などと感じる。

そして二つ目。
評価基準が、差別化の要素として
「密着軸」と呼ばれるものにかなり
寄っているということ。

「差別化の3つの軸」というのは、
マーケティングコンサルタントの
佐藤義典さんが提唱する考え方で、
差別化のための軸を
「手軽軸」
「品質軸」
「密着軸」
の3つに整理した
もの。
過去に何度か(例えば以下の記事)
ここでも紹介している。

顧客の体験価値を高めることに
着目するということは、
差別化要素の中で「密着軸」
フォーカスすることだと言い換える
ことが可能なことが分かる。

逆に言えば、顧客の体験価値を
高めようと思ったら、「密着軸」
での差別化に勝機を見い出せる
可能性が高い、と言えそうだ。

価格の安さ、お手頃さで勝負するのが
難しく、品質で勝負するのも難しい。
そんな場合は、お客様の求めるものに
ひたすら追い付け・追い越せとばかり
お客様を密着マークして、そのかゆい
ところに手が届くようなアプローチを
する差別化が有効。

そんな「密着軸」アプローチが、
「手軽軸」や「品質軸」と比べて
「顧客体験価値」を高めることに
より大きく寄与する
ことを、この
ランキングは示唆しているのでは
なかろうか。

今年のTop10を眺めるだけでも十分面白い
のだが、昨年、一昨年の顔ぶれと比較して
みたり、Top50まで見比べたりすると、
更に色々なことが見えてきて興味深い。
時間のある方は是非、切り口を変えて
読み込んでみて欲しいと思う。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。