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「変なことを言うお客さん」は、実は本当のお客さんだったのではないか?

『ドラッカー・フォー・サバイバル』
出て来る問いの一つに、タイトルに掲げた
ものがある。

マーケティングの実務をやる上で、
お客様というのは常に出発点であり、
また終着点でもある

お客様の需要、ニーズを満たすために、
自分(たち)のリソースを活用して、
どんな価値を提供するか。
このマーケティングのプロセスにおいて、
まず、お客様のことを知るのが出発点。
そして、お客様に価値を届けるところが
一旦の終着点
だ。

マス・マーケティングにおいては、
お客様を知ろうとするにあたり、
ひとり一人を事細かに知ろうとするには
相手が多すぎる
どうしたって、ある程度似たような
お客様を括って、「セグメント」に
まとめた形で把握する
ことになる。

言葉を変えれば、ある程度のお客様の
カタマリを捉えて、その平均値を見る
ことになると言えるだろう。

しかし、それで本当にお客様の真の
ニーズ
を捉えることができるのか?
何か大切なものをつい漏らしがちに
なるのではないか?

お客様を括って、中央値だったり平均値
だったりの「代表性」のあるニーズを
把握しても、それで個別のニーズを把握
したと言い切ることはできない。

平均値があるのと同時に、他の値も
恐らくは正規分布する形で存在し、
いわゆる「外れ値」「異常値」などすら
存在するかもしれない。

そして、それらもまたお客様のニーズで
あることは確かであり、
決してないがしろにすべきではない。

土曜の夜、上記書籍・略称『ドラ・サバ』の
読書会で、著者の井坂さんから、
「お客様の声を要約するのは実は不可能」
という鋭い投げかけをもらって、
自分がついマス・マーケティング寄りの
思考にとらわれている
という事実に
気付かされた。

お客様をつぶさに見ていけば、
必ず「変なことを言う」人に出くわす。
言っていることが「変なこと」なので、
通常は相手にされなかったり、
適当にあしらわれたりされがち
だ。

しかし、「変なこと」しか言えないの
には訳があるかもしれない。

たまたま言語化が苦手なだけで、
実は物凄く鋭い視点で、自社商品の
改善ポイントを突いた感想を持って
いた可能性
が十分ある。

あるいは、世の中にはまだない概念を、
一生懸命言語化
しようとして、
もがき苦しみながらも何とか伝えようと
努力し、そのために「えーと」とか
「あのー」といった言葉だらけになって
相手に余計伝わりにくくなっていただけ
かもしれない
のだ。

当然ながら自分(たち)が持っている
時間などの資源は有限

先述の通り、お客様全員のニーズを
ひとり一人汲み取り尽くすことなど
到底不可能。

それを分かった上でなお、
お客様を平均値で捉えながらも、
その向こう側に無数の「おひとり様」
いて、「変なこと」に聞こえるけど
実は的を射た考えを持っている
ことを、
絶対に忘れないよう心に留めておきたい。


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