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自動車産業の変遷についてのメモ

日本の自動車産業は、かつては
裾野まで含めるとGDPの1割以上を
占める
とも言われた、国を代表する
産業分野だ。

メーカーの数も多い。
トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、
スバル、スズキ、ダイハツ、、、
アメリカやヨーロッパの国々と
比較して、一国にここまで沢山の
メーカーがひしめき合っているのは
例を見ない。

単に数が多いだけならどうということも
ないのだが、各メーカーがそれぞれ独自に
特長あるエンジンなどの技術で競い合って
いる
点で、他国の状況と一線を画している
ように思われる。

なぜ日本だけこのような状況が起こった
のであろうか。
その答えを昨日教えてもらった。
それは、日本の産業史に、第二次大戦の
敗戦が与えた影響の一つだったのである。

戦前は、多くの技術者が、自動車産業だけ
でなく、航空機産業にも従事していた。
ところが、戦後は7年間にわたって航空機の
研究・設計・製造を禁止
されており、
その間に多くの技術者が自動車産業へと
流れた
のだというのだ。

その7年間の影響は甚大で、航空機産業が
いまだに日本ではパッとしない。
結局、優秀な頭脳が流出して、10年近く
何もできなかったことが尾を引いている
のは間違いないところ。

それに対して、優秀な頭脳を数多く得た
自動車産業は、多くのメーカーがヒト・
モノ・カネをエンジン等の開発に投資
することが可能になり、高い品質のモノ
づくりを実現した
のだ。

もちろん、それだけが唯一の理由では
ないだろう。
それでも、極めて重要な一要素であった
ことは疑いなさそうだ。

実のところ、日本の自動車メーカーが
これだけ多く生き残って世界で戦えて
いたのに、航空機ではいまだにパッと
しないのは、不思議で仕方なかった。
とはいえ、深く突っ込んで考えることも
なく、戦争が何かしら影響したのだろう
なぁ、、位の認識しかなかったのである。

そんな自動車産業も、事情はなかなか
厳しそうに見えるところ。
日本の人口は着実に減り、それだけで
なく自動車を保有する人口がかなりの
勢いで減りつつある

そこに加えて、実質所得の減少がボディ
ブローのように効き続け、サブスクの
サービスやレンタカーなどの選択肢の
増加
と相まって、市場の将来性をあまり
楽観視することはできない。

少し前から、「CASE」という言葉が
聞かれるようになった。
Connected:接続
A
utonomous:自動運転
S
hared:シェア、共有する
E
lectric:電動
これら、自動車業界の近未来トレンド
象徴する言葉の頭文字を取ったわけだ。

独りになれる時間。
ドライブする楽しみ=ドライブ固有の価値。
エンジンの音や振動を体で感じながら、
「相棒」として乗りこなす喜び。

そういった、かねてより自動車が提供して
きた価値の一部が、「スムーズな移動」と
いう価値によって淘汰されていくかの
ようにも思われるトレンド
である。

トヨタやホンダといった日本を代表する
メーカーが、どのようにこのトレンドを
捉えていくのだろうか、興味が尽きない。

冒頭の写真は、先週末に拝見した写真展で
カメラに収めた、友人の発表作。
陽に向かって伸びる一本の真っ直ぐな道と、
その上に広がる青い空。
車と飛行機を連想させるということで、
使わせてもらった。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。