市場シェア90%超の巨人

日用消費財を取り扱う企業で働いて
いると、日々目まぐるしく変わる
市場データとのにらめっこをずっと
続けることになる。
市場でどの程度売上が立っているか、
その結果市場の中でどの程度のシェア
を占めているのか、
売上金額は数量×単価に分解できる
ので、それぞれの数値はどうか、
配荷(はいか)率=店舗への浸透率
はどうか、等々。

こういったデータは、いわゆる
POS(Point Of Sale=販売時点)の
個別データを集積したビッグデータ
を加工して出来上がる。
そんなビッグデータ解析を基に、
市場データ提供サービスにおいて
国内シェア90%を優に超える圧倒的
な強さを誇っている企業がある。

インテージは、元は社会調査研究所と
いう名前で60年前に創業した会社。
国内の協力小売店網を構築・組織し、
そのPOSデータを吸い上げ、独自の
アルゴリズムで解析、「拡大推計」
することで市場における売上金額、
数量、単価、配荷といった様々なお宝
データを極めて高精度にはじき出す

私が以前お世話になったカミソリの
会社では、当初ニールセンという
外資系のPOSデータサービスを使って
いた。
しかし、在籍途中で、ニールセンが
日本から事業撤退することになり、
そのようなPOSデータを購入する先が
インテージ以外にほぼ選択肢のない
状況に。

市場データを提供するサービスという
のは、参入障壁が極めて高い。
何と言っても、全国の小売店網を組織
して、協力してもらう体制を組まなけ
ればならないわけで、そのようなもの
は一朝一夕にできるものでは決して
ないのだ。
当時、インテージ、ニールセン、日経
POSくらいしか、日用消費財のデータ
を扱っている企業はないと言われて
いて、ニールセンの撤退に伴い、
インテージのシェアは90%を優に
超えると言われていた。
今も状況はほとんど変わらないはず
である。

寡占、ないしはほぼ独占と言っても
いい状況においては、他に選択肢が
ないわけなので、インテージにお願い
するか、あきらめるか、その二択に
限りなく近い。

市場の状況、すなわち会社やブランド
が目標にする売上だったり市場シェア
だったりを、ある程度正確に把握し、
しかもその数字を時系列を追って常に
把握し続けないことには、ビジネス上
大変不便なことになる。
仕方がないからインテージに頼む、
頼まざるを得ない、そんな状況。
当然、価格については顧客側にあまり
強い決定権はない。
ほとんど言い値で買わざるを得ない、
というのが事実に近い。

ビジネスをするなら、これくらいの
圧倒的なシェアを手に入れ、
徹底的に参入障壁を高くして競合が
入ってこれないような状況を作り、
価格の決定権を自ら握り続けるよう
にしたいものだ。

インテージになぜそれができたか。
詳しいことは私も実は知らないの
だが、世界で圧倒的なNo.1を誇る
ニールセンを撤退に追い込んだ
ときの記憶や、人に聞いた話などを
踏まえて考えてみると、日本市場の
特殊性に真摯に向き合い、顧客の
細かい要望にも根気よく付き合って
来た地道な努力が、着実に実を結んだ
のではないか、そんな気がする。

ニールセンの本国であるアメリカに
比べ、小売店の密度が高く、POS
の機械の浸透もかなり遅い状況が
続いていたはずの日本。
その日本におけるローカルプレイヤー
として、地の利を最大限に生かし、
今も好調を維持している。

日本の特殊性を踏まえ、顧客に密着して
必要なデータの加工、分析をサポート
してきたからこその優位。
久々にサービスのお世話になる予定が
できたので、その強さの秘密を探り、
自分なりに咀嚼できないかと、今から
楽しみである。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。