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制約条件を乗り越える時にクリエイティビティが生まれる

ラグビーファンにとっては寝不足の
日々が続いていることと思う。
現在ワールドカップが開かれている
フランスと日本の間には、
時差が7時間ほど。
どうしても試合開始は早くて夕方、
前回の日本対イングランドは真夜中
だった。

前回大会までは、ハイネケン
ビールのスポンサーとして君臨して
いたラグビーワールドカップ。
その牙城をアサヒが切り崩したと
いうことで話題になっている。

アジア初のワールドワイドパートナー
(WWP)
6社のうちの1社になった
ということで、随分前に報道されて
いたのだが、下記の日経記事に詳しく
事情が載っていて興味深い。

フランス大会が、アルコールの規制が
大変に厳しく、ハイネケンが尻込み
している間にアサヒが契約をもぎ取った

とのことなのだ。

1大会で15~20億円は払うのでは、
と言われる高額のスポンサー料は、
果たしてペイするのかが気になる
ポイント。

これについては、前回2019年の日本で
開かれた大会の折、スタジアム近くの
コンビニ等で売れたビールの量が
凄まじかった
らしく、スポンサーに
名乗りを上げようという機運が社内で
一気に高まったようだ。

WWPになったものの、ハイネケンも
気に掛けていた法律の制約は消えた
わけではない。
フランスでは、スポーツ施設における
アルコール飲料の販売が法律で原則と
して禁止
されており、広告への規制も
大変に厳しい。

そんな状況を、ある意味逆手にとって、
アサヒがやってのけた大逆転の手法
素晴らしい。

「Asahi SUPER DRY」
というロゴを見れば、誰でも
あの見慣れたビールのブランドを
思い出す。

そのロゴで使われているフォントを
用いて、
「Aaah! SUPER TRY」
という広告を掲出しているのだ。

フォントが同じなので、
パッと見た限りでは違いに
気付かない人も少なくないだろう。
試合後の配信では、デジタル技術で
本来の「Asahi SUPER DRY」に
差し替え
られるというから、
これまたお見事である。

産経新聞の上記記事では、
このアサヒの機転あふれる
広告展開を、「エスプリ」
表現して称えている。
英語では「ウィット」
日本語なら「機知」ということ。
全くもって同意である。

会場におけるビールの販売自体は
例外的に認められたそうだが、
広告に対する厳しい規制は健在。
スポーツとアルコールを結び付ける
広告は、依存症などの健康被害を
踏まえて一切禁止

そんな逆境の中にあって、
いかに機転を利かせ、機知に富んだ
ソリューション
を導き出すか。
制約条件が厳しければ厳しいほど、
クリエイティビティが試される。

その試練に見事にパスした
アサヒの今回の広告は、
長きにわたって語り継がれる
レベルの、正に文字通りの
「スーパートライ」
だと感じた次第。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。