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サンクコストの罠

東京オリンピックの1年延期。
巷はこの話題で持ちきりだ。
もちろん、コロナウィルス騒ぎの
延長線上にある話。

東京都でも、向こう3週間が勝負
ということで、油断しそうに
なっている都民に対して注意喚起を
行っている。
ほんの数か月前には考えられ
なかった事態。

今年の夏に照準を合わせて、
ベストコンディションに整えようと
して来た選手たちにとっては、
なかなかつらい状況だ。
それでも、本物のプロは、
起きたことは起きたこととして
淡々と受け止め、
早速2021年夏に照準を変えて、
今やるべきことに取り組み始めて
いるに違いない。

起きたことに囚われること、という
のはビジネスでもよくある話だ。
よくいう
「サンクコストの罠」
というやつである。

Sunk cost
「埋没費用」と訳されるか、
あるいはそのまま
「サンクコスト」
で通る場合も多い。
既に支払ってしまったものの、
生かされることのない費用。

例えば、タレントを使ってTVCMを
作ったが、そのタレントが不祥事を
起こしてしまい、CMを流したら
会社のイメージ悪化が避けられない。
そんな場合、CM制作費用がもったい
ないからとの理由でCMを流すわけ
にもいかず、結果その費用はサンク
コスト化する。

人間というのは合理的なようで
不合理のかたまり。
サンクコストがあると、ついつい
それに意思決定が引きずられて
しまうもの。
それこそが「罠」であり、
「サンクコスト効果」とも
呼ばれるものの正体。

「コンコルド効果」という呼び名も
あるようだ。
これはもちろん、超音速旅客機の
開発において、なかなかあきらめ
きれずに開発を続けたものの、
最終的にはプロジェクトが挫折、
かえって損害が膨らんだという
具体的な事例を元にしたネーミング。

「もったいない」という言葉は、
モノを大切にする文脈においては
素晴らしい言葉であり、
概念・コンセプトである。
しかし、ビジネスの意思決定に
おいては、持ち出すにはふさわしく
ないことも多い。

ビジネスを取り巻く状況は、
ダイナミックに変化する。
サンクコストが生じないこと、
生じないようにさせることが
ベストだが、生じる可能性とは
常に隣り合わせ。
思い切って、サンクコストを
切り捨てる勇気を持たなければ
ならない。
そして、それはプロフェッショナル
であることの条件の一つだと
言えるのではなかろうか。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。