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展示会ビジネス

コロナウィルスが、いよいよ
パンデミックの様相を呈してきた。
原則出勤を禁止して、自宅勤務に
する会社が今週から急激に増えた
ようで、朝の通勤電車にかなり
余裕が出来ている。

つい二週間ほど前、カメラの展示会と
して有名なCP+が中止となった。
私は詳しく知らなかったのだが、
業界内ではかなり大型の展示会として
知られているらしく、動員も大きい
ために、内外の影響も甚大だと
騒がれていた。

今週に入ってからは、ドラッグストア
ショーの中止も発表された。
こちらは、私自身も随分前から知って
いる巨大展示会で、企業だけでなく
消費者の来場も非常に多い、
いわばド定番の部類。
今の世の中の流れからして、
中止せざるを得ないだろう。
関係者は苦渋の決断を迫られた
ことと思う。

今回のコロナ騒動で、これら展示会を
商売のネタとしている企業は、
相当な打撃を受けるだろう。
とはいえ、ビジネスモデル自体は
とても強固だと思われるので、
一時的な騒動が収まりさえすれば、
また安定的に稼ぐことが出来るのは
間違いないところだと思う。

展示会の運営を商売としている
大手企業として、真っ先に
思い浮かぶのが、二社ほどある。
ひとつは、「ギフトショー」を
運営しているビジネスガイド社。
もうひとつが、外資系で
アグレッシブにビジネスを伸ばしている
リード・エグジビション社だ。

「ギフトショー」は、様々な
カテゴリーの商材を、
「ギフト」に使えるなら何でもござれ!
とばかりに、ごった煮状態にした
展示会。
東京では、毎年春(2月)と
秋(9月か10月)の2回ほど
開かれており、展示会としては
日本屈指の規模を誇る。
ビジネスガイド社は、この
「ギフトショー」の運営主体として、
ギフトショーの発展と共に
大きくなった会社である。

他方のリード社は、今や年間
200本以上の展示会を運営する、
業界No.1企業。
私が「ギフトショー」などの展示会
出展に頻繁に関わっていた
4-5年ほど前は、年間の展示会
運営数が100本を超えた程度だった
はずが、あっという間に2倍近い
伸びで事業を拡大している様子が
うかがえる。

いずれの会社も、自ら何かを展示する
わけではなく、展示会に出展したい
企業を募って、スペースを貸し出す
事業を展開している。
そのスペースは、基本的には
自分たちの土地・建物ではなく、
東京ビックサイトや、幕張メッセ、
パシフィコ横浜などの
半公共的な会議場。
だから、あくまで会議場という
スペースを借りる形で「仕入れ」を
行い、その場を「編集」した上で
「又貸し」するビジネスなのである。
このような極めて特殊な市場に
商機を見い出し、規模を拡大
してきたという事実には、
大変に頭が下がる思いだ。

ビジネスガイド社が、ほぼ
「ギフトショー」の展開のみに
とどまっているのとは対照的に、
リード社は展示会運営ノウハウを
様々なカテゴリーに横展開をして、
あれよあれよと成長を遂げ、
日本市場におけるNo.1の確固たる
地位を築いた。

デジタル全盛のこの時代、なんで
わざわざ展示会の会場まで出向いて、
広い会場をあくせく歩き回らなければ
ならないのか、という疑問を感じる
向きもあるのではなかろうか?
しかし、繁盛しているからには、
何かしら理由があるはずである。

会社には「購買」を行う部門がある。
大きなものから小さなものまで、
会社は様々な物品・サービスを
「購買」する必要に迫られるが、
殊に大きな買い物をする場合には
「相見積もり」がルール上求められる
ことが多い。
この「相見積もり」というのが意外と
やっかいで、複数(大抵は3社以上が
マスト)のサプライヤーに声を掛け、
所定の手順にのっとって見積もりを
取り、比較検討した上で1社選ぶ
ことになる。

展示会は、この手順を圧縮する
ソリューションとして機能する、
というのが繁盛の大きな理由の
一つとなっているようだ。
同じ業界のソリューション・
プロバイダー(解決策を提示して
くれる業者さん)が一気に集まる
ところに顔を出せば、いちいち
個別企業にコンタクトを取らずとも、
効率的に良さそうなソリューションを
見つけることができる。
面倒そうに見えて、意外と手間が
省けるということなのだ。

リード社は、展示会運営に様々な
システム的要素を取り込んで、
毎年毎年着実に改善を積み重ねて
来たからこそのNo.1だと、傍から
見ていて感じる。
展示会を見る折には、勿論その展示会
自体のコンテンツを見ることが
主目的だろうが、展示会という
フォーマットを提供している企業の
ことにも着目してみると、
何か面白い発見があるかもしれない。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。