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ドトールとスタバの出店戦略対決

先日、自転車で町田の方へと
繰り出した折、見た覚えのない
緑色のドトールに出くわした。

「ドトールキッチン」
という名前の付いたこの店舗は、
ENEOSのガソリンスタンドに
併設されている。
なるほど、給油客がついでに
コーヒーを飲んだり、軽食を
とったり、そういった需要を
捉える意図での出店
なのだと
理解した。

新しい製品、サービス、店舗、
とにかく気になるものがあれば
とりあえずググってみるのが
習い性。
どうも比較的新しい業態のようで、
一都三県の地図上で検索しても
10店舗もない位の希少度。

こちらのリリースに、ある程度詳しい
説明がある。
以下、部分的に引用する。

繁華街、ビジネス街に限らず、駅や空港、SA・PA、病院、官庁、図書館といった公共施設をはじめ、人々の生活のインフラとなる立地への出店に積極的に取り組んでまいりました。そのひとつとして、カフェ業界初のサービスステーション併設店舗を1999年に開発し、現在全国に95店舗(2019年9月末時点)を展開しています。
郊外型ドトールコーヒーショップの「ドトールキッチン」は、給油目的のドライバーの方だけでなく、近隣住民の皆様の集いの場となるような“生活プラットホーム”を目指しています。

進取の気性を発揮して、
生活者に新しい提案をしている姿勢が
見て取れる。

スターバックスもまた同様に、
様々な立地に出店をしている。
TSUTAYAと協業して、代官山T-SITEの
蔦屋書店に店舗を併設したのを皮切りに、
今や本を読みながらコーヒーを飲める
「Book & Cafe」コンセプトのお店は
80件ほどに上る。

他にも、空港や新幹線駅構内、SAやPA
といったところはドトール同様に出店

している。
比較的新しい試みとしては、
「リージョナル ランドマーク ストア」
という、その地域特性を店舗デザインに
溶け込ませて、地域文化の発信基地に
するという興味深いコンセプト店舗を
展開している。

こう見てくると、お互い切磋琢磨しながら
新たな価値の創出に向けて様々な店舗の
スタイルを模索、開発してきたように
思われる。

スタバの方がPRが上手なのか、新しい
コンセプトを世の中に訴求する上では
一歩先を行っているように感じていたが、
ドトールも負けず劣らず、むしろスタバに
先行して新たな立地を試してきた歴史が
あるように見受けられた。
ドトールとしては、「黒船」スタバを
強く意識して、いかに先行して斬新な
出店戦略を構築するかに腐心してきた
ということなのかもしれない。

ただ、こうしてガチンコで競争して
いるように見える両者ではあるが、
実際のところどこまで直接競合して
いるのかはよく分からない。

というのも、両者はマーケティングで
いうところの「ポジショニング」が
異なる
からである。

この辺の話は、自分のセミナーで必ず
お話ししている内容なのだが、
ドトールは「味」と「手軽さ」で
差別化を図っている
のに対して、
スタバは「居心地の良さ」をメインの
差別化要素としている
ため、
実のところお客様のかぶり具合は
さほど大きくないと思われるのだ。

だからこそ、似たような出店戦略を
採っていても、異なるお客様に刺さる
ために、お互い大きな食い合いを
起こすことがなく推移しているのかも
しれない。
(実際には大きな食い合い、奪い合い
となっている店舗もあるかもしれず、
断言は避けておく。)

いずれにせよ、両者ともお客様のTPO
(Time、Place、Occasion)に合わせ、
ただコーヒーを飲ませるのではない、
新しい付加価値を提供することを常に
強く意識して出店戦略を練っている
ことが、改めてよく分かった。
コロナで外食は軒並み苦しい状況だが、
両者には是非頑張って欲しい。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。