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恵那栗のブランディング実践

「栗」と聞くと、
私の場合真っ先に思い浮かべるのは、
長野県の小布施町である。
栗を中心にした「第六次産業化」に
町全体で成功した事例
であり、
実際に訪問して「小布施堂」という
老舗でモンブランもいただいた。

他にも栗を名産にしている地域は
あるだろうが、具体的な産地まで
思い浮かぶほどではない。

先月発行の『致知』に、日本一の
栗ブランドを確立した和菓子店

岐阜県恵那市にあるとの記事があり、
興味深く読ませてもらった。

「恵那川上屋」という菓子店の
社長を務める鎌田真吾氏が、
その立役者である。
創業が1964年と言うから、
まだ60年にも満たない。
鎌田氏の父が、隣の中津川市にある
老舗からのれん分け
を許されての
スタート。

競合に比べて最後発だったが、
他社が地元産の栗を使っていない
点に着目。
自分たちだけの強みを作り、
ブランド化していこうと考えた
ようだ。

元々、恵那市は「栗の里」で、
多くの老舗が栗菓子を扱っていた。
ところがあるとき、東京の百貨店で
地元の栗きんとんに出会い、食べて
みたらどうも味が慣れ親しんだもの
と異なる。

気になって調べたら、地元の栗では
なく他県の栗を使ってコスト削減

走っていた地元の老舗たちの内情が
分かってきた。

そんな状況を見て、地域を元気にする
ことが二代目たる自分が会社を継ぐ
意義
だと自覚して、23歳で入社をした
鎌田氏。

しかし、経営状態は「火だるま」
足もとを固めぬままの販路拡大が
悪循環を招いていた。

そこで彼が取った策が、
・都会の百貨店への出品取りやめ
・結婚式の引き出物取り扱い中止

といった戦線縮小

その上で、地元名産である恵那栗に
資源を集中
させ、恵那栗の品質を
高めて良いモノづくりを行い、
それを地元で売り抜いていくという
戦略的な施策である。

より具体的には、需要が他県産に流れ、
低い買取価格しか付いていなかった
恵那栗の「全量買い取り」を始めて、
地元農家・農協との地域連携を強化。

これにより、農家の収入が増え、
安心して農家が恵那栗を生産できる
態勢
が整うようになったのだ。
その後も、需給バランスを上手に取る
ために、様々な仕組み化を行うなど、
工夫を凝らしていった様子。

そして、販売の方でも、効果的な
ブランディングの工夫を凝らした。
あえて恵那栗の良さを詳細にアピール
可能な地元販路に絞った
のである。

その結果、地元のお客様がコアファン
となり、そこからあれよあれよと熱い
クチコミが広がっていったようなのだ。

こういった実績を出したのは、
20年以上も前のこと。
ブランディングのお手本事例
捉えることも出来るし、
いわゆる「ファンマーケティング」
手法を先取りした実践的な例とも
言えそうだ。

恵那栗を使ったモンブランなど、
是非食べてみたいものである。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。