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「オタク」が経済を引っ張る

在宅勤務が増えると、家族と夕食を
共にすることが可能になる。
これまでは、早く帰ってきたとしても
大抵20時を過ぎることが多く、
家族は先に夕食を済ませていることが
常態。

そのおかげで、テレビから情報が入る
ことが少しながら増えた。
ほぼテレビを観ない生活を送っている
のだが、夕食の際にはNHKのニュース
番組をBGM的につけていることが多く、
受動的とはいえ情報が入ってくるので
ある。

今日、たまたま目に留まった情報に、
「鉱物女子」
というキーワードがあった。
様々な鉱物に魅せられた女子が、
オンライン(ZOOM)で、顔は見せずに
鉱物を見せ合っている交流会の様子や、
スキが高じて鉱物のアクセサリー店を
開いてしまった方の接客の様子、
まるで錬金術を駆使する魔女のように
鉱物を煮詰めて結晶を取り出して見せる
方など、鉱物好き、鉱物オタクたちの
オンパレードだったのである。

昨日紹介した、ユーロモニター社の
「2021年世界の消費者トレンドTOP10」

に、このような「オタク経済」の深化、
発展などは入っていないかと、改めて
見てみたのだが、残念ながら取り上げ
られてはいなかった。
もはや、あまりにも「当たり前」すぎる
動きだということで、取り上げるまでも
なかったのだろうか。

この「鉱物女子」というワードは、
本のタイトルにもなっていて驚く。

昔から、女子は「キラキラ」に魅せられる
生き物だとはいえ、ダイヤやプラチナ、
パール、ゴールド、シルバーといった
定番的な貴金属に飽き足らず、かなり
マニアックなものにまで走っている方々の
パワーは、観ていて感心するばかり。
まさに、「鉱物オタク」である。

この様子を眺めながら、
「オタク経済圏」
なる言葉を思い出した。
と言えば、この本。

かの新日本プロレスが、2年前にNYの
マジソン・スクエア・ガーデンを満員に
したという伝説の興行。
その裏には、明確な戦略があったという
ことを、新日の親会社であるブシロード
の役員が明らかにしている本である。

新日がその後、コロナ禍に見舞われて業績
が厳しくなり、メイ社長も退任せざるを
得なくなるなど、この本が出た2年前とは
状況が様変わりしてしまっているが、
だからといってこの本で説かれている
ことの価値が下がったわけではない。

日本のオタク文化は、アメリカでも、
ヨーロッパでも、アジアでも、見事に
多くのファンを獲得しているのは、
まぎれもない事実。
そのようなコンテンツのパワーを、
デジタルと掛け合わせつつ、
そこにとどまらずに、
アニメ、ゲーム、イベント、ライブと
いった多種多様なメディア・ミックス
を駆使することで、
「2.5次元*の価値体験」
を創造している。

*2次元であるアニメやゲームの世界を、
3次元の世界であるイベントやライブで
再現することを指す場合が多い。


昔は、「オタク」と言うと、ある種の
差別用語的なニオイを感じていた記憶
がある。
しかし、今や市民権を得るどころか、
消費トレンドを引っ張る存在として
注目を浴びている。

自分の「好き」を、堂々と表明しても
良いというこの傾向は、個々人の興味
関心は異なるという、ごく当たり前の
事実を尊重すること。
誰もが生きやすい社会へとつながる、
歓迎すべき動きだと思う。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。