見出し画像

エアコンの価値をめぐる小話

我が家にはエアコンが3台ある。
2台は昨年買い替えた。
20年使ってようやく買い替え。
何とまぁ、よくも長持ちして
くれたものだと思う。
残る1台は、稼働が少ないので、
一気に替えるのではなく1年
待ってみようと決断。

そして1年が経ち、夏本番になる
前にその1台を買い替え、更に
今はエアコンが付いていない
部屋にもう1台追加することを
決め、昨日購入契約をしてきた。

在宅勤務が増え、子どもたちも
学校に行かずに家にいることが
多いと、どうしても各部屋の
稼働が増える。
節約志向で、稼働する部屋数を
抑えるために、快適さや能率を
犠牲にするのは本末転倒だ。
丁度1人当たり10万円の給付も
あるわけだし、景気浮揚に少し
でも寄与するのが国民の義務でも
あるだろう、などと屁理屈をこね、
気前よく買うことにしたのである。

家電専門店も入っている商業施設
に向かったところ、手前で軽く
渋滞している。
私は電動自転車で至ってスムーズ
だったが、「人混み」が戻って
きている実感を得た。

昨年エアコンを購入したのと
同じ家電量販店で、早速良さ
そうな機種を選ぶ。
今回の2台は、いずれも小さな
部屋向けのエアコン。
一番小さくて安いもので十分、
でもせめて日本のメーカーの
ものにしよう、ということで、
パナソニックのエオリアという
ブランドの商品に決定。

途中までは商談もスムーズに
進んだのだが、システム障害が
起きたとかで、店員がアタフタ
し始めた。
何とか会計まではこぎつけたもの
の、システム復旧した際に何か
変更が生じるかもしれないので
その時はすぐ連絡するとの話を
受ける。
拒否しようもない。
了解。
そして店を出た。

夜になり、日中対応してくれた
店員が申し訳なさそうに電話を
かけてきた。
「2点ほどございます。」
2つもあるのかよ。
だが仕方ない。

1点目は、取付希望日が1日だけ
ずれてしまうという話。
元々、日付指定はできても時間
指定はできない状況だったし、
土日を指定しているので混み合う
のは想定内。
妥協可能な範囲だ。

さて、もう1点は何だろう?
何と、頼んだエアコンが欠品だ
という。
ゲゲっ、高いのを買わされるの
ではないか?と一瞬身構える。
しかし、購入したはずの商品は
2019年の型番で、今回売り切れ
てしまって用意が出来ないので、
代わりに2020年版をご用意させて
いただきます、とのこと。

おっ、それってラッキー?!
ジェットコースターのように
気持ちが上がったり下がったり
させられる。

「なお、2020年版は、2019年版
と型番以外は全て同じです。」
えーっ!そうなの!?

「2020年版の方がお値段が高い
のですが、今回はこちらの事情
ですので、同じお値段でお届け
させていただきます。」
そんなの当たり前だよ!

それより何より、年が変わって
型番を変えるだけで、何で値段
も違うのか、なかなか理解に
苦しむ展開。
消費者をバカにしている!
と言われても仕方ないのでは
なかろうか?
生鮮食料品でもあるまいし、
1年経ったら鮮度が落ちて、
エアコンの効きが悪くなる、
そんなことはないだろう。

とはいえ、やはり製造年月日が
1年新しい、というのは「価値」
となり得るのだろう。
エアコンのような、消費期限、
賞味期限が問われようもない
商品であっても、だ。

消費者は、モノの「価値」に対価
としてのお金を払っている。
エアコンの場合、その「価値」は
主に機能面、つまり部屋を心地
よい温度に保ってくれる部分に
ほぼ依存しているはずだ。
そして、年度が異なるだけの、
2019年版と2020年版は、明らかに
機能面では同一である。

この本質的な機能に加え、
・見た目がカッコいい
・コンパクトで省スペース
・自動掃除機能でお手入れが楽
などの付随的な「価値」も、
消費者は評価するだろう。
そして、その付随的な「価値」の
中には、
・製造年月日が新しい
という要素も含まれていると
いうことなのだ。
まぁ、それによって上乗せされる
「価値」は、ごく微々たるもので
あることに疑いはないが。

改めて、消費者の「価値」判断に
ついて考える良い機会であった。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。