2023年上半期ヒット商品番付に思う
恒例のヒット商品番付が発表された。
今回は上半期ということであるが、
なかなか濃い内容に思える。
下半期にも、同じような濃さの
ヒット商品が目白押しになったなら、
年間の番付は壮観だろう。
この番付の趣旨が、番付表の真ん中に
書いてあるので、引用する。
今回の番付では、
東の横綱に「5類移行」
西の横綱に「WBC世界一」
東の大関に「ChatGPT」
西の大関に「インバウンド復活」
という具合に並んでいる。
どれもこれも、抑圧された3年間から
ようやく解放されつつある世相を
背景に、この半年で世間を大いに
賑わせたものばかり。
順当な内容と言えるだろう。
東の関脇は「スーパーマリオ」、
西の関脇は「スラムダンク」の
映画版(正式名称はもっと長い)が
入ってきており、ヒット作が続いて
好調に見える映画界の動向が反映
されている。
一つひとつ取り上げて論じるのも
面白いが、今日は全体的な傾向に
ついて簡単に触れるにとどめたい。
日経MJが自ら「消費動向や世相」を
見た上で決めているとあるので、
「アフターコロナ」絡みの項目が多い
のかと思いきや、意外とそうでもない。
「5類移行」や「インバウンド復活」が
横綱と大関におさまっていて、
そこで大きな動きは捕捉してしまって
いるということなのだろうか。
それよりも、より大きく目立って
いると思うのは、「格差」である。
殊に、高いものが売れる話と、
その逆でインフレに逆行するものが
目立って売れているという話が、
ところどころ取り上げられていて
目立つように思うのだ。
具体的には、東の前頭にいる
「逆張り値下げ」
「大谷売れ」
「ANA、JALの国内線均一セール」
西の前頭にいる
「全戸億ション」
「伊勢丹バブル超え」
といったところが挙げられる。
コロナで景気はどん底に落ち、
ようやく5類移行で立ち直る契機に
なるかと思いきや、
インフレ続きで物価は上がる一方、
仕事はChatGPTに奪われて不安定な
こと極まりない。
そんな中で、株価が30年ぶりの高値だと
言われても、庶民の感覚としては全く
景気の良い実感が持てない。
それでも、お金があるところにはあるし、
使う人はしっかり使ってくれているの
だろう。
日本は、世界の中でも比較的
貧富の差が少ないと言われてきた
印象があり、実際のところ
米国、中国に比べて格差が少ない
との数値的な裏付けもある。
年々この格差が増大しつつ
ある印象があるが、
厚生労働省によると、
所得格差を測る国際的な指標である
「ジニ係数」が、所得再分配策に
よって改善(格差拡大を抑制)されて
いることを公表している。
これを見ると、所得の高い人たちは、
一生懸命稼いだところで、
再分配策で自分たちの手元に残らない、
そんな構図が見て取れる。
世の中を覆う閉塞感の
一つの要因は、高い税金によって
「稼ぐ意欲」が削がれている
こともあるのではないか、
そんなことも思わざるを得ない。
日経MJのヒット商品番付から
話が少々脱線してしまったが、
そんな雑感を持った次第である。