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ダイバーシティ(多様性)の確保

先日参加した、日本交渉学会の総会で、
富山市のコンパクトシティ政策に関する
講演があった旨をここで紹介した。

この話の後に、
「組織におけるダイバーシティは本当に
 実現されているのか」

というテーマで対談企画が催された。
学会の会長をお務めになっている
田村次朗慶應義塾大学教授がファシリテートし、
リクルートのワークス研究所で人事研究
センター長を務める石原直子さん
と、
キューピーで女性初の上席執行役員として
活躍する藤原かおりさん
が登壇。

私自身、外資系中心に6社の経験をしている
ため、「多様性」のある環境に対してある
程度の経験、慣れのようなものは持って
いるつもりだった。
しかしながら、ダイバーシティのある職場の
中にいると、かえって、このことに関して
真面目に考える機会が少なかったように
思われる。
それゆえ、現状はどんな議論がなされて
いるのか、示唆に富む内容を受け取る
ことができた。

お二人の話された内容を自分なりに要約
しておくと、こんな感じだろうか。

・ダイバーシティ(多様性)だけでなく、インクルージョン(包摂=組織内で安全・安心でいられる状態)もセットで語るのが欧米では当たり前で、日本もその方向に行くべき。ダイバーシティ実現の道はまだまだ半ば。

・性別、年齢、環境、そういった各要素ごとにダイバーシティが必要である。それによって議論が生産的になる。年功序列などは壊すべき。バイアスもどんどん壊さなければならない。

・プロセス重視よりも結果重視であるべき。ダイバーシティが確保できてないという結果が存在するならば、プロセスがどんなに良くてもNG。

VUCAの時代、というのはもう耳にタコが
できるほど皆さん聞いていると思う。
明日どうなるか分からない、不安定で
不確実な時代。
そんな世相を反映した社会で、組織が
業績をあげていくためには、
このダイバーシティを実現することが
何より欠かせない。

そう言われると、確かにそうなのだろう、
と思うのだが、あまのじゃくな私はふと
考える。
本当に、ダイバーシティは「解」なの
だろうか?

ダイバーシティの確保が、経営改善に
貢献していることを示す定量的なデータ
あるのだろうか?

と思って調べると、一応それなりに定量
データも揃っているようだ。
例えば、こちらの経産省の調査結果。

もちろん鵜呑みには出来ないが、政府
機関がそれなりの費用と工数をかけて
調査した内容である、根拠はそれなりに
あると言ってよいだろう。

但し、一点注意しておくべきことが
ある。
ダイバーシティ確保のために、
女性管理職比率を増やしたり、
外国人比率を増やしたりすることは、
あくまで「機会の平等」を志向する
ことである。
これが、「結果の平等」を志向する
ことに無理矢理結び付けるような話に
発展すると、少々話がおかしなことに
なるように思われる。

アメリカの人権史で、
アファーマティブアクション
それによる逆差別の問題が生じた
話をつい思い出す。
「機会の平等」は大いに追求すべき
だが、「結果の平等」まで確保しよう
と躍起になると、ロクなことはない。
延々と「逆差別」の螺旋が続くことに
なりかねない。

ダイバーシティを考える上では、
この視点を大切にする必要がある
だろう。



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