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二項対立を超えるための「止揚」と「差延」

ものごとをデジタルに割り切る、
即ち
「AかBか」
「0か1か」
「男か女か」
「オレかオレ以外か」
というような、いわゆる二項対立
して考えるのは、非常に分かりやすい

スパッと合理的に分析している
ように聞こえるし、
些末な部分を捨象して
本質的な部分にフォーカスできる

ような感じもする。

しかし、この二項対立を超えたところ、
スパッとデジタルには割り切れない
ところにこそ、味わいや深みがある

ものだ。

そんな指摘をされているのが、
京都先端科学大学ビジネススクール教授、
一橋大学ビジネススクール客員教授の
名和高司先生である。

ダイヤモンドオンラインで、
名和さんのインタビューが掲載されて
いたので拝見したのだが、
知的好奇心をくすぐられる内容だった
ので少しばかり紹介したい。

この、「二項対立」云々の話は、
巷で「幸福と成長はトレードオフ」
言われるが、それは誤りであり、
実際には両立する
旨を、名和さんが
新著の「はじめに」で書かれている
ことに端を発している。

私自身は、この本をまだ読んでおらず、
Amazonの書評を読むと、人によって
かなり評価が乱高下
しているため、
購入する前に、未だ読了できていない
前著を先に読み終えてから考える予定。

話をダイヤモンドの記事に戻そう。

幸福と成長、どちらかを立てると
どちらかを失う「二項対立」ではなく、
両立を図る「二項動態」を目指すべき、
というのが名和さんの主張だ。

「二項対立」を超えようとすることが
イノベーションの本質
であり、
その思いが進化の原動力になる、
そんなことも述べている。

矛盾する二つの概念を超える、
そんな話を聞くと、小池百合子氏が
よく使ったことで有名になった

「止揚(アウフヘーベン)」の話を
思い出す人もいるかもしれない。

「止揚(アウフヘーベン)」とは、
ドイツの哲学者ヘーゲルが唱えた
概念で、「矛盾する諸要素を、
対立と闘争の過程を通じて、
発展的に統一すること」

などと説明される。

「ものごとのらせん的発展」
という言葉もよく使われる。
「A」と「B」という矛盾するもの
二つがあった時に、
両者を発展させてらせんの一段上の
「C」へと進化させるイメージ
だ。

ただ、名和さんは、このドイツ的な
止揚(アウフヘーベン)ではなく、
フランス的な「差延」(さえん)の
手法
を用いるのだとされる。

「差延」という言葉を今回初めて
聞いたのだが、これはフランスの
哲学者であるジャック・デリダ*が
唱えた概念。

*名和さんはインタビューの中で
同時代の哲学者「ドゥルーズ」
名前を出しているが、恐らくは
勘違いだと思われる。

「差延」とは、「差異」という言葉に
時間的な要素を足した概念

「延」の字は「延期」「延長」などの
言葉で使われる通り、時間的な差異を
表すところから、このような訳語が
充てられた様子。

名和さんは、統合発展していくような
止揚ではなく、「差延=ずらしていく」
あり方を採りたいと述べる。

ずれることによって、
そこに「新しい場」が立ち現れる。
そこに次のイノベーションが生まれる。

そのように指摘される。

二項対立を超えるための「止揚」は
イメージができるのだが、
「差延」で二項対立を超えるとは
一体どんなことなのか

長くなってきたので、続編は明日に
させていただきたい。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。